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新型コロナ対策 制限解除・自粛緩和で気を付けることは

中村 幸司  解説委員

新型コロナウイルスの感染は、全国的に減少傾向が続いています。こうした中、2021年10月、東京都や大阪府で飲食店の営業時間の短縮が解除されるなど、全国で制限の解除や自粛緩和が進められています。
今回は、こうした中で、私たちはどのような点に注意したらいいのか考えます。

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Q:このところ、感染者数が減少していますね。
A:はい。2021年8月下旬から急激に減少しています。

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全国の1日ごとの新規感染者数の推移です。今は、2020年の夏ころの水準まで、感染者が少なくなっています。

Q:この感染者の減少に合わせて、解除や緩和が行われているのですね。
A:政府の考え方は、解除や緩和は段階的に進めていくというものです。
まず、飲食店です。東京都について見てみます。

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夜の営業時間の短縮が解除され、今月25日から営業時間の制限はなしになりました。酒の提供は、認証を受けていない店は、午後9時までです。

Q:認証を受けた店というのは、どういう店でしょうか?
A:必要な感染対策が行われていることを東京都の担当者が確認した店です。

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▽消毒の徹底をしている、
▽換気を十分に行い、二酸化炭素濃度を測定するなどして、換気できているかどうかをモニターしている、
▽客同士の距離が1メートル以上確保できるようにして、対面するところにパーティションを設置している。1メートルの間隔が確保できない場所には対面していなくても、パーティションを設置する、といった20のチェックポイントの対策ができている店です。

Q:いろいろ対策をしているのですね。利用する客側にはどんなことが求められるのでしょうか?
A:大きいのが、いわゆる「マスク会食」です。食べたり、飲んだりしていないときはマスクをして会話するということです。飛沫が広がるのを極力抑えるというわけです。

Q:お酒を飲みながら、マスクというのはちょっと大変かもしれませんね。
A:そうですが、飲食店では、感染拡大するケースが見られました。私たちも感染リスクを抑えた飲食店の利用の仕方に慣れる必要があると思います。

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人数については、1つのテーブルに4人以内。認証がある店では、ワクチン接種、あるいはPCR検査などの陰性証明があれば、1テーブルに5人以上も可能にしています。

Q:東京以外は、どうなっていますか?

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A:大阪府では、認証のない店も酒の提供時間の制限はありません。認証ありの店では、4人ずつのテーブルに分かれてもらえれば、5人以上のグループでの入店も可能です。
店の利用は、2時間程度以内と時間制限を設けています。

Q:地域によって少し違うのですね。
A:はい。飲食店の時短の要請は、各地で解除されています。沖縄県が、10月31日まで時短の要請を続け、その後解除する予定です。解除後の対策は、都道府県によって若干異なると思いますが、客の側としては、マスク会食は必要ですし、大人数で行かないなど、よりリスクの低い行動が、原則となっています。

Q:飲食店以外では、どのようなことが求められるのでしょうか?

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A:イベントの人数制限は、東京都では今月31日以降、大声の歓声を出すことが想定される=プロ野球などスポーツの会場は、収容人数の半分まで。例えば、2万人入るスタジアムなら、1万人が上限です。
観客が大声を出さないクラシックのコンサートなどは、

▽収容人数が5000人までの会場は、満員まで入れられます。
▽5000人から1万人までは、5000人が上限で、
▽収容人数が1万人を超える会場は、半分までとなっています。

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他にも、東京都では、
▽外出は、少人数で、混雑している場所を避ける
▽帰省や旅行など都道府県境を越える移動をするときは、特に大人数での会食は控える、
▽路上や公園などでの、集団での飲酒など感染リスクの高い行動を控えるといったことを求めています。

Q:感染者は少なくなっていますが、緩和の一方で、併せて対策もしっかりしないといけないということなのですね。

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A:2回のワクチンを打った人の割合=接種率はこちらで、人口の70%を超えました。

Q:ワクチン接種が進んだことで、感染者が減ったようにも見えますね。
A:そうですね。
ワクチン接種は減少の理由の一つだと思いますが、急激な減少がここまで続いている詳しい原因は、わかっていません。

図の右は、早くからワクチン接種が進んでいたイギリスです。いったん感染者は減りましたが、また増えています。

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イギリスでは、2021年7月に、感染対策の規制の多くが撤廃されました。感染者が増えても、ワクチン接種により、重症者は一定程度抑えられているというのがイギリス政府の考え方です。
日本はどうかというと、たびたび感染拡大を経験しましたが、特に第5波では、急増する感染者数が抑えられずに、医療がひっ迫し、救える命も救えなくなるという事態になりました。
それだけに、規制の解除、自粛の緩和を行っても、国民には引き続き一定の対策、協力は求めていく、感染者が少ない状態を極力維持するという考えです。

Q:国によっても、考え方がいろいろですね。
A:この後も、冬になると、空気が乾燥したり、暖房の部屋を閉め切って換気がしにくくなったりして、感染リスクが高まると考えられます。

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また、年末年始もあります。ふるさとに帰る人たちなどで、移動が増え、忘年会や新年会など人が集まる会合が多くなります。1年前の年末年始がそうだったように、感染拡大のおそれがあると指摘する専門家は少なくありません。

Q:こうしたことを見据えて、私たちが気を付けること、どのようなことがありますか?
A:ひとつあるのは、普段会わない人と会うことが、感染拡大の大きなリスクになるということを考えて行動することです。

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いま、ここに家族など普段会う関係にある人たちのグループを4つ示しています。仮に、感染者が1人いたとしたとき、他のグループと接触があまりなければ、感染は1つのグループの中で、収まる可能性が高くなります。
しかし例えば、それぞれのグループの人が久しぶりに会合で一緒になった場合、感染が広がり、さらに、グループに持ち帰って、感染が広がってしまう恐れがあります。

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専門家は、普段会わない人と会うことは感染症の拡大リスクが高いので、極力控えて、もし会うというときは、いつも以上の感染防止対策を心がけてほしいとしています。

Q:飲食店の時短が解除されて、久しぶりに友人と会おうと思うかもしれないですが、リスクも考える必要がありますね。
A:規制の解除や自粛の緩和を、どこまで行うか。このことは、感染対策と社会経済活動を両立させる点を探ることにもつながります。

いま、その重要な時期であることを考えて、行動することが求められていると思います。

(中村 幸司 解説委員)

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