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コロナ感染急拡大 どうなる? 生活のライフライン

今井 純子  解説委員

コロナの感染が急拡大して、仕事を休まざるをえない人が増えています。生活に欠かせないサービスは守られるのでしょうか?今井解説委員。

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【仕事を休む人が、周りでも増えています】
自分が感染したり、濃厚接触者になったりした場合だけでなく、家族が濃厚接触者になった。こどもの保育園・学校、あるいは、親のデイサービスが休みになり、仕事を休まざるを得ない、というケースもあります。
医療や保健所など、命に直結する現場はもちろんですが、生活に欠かせないサービスを提供している企業の間でも、緊張感が高まっています。

【どのような企業ですか?】
例えば、通院や通学で利用する交通インフラ。それからスーパーやコンビニです。すでに第6波の影響で、
▼ 広島県廿日市市で、地域を巡回するバスが2日間、運休した。
▼ 名古屋市で、鉄道が20%の減便に踏み切った。このような事態も生じています。
▼ また、コンビニの間でも、一部ではありますが、一時的に休業する店が出てきています。

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【こうした事態が広がる心配がありますね】
そうですね。そこで、濃厚接触者に求める自宅などでの待機期間について、政府は先週、感染者に最後に接触した日から10日間だった原則を7日間に。警察や保育、それから、鉄道やスーパーなどで働く、いわゆる「エッセンシャルワーカー」については、4日目と5日目の2回の抗原検査で陰性であれば解除できるよう短縮しました。

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【少しは早く、仕事に戻れるようになるのですね】
ただ、急激な感染拡大ですので、不安は残ります。企業の間では、仕事を休む社員が増えても、生活に欠かせないサービスは、続けられるよう計画をつくり、対策に取り組む動きが出ています。

【どのような対策でしょうか?】
取り組みの一例ですが、まず、交通インフラ。
▼ 運転士や車掌の資格を持っているけれど、今は、事務職など別の仕事をしている社員が、緊急の時に、いつでも乗務できるよう、研修を行っている。

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▼ 駅の係員が足りなくなった場合、窓口を閉じて、その担当者に、ホームの安全確保や配慮が必要なお客さんの案内などの業務に、優先的についてもらう。

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▼ 様々なバックアップ体制をとっても、社員が不足した場合、特急列車を運休するなどして、通勤や通学に必要な列車を最優先で運行し続ける。
こうした対策を計画しているところあります。

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また、航空会社も
▼ 規模の小さな地方の空港を中心に、荷物を運んだり、飛行機を誘導したりする社員に欠勤が相次いで、客、それに巣ごもり需要で増えている貨物の輸送ができない事態を避けるため、近くの空港、さらには大規模な空港から、応援の社員を送り込む体制を整えています。

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【スーパーなどはどうなのでしょうか?】
例えば、
▼ イトーヨーカ堂。食料品・日用品の売り場の店員が足りなくなった場合は、まず、衣料品など他の売り場から店員を回し、それでも足りない場合は、他の店、あるいは、本部から。さらに、万一の場合、事務職や電話交換の社員にも応援に回ってもらえるよう、レジ打ちの研修を進めています。
▼ また、イオンも、まずは、他の売り場から、そして他の店、さらに、本社のスタッフが、いつでも食料品・日用品売り場に応援で入ることができるよう、売り場で必要な健康面でのチェックを始めています。
いずれも、何重にもバックアップ体制をとることで、消費者の自宅まで商品を届けるネットスーパーを含め、食料品や日用品の営業は、最優先で続けようという考えです。

【ネットスーパーという話がありましたが、自分が自宅待機になった場合を考えると、食料品や日用品を家まで届けてくれるサービスは、続けてほしいですね】
買い物に行くことができませんので、宅配サービスは、頼みの綱になります。ネットスーパーの他にも、決まった曜日に、食料品や日用品を自宅に届けてくれる生協などのサービスもありますね。例えば、大阪のこちらの生協では、
▼ 配達をする社員の欠勤が増えていることから、普段は配達に当たっていない、配送センターのチームリーダーが、本部・あるいは普段は保険や住宅サービスなどの仕事をしているグループ会社の社員とペアになって、2人体制で配達の応援をしている。
こうした取り組みも始まっています。

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【なんとか、生活に必要なサービスを維持しようとしているのですね】
はい。ただ、欠勤者がさらに増えると、こうしたサービスにも、影響がでてくる心配はあります。そもそも、このように事業を継続するための計画をつくっている企業は、およそ38%に留まっているという調査もあります。このうち、生活必需品を販売しているコンビニやスーパーなどは、およそ32%ともう少し低い数字でした。特に、小さい規模の企業ほど、計画をつくる予定がないという企業が多い状況です。

【小さなスーパーなどは、バックアップの体制をつくるのも大変ですよね】
このため、東京都は、都内に店がある、食料品を扱う中小のスーパー。それから、コンビニなどを対象に、アルバイトを含め従業員の1割以上が欠勤した場合、代わりの派遣社員を雇う費用の半分を助成する制度をきょうから始めます。
ただ、万一に備え、あらかじめ東京都に登録しておく必要があるので、注意が必要です。

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企業は、生活に欠かせないサービスをなんとしても維持してほしいと思います。一方、私たち消費者の側も、感染したり、濃厚接触者になったりして、突然買い物に行けなくなる事態に備えて、ある程度は、生活に必要なものを備えておくことも大事です。

【ネットスーパーが利用できない地域もありますので、買い物に行けないと困りますね】
実際、備えの動きが出てはいます。こちらは、先月、第6波への備えについて尋ねたアンケートの結果です。いつもより多く買ったものがある。いつも買わないものを買った。という人は、全体のおよそ12%。

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何を買ったかというと、こうしたものが並びました。
保存がきく食品、水やジュースなどの飲料水、日用品。それから、自分や家族が感染した場合に備えた消毒液とか薬ですね。

【備えをしている方もいるのですね】
自治体によってはホームページなどで、備蓄の参考リストを示しています。それを見ると、例えば、先ほど示したものの他に、水分補給などのためのゼリー状の食品、手軽に食べられる缶詰。ヨーグルトなどの甘いもの。

【熱がある時は、ヨーグルトなどもいいですね】
はい。それから、紙の食器や使い捨てのスプーン。普段飲んでいる薬。さらに、小さいお子さんや高齢者がいる家庭の場合、必要に応じて、ミルクや離乳食、おむつ。といったものも載っていました。参考になるのではないかと思います。

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一定のこうした食料品を、自宅で療養されている方に配達する自治体もありますが、感染の急拡大で、届けるまでに日にちがかかったり、対象を絞り込まざるをえなくなったり、という動きもあります。

【いつ、感染したり濃厚接触者になったりするか、わかりませんから、動けるうちに備えておくことが大切ですね】
たくさん買う必要はなく、1~2週間しのげればいいので、普段から災害に備えているものに加え、コロナの自宅待機に必要なものをプラスアルファで備えをしておく、ということかと思います。生活を守るための対策を自ら考えておくと、いざという時の安心感につながるのではないかと思います。

(今井 純子 解説委員)

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