新型コロナウイルスワクチンの3回目接種が、12月1日から始まりました。
まずは医療従事者からで、今後順次、対象が広がっていきますが、いつどこで打てるのか?副反応はどうなのか?オミクロン株の影響は?と、気になる点も多いと思います。そんな3回目の接種について牛田解説委員がお伝えします。
まずオミクロン株について。
11月30日にオミクロン株に感染した人が、国内で初めて確認されましたが、このオミクロン株とワクチンとの関係はまだ分かっていないことが多いんです。
なので、国は今のところ、これまでに決めた方針通りに、3回目接種を進めるとしています。
この3回目の接種、当然ながら、これまで2回接種した人が対象となります。
11月30日までに全体の76.9%、人数にして9700万人以上が2回の接種を終えています。
一方、新規感染者は9月以降、急激に減少していて、その要因の1つにワクチン接種が進んだことも指摘されています。
こうした中、1日から3回目の接種が始まりました。
厚生労働省は原則として、2回目の接種から8か月以上開けて、3回目の接種を行うとしています。
これはワクチン効果の持続性や自治体の準備などを考慮したものです。
まずは1回目と2回目を早めに打った、医療従事者から始まりました。
そして、65歳以上の高齢者は1月から。
企業や大学などを含めた職域接種は3月から。
そして、そのほかの64歳以下の人も、原則として、2回目から8か月たった人から、順次始まります。
接種はこれまで同様に無料で受けられます。
そしてワクチンの種類です。
すでに3回目の接種が承認されている「ファイザー」と、今後承認される見通しの「モデルナ」。基本的にこの2社のワクチンを打つことになります。
そして3回目は対象となる年齢が変わってきます。
2回目までは12歳以上、つまり中学生なども含まれていましたが、3回目は18歳以上が対象になります。
これは、17歳以下の効果や安全性などのデータが、まだ十分揃っていないことが理由です。
なので、今後、データが揃ってくると、対象拡大の議論が出てくる可能性もあります。
ところで、この追加接種、3回目を打つかどうかまだ決めていないという人もいるかもしれません。そんな場合、何を参考にすれば良いのでしょうか?
まずは、なぜ3回目の接種が必要なのかを知ることだと思います。
ワクチンの効果は時間が経つと弱まると考えられています。
ここで、ファイザーのワクチンの効果を調べたアメリカの研究をご紹介します。
2回目の接種から1か月以内と、5か月以降の感染予防効果を比較しました。
16歳から44歳は感染予防効果が89%から39%、45歳から64歳は87%が50%に、65歳以上は80%が43%に低下したという結果が出ました。
このほか、発症や重症化を防ぐ効果も、時間とともに低下していきます。
一方、副反応が気になるという人も少なくないと思います。
この副反応については、次のような、海外の調査結果があります。
ファイザーの1回目、2回目、そして3回目の接種で、それぞれ副反応があった人の割合を調べたところ、1回目は一番、割合が低く、2回目と3回目はあまり変わりませんでした。3回目の方がやや少ないという副反応もあります。
これについて、厚生労働省も「3回目接種の副反応は、2回目接種後の発生傾向とほぼ同じだとみられる」としています。
またモデルナについても、2回目と3回目の副反応が、ほぼ変わらないか、やや少ないという海外の調査結果があります。
そして今最も気になるのが、南アフリカなどで見つかったオミクロン株。
感染力はどこまで強いのか?ワクチンの効果はどこまであるのか?まだ分からないことが多くあります。
政府は、オミクロン株のワクチンへの影響について、「専門家の間で検証が進められている」とした上で、「3回目の接種は予定通り進めていく」としています。
また、2回目から原則8か月以上間隔をあけるという方針も、現段階で変えるつもりはない、つまり接種時期を前倒しする予定も、今のところは無いということです。
ただ、国や自治体は、オミクロン株の広がりや検証結果に、当然、これから注意しなければなりません。
もし仮に、3回目接種の前倒しなど、方針の変更が必要になった場合は、出来る限り迅速に対応してもらいたいと思います。
一方、製薬会社も対応に乗り出していまして、ファイザーはいざという時に備えて、新しいワクチンを作る作業も始めたということです。
あと、3回目にこれまでと違うワクチンを接種することは出来るのか?
2回目までに受けたワクチンと異なるワクチンを打つのは「交互接種」と呼ばれますが、それは認められています。
なので、例えば1回目2回目はモデルナで3回目はファイザーというのは可能です。
外国でもこの交互接種は行われていますが、厚生労働省によりますと、これによって効果が低下したというデータは、今のところ無いそうです。
そして、どこで接種できるのか。これも重要なポイントになってきます。
基本的には、1回目と2回目と同じように、主に「集団接種会場」「医療機関」「職域接種」などがあります。
企業や大学なども含めた職域接種は、前回同様「モデルナ」のワクチンを使用する予定で、1回目と2回目を実施したところが、手を挙げることができます。
ただ、すべての所が3回目も行うかどうかは分かりません。
一方、ワクチンを受けられる医療機関や接種会場も、一部で変わる可能性もあるので、「コロナワクチンナビ」という厚生労働省の案内サイトなどを参考にしてもらいたいと思います。
そして、今、新規感染者が一時期に比べて少なく、もう少し様子を見てみようかという人もいると思います。
ワクチンの接種は強制ではないので、1人1人の判断となります。
厚生労働省は、「接種が可能な人は出来るだけ検討してほしい」としているんですが、その中でも、高齢者や基礎疾患があるなど「重症化リスクが高い人」、そして、そうした重症化リスクが高い人と接触が多い、「家族」や「介護従事者」などの人たち。
さらに、医療従事者など「ウイルスにさらされるリスクが高い人」については、特に接種を勧めています。
そして、それ以外の人たちはどう考えるべきか。東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授に話を伺ったところ、「感染が今後、いつ再拡大するか分からないし、急に拡大するおそれもある。抗体ができるまで一定の時間もかかるので、ワクチンは打てる時に打つことが大切だ。一方で、副反応を心配する人もいると思うので、その場合、医師や自治体の窓口などに相談してもらいたい」と話していました。
また、厚生労働省によりますと、妊娠中の人や授乳中の人、それに新型コロナに一度感染したことがある人も、ワクチン接種のメリットがあるということで、検討を呼び掛けています。
これから順次、自治体から3回目の接種券や案内が届きます。
オミクロン株への懸念も強まっていますので、接種するかどうか早めに検討してほしいと思います。
そして、国や自治体も希望する人が、速やかに接種できる体制を、整えていってもらいたいと思います。
(牛田 正史 解説委員)
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