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「新型コロナで増加 子どものスマホトラブル」(みみより!くらし解説)

三輪 誠司  解説委員

総務省の調査によりますと、13歳から19歳までのスマートフォン利用率は76.7%となっています。新年度を迎えるこの時期が、携帯電話の新規契約数が最も多い時期にあたり、お子さんやお孫さんの進学・進級祝いということで、買ってあげたというご家庭もあると思います。
しかし、子どものスマートフォンの利用には、やはりトラブルはつきものです。使い始めたこの時期に、その実態について知っておく必要があると思います。

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東京都が設けている、ネットに関する子どもの悩み相談「こたエール」というサイトでは、昨年度の相談件数が一年前より大幅に増えました。
この背景には、新型コロナウイルスの影響で、子どももネットの利用が増えたためと推測されています。

相談のケースをいくつか紹介します。まずはネットいじめに関してです。

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誰かがSNSで自分になりすましたアカウントを作り自分の顔写真を変に加工した上、見に覚えのない書き込みを拡散させている。また、自分の悪口を言うSNSグループがあることをこっそり友達が教えてくれた。さらに、友達が悪口を言われているという相談もあります。

このサイトには解決方法のアドバイスも書かれていますが、親としては、子供とコミュニケーションが取れているか、信頼関係ができているかが、問題を解決するために大切です。なりすましや、自分の人権が侵害されているような書き込みは、SNSの運営会社に連絡して削除を依頼するしか方法はありません。中高生だけでは解決しきれません。また、自分が知らないところで悪口を言われているなどの場合、見過ごせないとき場合は、親が学校のスクールカウンセラーに堂々と相談するべきだとしています。ただ、行政などの窓口に連絡する子供たちの中には、親や学校には言えないからここに相談したというケースが多いということなんです。
このため、普段から親子の信頼関係が早く解決できるかどうかの鍵になります。

このほか、スマートフォンに生活が依存してしまうという相談もあります。

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先ほどのサイトの事例には、ことし2月、女子生徒からの相談も紹介されています。受験勉強をしなければいけないのにスマホ依存気味で困っている。しかし手元にスマートフォンがあると触りたくなって、気付くと時間が過ぎている。スマートフォンから離れるにはどうしたら良いか。
というものです。

親子で「克服したい」という取り組みを始めるならば、生活習慣をチェックシートで確認する方法があります。スマートフォンの利用時間や、睡眠時間などをシートに記録していきます。上が規則正しい生活の例で、下がスマートフォンに依存する生活になっている例です。依存した生活では、深夜もずっと使っていることがわかります。このため、朝起きられず、学校にもいけなくなっています。

親として大切なのは、子供が現状を冷静に受け止められるように見守ることです。しかったりすると、次から嘘をつくようになります。ここでも親子の信頼関係がとても重要になります。

また、親もダラダラ利用しないことも重要です。家族と食事をしながらスマートフォンを触りつづけたり、深夜まで使っていると、子どもも真似するのは当然です。

子どものスマートフォン利用に関しては、最初はやはり親がリスクを十分に把握し、管理することが必要だと思います。

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アップルを創業したスティーブ・ジョブズさんは自分の子供にスマートフォンやタブレットを触らせなかったり、マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツさんも、14歳まで子どもにスマートフォンを使わせず、その後も寝る前や食事の時間は禁止。自分も食卓に持ち込まないようにしていたということです。
トラブル相談を受けている相談員の家庭も、利用を制限しているところが多いです。

何年も前から子どもにスマートフォンを使わせていて、今さら制限や管理ができないという場合、親の責任は何か、考えるべきだと思います。

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スマホを使いすぎて子供の生活が乱れたり、勉強時間が減ったりした。
または、親が全く知らない人とSNS上で友達になったものの、名前を伝えた途端に、個人情報をばらすと脅されて、下着や裸の写真を送らされたという女の子は少なくありません。スマホを買い与えたあと、放置しているのが親の責任を果たしたことになるのか、よく考えたほうがいいと思います。

スマートフォンはとても魅力的な道具ですから、中学生でも高校生でも、最初から自分自身で節度ある使い方をするのは難しいです。トラブルを防いだり解決したりするには、家族間のコミュニケーションの時間があるか、いっしょに遊ぶ時間があるかなどがカギになります。相談サイトの事例を親子で見ながら、そうしたことをぜひこの時期に話し合ってほしいと思います。

(三輪 誠司 解説委員)

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