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「経済対策 家計への支援は?」(みみより!くらし解説)

今井 純子  解説委員

政府が先週、決定した経済対策の中には、家計向けの支援策が多く盛り込まれました。今井解説委員。

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【家計への支援策。どのようなものがあるのでしょうか】
今回、コロナで傷んだ家計を支援しようと、多くの対策が盛り込まれました。きょうはこのうち、返す必要のない「給付金」「支援金」を中心に、大きく分けて、3つの柱で見ていきたいと思います。

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【まずは、10万円の給付金ですね】
はい。対象によって子育て世帯向けと、大学生向け、住民税非課税世帯向け。3種類、あります。
このうち、子育て世帯への給付金ですが、今の高校3年生までの年齢のこどもがいる世帯が対象になります。こども1人あたり、
▼ 現金5万円について、年内に支給を始めた上で、
▼ 来年春ごろに、残りの5万円分を、子育て関連の商品やサービスに利用できるクーポンの形で配ります。自治体によって現金の可能性がありますが、基本はクーポンということです。

【対象になるこどもが2人いる場合は、20万円相当がもらえるのですね】
そういうことになります。ただ、この給付金。親の年収制限があります。
扶養家族の人数によって違ってきますが、例えば、会社勤めの人で
▼ 扶養家族が配偶者と、対象となるこども2人の場合、年収960万円未満。
▼ こどもが1人の場合は、917万8000円未満が対象の目安です。
▼ 夫婦共働きの場合は、高い方の年収で判断することになりますので、こども2人だと917万8000円未満が対象です。
高校生以下のこどもがいる世帯のおおむね90%が給付の対象になるということです。

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【共働き世帯は、なぜ、2人あわせた世帯年収で判断しないのですか?】
できるだけ早く支給しようと、すでにある児童手当の仕組みを活用することにしたからなのです。この結果、年収1000万円で対象からはずれる世帯がある一方、夫婦で年収1800万円でも、給付金がもらえる世帯もあり、不公平だという批判も起きています。
また、この児童手当の仕組みを使うことで、注意が必要な家庭もでてきます。

【注意が必要?どういうことですか?】
児童手当は、中学生以下が対象ですので、その年齢のこどもがいる世帯には、すでに登録してある児童手当の口座に給付金が振り込まれることになります。つまり、申請する必要はない。一方、
こどもが高校生の世帯は、原則、申請が必要になる見通しです。ですから、対象になるかもしれないという方は、自治体のホームページや広報誌などをこまめにチェックしておくことが大事になります。

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【これは、注意することが大事ですね】
はい。政府や自治体も周知に力を入れてほしいと思います。次は、生活が苦しくて、学業を続けるのが厳しいという大学生や専門学校生などへの給付。こちらは、親ではなく、本人に現金が給付されます。

【これも10万円ですか?】
10万円が軸になる見通しですが、具体的な要件や金額、申請方法などは、今後調整することになっています。こちらも、大学などに自分で申請する必要がでてくるかもしれませんので、今後の情報に、注意していただきたいと思います。
そして、住民税非課税世帯への10万円の給付です。

【こちらは、10万円ですか】
はい。現金10万円です。対象は、今年度の住民税が非課税の世帯です。自治体によって違いますが、例えば、東京23区のざっくりしたイメージで言うと、「扶養家族が配偶者1人」という会社勤めの世帯の場合、年収156万円以下。1人ぐらしだと、100万円以下が対象になるイメージです。こちらは、非課税の世帯についての情報を自治体が持っていますので、原則、申請する必要はないということです。

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【それぞれの給付金は重複してもらえるのでしょうか?】
はい。条件にあてはまれば、いずれも受け取れるということです。

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そして、次は、2つ目の柱。無利子融資、自立支援金の変更・拡充です。

【変更・拡充とありますが、そもそもどのような制度ですか?】
この制度は、コロナの影響で収入が減って生活に困っている世帯が、「緊急小口」そして「総合支援資金」、その「再貸付」。あわせると、現時点では、最大140万円まで無利子で借りられるという、特例措置です。借金なのですが、
▼ 今年度、あるいは来年度の住民税が非課税の水準であれば、緊急小口と総合支援資金の初回分、あわせて最大80万円分は、返さなくてもよいことが決まっています。
▼ さらに、この無利子融資を借り終えて、これ以上、借りられないという人を対象に、返さなくてもよい「自立支援金」を支給する制度が設けられています。預貯金が100万円以下など、いくつかの条件がありますが、対象になれば、このように、例えば、3人以上の世帯は月10万円を3カ月間受け取ることができます。

【3人以上の世帯だと、30万円もらえるということですね。この制度がどう変わるのですか?】
特例措置については、今も、毎週5000件程度の新たな申し込みがある。つまり、生活資金へのニーズは、まだ、あることから、まず、無利子融資と支援金。両方の申請期限が今月末までとなっていたのを、それぞれ、来年3月末までに延長しました。
その上で、無利子融資については、再貸付を12月末で終了し、借りられる金額を最大80万円まで、と縮小します。

【ニーズがあるのに、借りられる金額を少なくするのですか?】
その代わり、支援金について、新たに再支給の仕組みをつくりました。

【一回支援金をもらった人も、もう一回、最大30万円をもらえるということですか?】
はいそうです。生活が厳しい方には、借金の重荷を増やすのではなく、返さなくてもいい給付金を手厚く支給しよう。そして、そのおカネで生活をしのいでいる間に、仕事の回復。収入の立て直しをはかってもらおうという考えです。

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最後に、3つめの柱。売り上げが大きく減って困っている個人事業主などへの給付。これは、あくまでも事業を続けることへの支援という位置づけですが、フリーランスの方も対象に含まれ、使い道は自由なので、生活の支援になるという面もあります。

【どのような内容ですか?】
こちらも、本格的な事業の再開に向け、今後、5か月間の資金を手当てしようという考えです。具体的には、
▼ 今月から来年3月までの、どこか一か月の売り上げが、前の年、あるいは、2年前などの同じ月と比べて、
▼ 50%以上減少した個人事業主には、最大50万円。30%以上50%未満の減少なら最大30万円を給付。
▼ 中小・中堅企業には、事業規模によって、それぞれ、最大250万円、最大150万円を給付します。詳しい内容や申請の方法は、今後詰めて発表するとしています。

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【全体的に、幅広い世帯への給付・支給が盛り込まれているのですね】
そうですね。このところ、コロナの感染がようやく抑えられ、景気は回復の方向に向かっているとみられています。こうした中、国の財政事情が厳しいのに、さらに借金を増やして、ここまで幅広くおカネを配る必要があるのか。本当に困っている人に対象を絞り込んで、もっと手厚い支援をすべきではないか。という指摘もでています。

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今後、国会で、補正予算案の審議をする中で、支援の目的や効果について、議論をつくしてほしいと思います。

(今井 純子 解説委員)

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