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「新型コロナ 日米首脳会談 国民の意識は」(みみより!くらし解説)

曽我 英弘  解説委員

4月のNHK世論調査がまとまった。新型コロナウイルス対策で12日から、新たに東京など3都府県に「まん延防止等重点措置」が追加で適用されるなど、全国的に感染が再拡大する傾向にある。こうした現状を国民はどう考えているのだろうか。

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【まん延防止等重点措置の効果/緊急事態は出すべきか】
多い時で11都府県を対象に出されていた緊急事態宣言が全面解除されたのはおよそ3週間前、3月21日のこと。ただ現状は変異ウイルスが拡大する一方で人出も増加傾向にあり、医療提供体制のひっ迫も懸念されている。
これを受けて政府は東京、京都、沖縄に12日から「まん延防止等重点措置」を適用した。重点措置は大阪、兵庫、宮城でもすでに適用されているが、どの程度効果があると思うか聞いた。

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「大いに」または「ある程度効果がある」は37%、「あまり」または「まったく効果はない」は58%だった。一方で感染が拡大している地域に緊急事態宣言を出すべきだと思うか、出す必要はないと思うか聞いたところ、「出すべきだ」は70%、「出す必要はない」は20%だった。
なぜ緊急事態宣言を望む声が多いのだろうか。過去2回にわたって行われ一定の成果もみられた緊急事態宣言と違って初めてということもあり、取り組みをイメージしにくいからではないか。
重点措置の対象区域は知事の判断で市区町村単位に限定され、同じ都府県内で適用される地域とそうでない地域が生じることに周辺の住民には戸惑いもある。また知事には飲食店に時短の要請・命令し、過料も科す権限もあるが、緊急事態宣言のような休業にまで踏み込むことはできない。このため専門家からはどこまで感染抑止につながるか未知数との指摘もあり、効果がない場合は緊急事態宣言を考慮すべきだという声も上がっている。
重点措置の期間は、東京都以外が5月5日、東京都は11日までだ。政府は、大型連休中を含め対策を徹底し、高齢者にワクチンが行き渡るまでは何とか感染を抑え込むことで、よりダメージの大きい緊急事態宣言を避けたい考えだ。

【大型連休に旅行や帰省をするか】
大型連休を国民はどう過ごそうとしているのだろうか。

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ことしの大型連休中に旅行や帰省をするか聞いたところ、「予定がある」は3%、「予定はない」は78%、「まだ決めていない」は14%だった。「予定はない」が8割近くにのぼった。
ただ細かく見ると「予定はない」は若い人ほど少ない傾向にある。60歳以上の9割近くが「予定はない」と答えているのに対し、18歳から39歳までの人は6割余りにとどまり、「まだ決めていない」という人も3割近くに上った。コロナ禍が1年以上続き、自分や家族が新型コロナに感染する不安を「感じる」という人はすべての年代で8割を超えるが、連休の過ごし方には違いもうかがえる。

【内閣支持率/政府のコロナ対応の評価】

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一連の政府の取り組みも踏まえ、内閣支持率はどうだったのか。
4月の菅内閣の支持率は「支持する」は3月より4ポイント上がって44%、「支持しない」は1ポイント上がって38%だった。

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ただ政府の新型コロナへの対応を「大いに」または「ある程度評価する」と答えた人は44%、「あまり」または「まったく評価しない」人は53%で、再び「評価しない」が「評価する」を上回った。
今後変異ウイルスの拡大がどうなるのか、またワクチンはスムーズに行き渡るのかといった点が、内閣支持率などに影響を与えるという見方もあり、菅総理にとっては気の抜けない政権運営が続きそうだ。

【日米同盟を強化すべきか/人権問題で中国に制裁を科すべきか】
菅総理は現地時間の16日、日米首脳会談に臨む。バイデン大統領が対面で会談する最初の外国首脳となったことに菅総理は、「我が国との関係を極めて重視している証だ」と歓迎し、同盟関係をより強固にするきっかけとしたい考えだ。

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会談の主な議題の一つが中国への対応だ。バイデン大統領が中国を「唯一の競争相手」と位置付け、「民主主義と専制主義の闘いだ」とまで述べている以上、会談では突っ込んだやり取りも予想される。
アメリカと中国の対立が深まる中、日米同盟をさらに強化していくべきだと思うか、そうは思わないか聞いた。「そう思う」は70%、「そうは思わない」は16%だった。
また新疆ウイグル自治区の人権問題をめぐり、アメリカやEUなどは中国に制裁を科している。
日本も制裁を科すべきだと思うかどうか聞いたところ、「科すべき」は37%、「科すべきではない」は9%、「どちらともいえない」は46%だった。
G7=主要7か国で日本だけが制裁に加わっていないが、政府は中国側と意思疎通を続けながら状況の改善に向けた責任ある行動を強く促していく方針だ。会談では中国以外にも、新型コロナ対策や気候変動、北朝鮮問題など幅広いテーマが想定されていて、両首脳が個人的な信頼関係を築けるかも注目だ。

【政党支持率/衆院選の時期】
現在国会が開会中だが、各党の支持率は次の通りとなった。

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ことしは各党にとって特に重要な衆議院選挙の年だが、そのタイミングをめぐり菅総理の発言が波紋を広げている。これまで早期の解散に慎重な考えを示唆していた菅総理は6日、野党が内閣不信任決議案を提出した場合、解散の大義になり得るとしたうえで、ことし9月末に任期を迎える自民党総裁の選挙前の解散もありうるという考えを示した。

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今回、衆議院選挙をいつ行うべきだと思うか聞いたところ、「内閣不信任案の提出に合わせて」は9%、「7月の東京都議会議員選挙と同じ日」は7%、「9月の自民党総裁選挙の前」は19%、「10月の衆議院議員の任期満了に合わせて」は52%だった。支持政党別でみてもいずれの層で「任期満了」が5割台前後で最多だった。菅総理の先の発言とは必ずしも一致しない結果で、腰を据えてコロナ対策などに取り組んでもらいたいという国民の意識がうかがえる。
衆院の解散は時の政権にとって最も有利な時に行われるケースが多いが、今回は新型コロナの状況や東京オリンピック・パラリンピックの予定などもあって選択肢は限られ、先の発言も野党へのけん制という見方が自民党内で大勢だ。

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ただ菅総理としては、今後をにらんで政局の主導権を手放さないという決意を示し、求心力を高める狙いもあったものとみられ、与野党、そして与党内での駆け引きが活発になりそうだ。

(曽我 英弘 解説委員)

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