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東京オリンピック 私のチケットはどうなるの?

小澤 正修  解説委員

開幕が迫った東京オリンピック。観客の扱いはようやく方向性が見えましたが、一方で、自分の持っているチケットはどうなるのか、気になる人も多いのではないかと思います。小澤正修解説委員です。

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【チケットは再抽選へ】
観客の扱いは、今後の感染状況によって、無観客も含めた変更の可能性がありますが、現時点では、まん延防止等重点措置が解除された場合の政府の基準にあわせて、観客は会場の収容定員の50%以内、上限を1万人として開催することが決まりました。このため、販売済の一般向けのチケットは、改めて抽選が行われることになりました。

【いつ抽選結果はわかるのか】

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大会の1年延期もあって、これまで販売されたチケットは、すべての競技会場の収容定員のおよそ4割。このうち一般向けのチケットはおよそ363万枚が販売され、今回の抽選で91万枚が無効になります。抽選は自動的に行われますので、チケットを持っている人は、その結果を待つことになります。結果は申し込みをした時と同じ、公式チケット販売サイトで、7月6日の未明に発表されることになりました。個別の通知はありませんので、結果は自分で公式サイトにアクセスして確認する必要があります。また、パラリンピックについては、今後、観客の扱いが決まって抽選が必要になった場合、7月16日以降に抽選結果を発表する予定になっています。

【抽選が行われる競技は】

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今回設けられた観客上限の基準を超えたものが抽選の対象です。対象になるのは、サッカー、野球・ソフトボール、陸上といった規模の大きい会場が使われる7つの競技と開閉会式。それ以外の競技ではそもそものチケットの販売数が上限に達していないため、抽選は行われません。チケットは時間帯などによって「セッション」と呼ばれる単位で販売されていますが、その80%以上で抽選が行われないことになります。抽選のある7つの競技でもセッションによっては抽選がないものもありますので、自分のチケットが対象かどうか、公式サイトなどで確認してください。また、販売済のチケットが収容定員の40%未満というセッションも半数近くありますが、チケットの追加の販売は行わず、各会場での当日券の販売もしないということです。

【抽選結果を確認するには】

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抽選結果の確認は、公式チケット販売サイトから行います。「マイチケット」にログインして、「観客人数上限対応」と表示される部分をクリックすると、抽選結果がわかる仕組みです。

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「ステータス」が「有効」となっていればそのまま使用できますし、「無効」となっていた場合は抽選の結果、使用できなくなったということになります。残念ながら、今回の抽選で「無効」となってしまった人へのチケット代金の払い戻しは大会終了後の予定です。ただ今回のオリンピックでは抽選の結果、ステータスが「有効」でも、感染状況などから、観戦を希望しないという人もいると思います。その場合も、払い戻しは可能ですが、自分で払い戻しの申請をする必要があります。こちらも公式サイトのマイチケットから、払い戻しの申請手続きを行います。受け付ける期間は7月6日の未明から15日の午前11時59分までです。当初は正規のルートで転売ができる公式リセールサービスが予定されていましたが、こちらも取りやめになりました。払い戻しの受け付けはこの期間のみとなりますので、観戦を希望しない人は、申請の期間にも注意が必要です。

【チケットはどうやって受け取るのか】

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申し込みの時点では、「紙のチケット」、自宅などで、自分でチケットを印刷する「ホームプリントチケット」、それにスマートフォンなどで表示する「モバイルチケット」の3種類が選べました。しかし、チケットの配送をする時間が十分に確保できないことなどから、このうちの「ホームプリントチケット」に統一されました。ですので、会場を訪れる際には、公式サイトからPDF形式のファイルになっているチケットをダウンロードし、自分自身で印刷して会場に持っていくことになります。ダウンロードは7月6日の未明から可能で、組織委員会では「なるべくA4サイズの用紙に印刷して持ってきてほしい」としています。自宅などで印刷できない場合は、スマートフォンなどでファイルを表示し、それをみせて入場することもできますが、会場では混雑のため回線がつながりにくいこともありますので、事前に端末に保存しておくことが望ましいと思います。また中には、紙のチケットを記念に保存しておきたい、という人もいますので、組織委員会では申し込みの時に紙のチケットを選択していた人には、大会終了後に郵送する予定だということです。

【注意しなければならないことは?】

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チケットの受け取り方法が変更になったことで、注意が必要なこともあります。まずは、同行者がいる場合に、同じファイルを複数枚印刷して会場にいかないようにしてください。チケットには1枚ずつ異なるQRコードが印字されていて、これを読み込んで入場します。なので、同じファイルを複数枚印刷して持って行ってしまうと、そのうちの1人しか入場ができなくなってしまいます。当日会場であわてないためにも確認が必要になります。そして一番注意してほしいことは、チケットの画像をブログやSNSなどに投稿しないようにすることです。というのも、投稿した画像にこのQRコードが映り込んでしまうと、それを第三者が悪用してしまう可能性があるからです。また、今回の抽選に伴う払い戻しの手続きの際にも注意が必要です。組織委員会から、はがきや電話、ショートメッセージで振り込み先などの連絡をすることはありません。払い戻しの手順などを案内するメールには、ホームページのアドレスは記載せず、クレジットカードの情報などを求めることもないということです。組織委員会では、必ず、自分で公式サイトからマイチケットにログインして手続きを行い、フィッシング詐欺などの被害にあわないよう十分注意して欲しいと呼びかけています。

【観客に求められること】

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感染防止には、観客にも会場の内外で行動ルールを守ってもらえるかが課題のひとつです。組織委員会が作成したガイドラインには、▼飲酒の禁止や▼大声での応援禁止、そして会場の外でも▼路上での飲食や応援の自粛、▼自宅と会場の「直行直帰」、▼チケットのデータを観戦後14日間保存しておくことなどが盛り込まれています。過去の大規模なスポーツの国際大会では、路上などにファンが集まって日本選手の活躍で盛り上がることもよく見られました。しかし、コロナ禍の今回の大会は、チケットを持っている人も持っていない人も、こうした行動は避けて、新たな楽しみ方や応援の方法を見つけて欲しいと思います。

(小澤 正修 解説委員)


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