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「新型コロナウイルスワクチン 最新情報」(みみより!くらし解説)

矢島 ゆき子  解説委員

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◆新型コロナウイルスのワクチン接種、国内ではどのくらい進んでいるのでしょうか?

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今、国内ではファイザー社/ビオンテック社のワクチンとモデルナ社のワクチンが、公的負担で接種できますが、6月2日時点で、医療従事者の1回目接種については、接種者472万人とほとんどの人が終えています。高齢者などは、市町村などの会場や東京・大阪の大規模接種会場での接種も続いていますが、1回目接種は626万人と、まだ20%に達しない状況です。6月21日からは職場・大学などでも接種がはじまる方針が国から出され、今後、64歳以下の人への接種も進むことになりそうです。

◆ファイザーとモデルナのワクチン、特徴は?

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ファイザーとモデルナのワクチンは、どちらもmRNAワクチンで、新型コロナウイルスの遺伝情報の一部を利用して作りました。それぞれのワクチンを比べると、あまり違いはなさそうです。ただ、どちらのワクチンも接種回数は2回ですが、接種間隔が変わります。ファイザーは3週間、モデルナは4週間です。また、臨床試験での「発症予防効果」は、ワクチンが未接種の人に比べて発症リスクがファイザー95%減。モデルナは94.1%と、ほぼ同じです。さらに「感染を防ぐ効果(感染予防効果)」も、例えば、ファイザーとモデルナは90%というデータ(2回目接種から14日以降)もあり、違いはないようです。

◆変異ウイルスに対するワクチンの効果は?

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主な変異ウイルスはイギリスで確認された変異ウイルス「アルファ」、南アフリカで確認されたもの「ベータ」、ブラジルで広まった「ガンマ」、インドで確認された「デルタ」になります。(5月31日、WHOが「特定の国・国民への差別的な扱いを防ぐため」にギリシャ文字による呼称を発表し、使われはじめました。)
これらの変異ウイルスに対するワクチンの効果はどうなのでしょうか?ファイザーもモデルナも、「中国・武漢で確認された新型コロナウイルスの遺伝情報」をもとにワクチンを作っていますが、変異ウイルスはこの遺伝情報と全く同じではなく、ワクチン効果に関わるデータはさまざまなものが出されています。アルファ株に対しては、臨床試験の結果と同程度の効果があると考えられますが、他の変異ウイルスに対しては、効果が弱まる可能性も考えられ、今後も、どのようなデータが出てくるか注視が必要です。mRNAワクチンは、変異ウイルスの遺伝情報がわかれば、4~6週間ほどで開発できるそうで、変異ウイルス用のワクチン開発も進んでいますし、ファイザーとモデルナは、既存のワクチンを3回接種したら、変異ウイルスへの予防効果が高まらないかなども確認しているところです。

◆ワクチンの対象年齢は?有効期間は?

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ところで、接種の対象年齢はどうなっているのでしょうか?ファイザーの対象年齢はこれまで16歳以上でしたが、アメリカで12歳~15歳を対象にした臨床試験で有効性・安全性が確認されたため、日本でも公的な予防接種の対象が12歳以上と広がりました。12歳~15歳の子どもが接種する場合は保護者の同意が必要になります。ただ12歳~15歳については、どこで、どう接種するのかなど検討中です。一方、モデルナの接種対象は18歳以上です。また、ファイザーもモデルナも、今、さらに低い年齢の子どもたちを対象に臨床試験を進めています。
ワクチンの有効期間はまだ長期についてはわかっていません。ファイザー・モデルナのワクチンは新しいワクチンだからです。そのため、臨床試験の参加者が接種後6か月の時点では有効ということはわかっていますが、いつまで効果が続くのか、今後も、継続的に調べられていくかと思います。

◆ワクチン接種する際の注意点

実際、ワクチン接種する際は、例えば、下記のことに注意しましょう。

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自治体から接種券と一緒に予診票が届いた方もいるかと思います。予診票には「その病気をみてもらっている医師に、今日、予防接種をうけてよいといわれたか?」という質問があり「はい・いいえ」で答える形になっています。(赤枠で囲った部分)「いいえ」だとワクチンを接種できないと思われがちでしたが、自分の主治医への事前確認は必須ではありません。接種会場で問診のときに医師と相談することで、接種できます。最近、この項目が削除され、新しい予診票になりました。ただ、当面、古い予診票でもえるということです。

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予診票には、心臓病などに処方される「血液をサラサラにする薬」が処方されているかどうか確認する記入欄もあります。これは、この薬を処方されていると、筋肉注射で内出血したときに血が止まりにくい可能性があるためです。ただ、止血に注意すればいいので、接種できないわけではありません。また、高齢者の方はたくさん薬をのんでいると思いますが、自分の薬について問診で質問されたときのために、お薬手帳を持参した方がいいでしょう。そしてPEG(ポリエチレングリコール)にアレルギーのある人、例えば大腸内視鏡検査で使う下剤や一部の化粧品でアレルギーになったことのある人は、ワクチンにはこの成分が含まれているので注意が必要です。ただアレルギーがあっても接種可能な場合も多々あります。大切なのは薬・食べ物などにアレルギーがある、アナフィラキシーの経験したことがあるなど、問診のときにきちんと申告・相談することです。

◆接種後の副反応は?

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副反応としては、ファイザー・モデルナともに、接種部位の痛み・けん怠感・頭痛・発熱などが多く、また頻度は低いのですが、重大な副反応としてアナフィラキシーがあります。発熱などの副反応は、2回目接種のあとの方が多いと言われています。また接種後、会場で15分、ときには30分待機することになります。もし激しいアレルギー反応が起きても、現場で適切に対処してもらえます。副反応の発熱・関節痛などの症状がつらい場合は、市販の解熱鎮痛薬を使うこともあると言われていますが、心配な場合は、主治医に相談をしてみてください。

日本でワクチン接種が始まってから数か月たちました。接種者が少ないこともあり、その効果はまだ実感できませんが、多くの命を救う可能性があります。これから、職場・大学などでの接種もはじまることで、接種関連の情報はさらに多様化すると思います。接種を考えている人に必要な情報がきちんと届くよう、国・自治体・職場などから、しっかりとした情報発信をしてもらえたらと思います。

(矢島 ゆき子 解説委員)

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