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「新型コロナワクチン 高齢者の接種開始を前に」(みみより!くらし解説)

米原 達生  解説委員

新型コロナの感染が再拡大する中、高齢者のワクチン接種が4月12日から始まります。一部の自治体では接種券の発送や、予約の受付も始まりました。接種開始を前に知っておきたいことについて、米原解説委員です。

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Q。
ワクチンの接種券、まだ私の両親の所には来ていないですが、始まっているんですか?

A。
厚労省が3月中旬にまとめた調査によると、全体の2割から3割の自治体が、接種券の発送を始めていて、今月中にほとんどの自治体で始まる予定です。ただ、最初はワクチンの量も限られるので、半数程度の自治体は段階的に配布する予定で、施設にいる高齢者や、高齢者の中でもより高齢の人を優先する自治体も多いです。

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接種までの流れを簡単におさらいします。まず接種券が市町村から自宅に届きます。
ここからの手順は主に3通りで自治体により様々です。まずは接種券と合わせて希望調査票が同封されていて、それに答えると接種の日時と場所を自治体から指定される方法。それから、自治体のコールセンター、もしくは医療機関に電話して予約する方法。そしてホームページで会場と接種日時を選んで予約する方法があります。自治体がこうした手順を組み合わせて受け付けていますので、同封される案内をまずは確認してください。

Q。
すでに予約が始まったところの状況はどうですか?

A。
電話予約は、混雑してかかりづらくなっているところが多いようです。例えば奈良県天理市では、最初の375人分の予約が開始後わずか50分で終わってしまったんですが、市が用意した電話の10回線はすぐにいっぱいになって、「電話がつながらない間に、予約が終わってしまった」という苦情もあったそうです。電話では接種券番号と名前・生年月日を言って予約するだけなんですが、接種会場への行き方とか、そもそも持病があって受けていいかどうかとか、いろいろ相談されたそうなんです。順調にいけば5分以内に終わる電話が、10分以上かかるケースもあったようで、予約が終わる間に市が受け付けられたのは75人分でした。

Q。残りの300人分は?

A。実は同じ時間に並行して受け付けていたホームページで予約が埋まってしまったんです。
ネットだとデータを一斉にやり取りするので、予約も早かったということなんです。
ただ、ネットの方が有利とも限らなくて、東京・八王子市は電話とホームページでそれぞれ枠を設けていたんですが、電話は混雑して1時間半、ホームページは20分で枠がいっぱいになったそうです。
ワクチンの数が少ない最初のうちは、電話はなかなかつながらないかもしれませんし、ホームページの予約も短時間で終わる可能性があることをまずは理解しておきましょう。夏ごろまでには高齢者は皆さん接種できますので、焦らないことも大切です。

Q。
そうはいっても感染の再拡大も迫る中で、いつ接種できるのかは本当に気になります。

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A。
今のところの供給スケジュールです。
最初に発送されるのは全国で100箱、注射器によって打てる回数は違いますが、1箱大体1000回分なので、およそ10万回分です。そのあと全国で500箱ずつ供給されますが、高齢者の数は3600万人ですから、この時期に接種できる人の割合はごくわずかです。
ワクチン接種が一定のボリュームで本格化するのは、すべての市区町村にワクチンが1箱ずつ、全部で1741箱供給される4月末以降になります。そのあと需要に応じて4000箱=400万回分が追加され、さらに供給が増えて6月末までに高齢者の2回接種分のワクチンが供給される見通しです。ですから、政府の分科会の尾身会長が「ワクチンが高齢者に届く6月ごろまでが正念場」と言っていましたが、引き続き感染対策をしっかりやること、そして、医療体制を整えることが大事になります。

Q。
いざ接種券が来て改めて考える人も多いと思いますが、変異ウイルスへの効果や副反応のことが気になります。

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A。
現在接種が行われているファイザーのワクチン、発症を95%予防するとされていますが、関西を中心に広がっている、イギリスで最初に見つかった変異ウイルスについては、効果があることが海外で確認されていますし、南アフリカで最初に見つかった変異ウイルスにも効果が見られたとファイザーは説明しています。ただ、変異の仕方によっては効果を下げる可能性も指摘されていて研究が続いているところです。
そして、副反応ですが、57万8000回の接種が終わった時点で、アナフィラキシーと呼ばれる重いアレルギー反応は47件で、割合としてはおよそ1万2000回に1度でした。全員が回復しています。

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こちらは比較的軽い体調の変化です。
先に接種を受けた医療従事者2万人を対象にした調査の中間報告ですが、2回目の接種の方が、頻度が高い傾向が出てきました。
まずは発熱です。横軸は接種当日から何日後かを示しています。1回目は青、2回目が赤の棒グラフなんですが、2回目の接種翌日に34%の人が発熱しました。その後1日か2日で回復しています。
頭痛、倦怠感(=だるさ)も同じ傾向が出ています。接種の翌日に半数程度の人に体調の変化が出て、2,3日で回復しています。
この調査はあくまで中間報告で、高齢者で同じ傾向が出るとは限りませんが、2回目の接種の時には、接種の2日後くらいまで体調を崩す可能性があると思って、仕事や約束のスケジュールを計画したり、接種した人に配慮したりしたほうがいいと思います。

Q。
なるほど。家族や職場は配慮が必要ということですね。

A。
はい。もう一つ、ワクチンのニーズが高まっている今、注意してほしいのが、詐欺です。

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先月、実際にあった事例です。
国から委託を受けた機関を名乗って電話があって、「近所の病院でコロナワクチンを打てる機会が出来た。60万円かかる。口座を知らせるので振り込むように」と言われたそうです。

Q。
60万円は高いですよね。

A。
はい、で、断ったら解約料として30万円を請求されたそうです。
このケースは電話を切って終わったそうですが、似たような手口が横行しています。ワクチンを中国製に変えて金額を1万円にしたり、「接種の後キャッシュバックされるからとりあえず振り込め」とか、「命と金とどっちが大事だ」と脅してきたり、といった具合です。多くは、国か厚生労働省か保健所の委託機関を名乗っています。
大事なのは、優先的に接種を受けられるといって金を振り込ませようとするのは詐欺だということです。なぜなら今回の接種は優先順位が国や自治体に決められていて、なおかつ、全部無料だからです。
ワクチンを打ちたいという機運が高まるのに合わせて、こうした詐欺が増えることが心配されていますので、ご注意ください。

Q。
感染の再拡大が迫ってくる中で、早くワクチンを打ちたいという気持ちに付け込まれないようにしないといけないですね。

A。
その通りです。それとともに、引き続き感染対策を緩めないことが大事です。
感染者が増えて、医療機関がひっ迫すると、人手が回らなくなってワクチン接種が遅れるという悪循環になりかねません。そうならないように個人の感染予防とあわせて、地域で感染拡大しないよう気を付けていく必要があります。

※ワクチンの効果・副反応の情報は、放送のあった4月6日時点のものです。
その後の研究・知見によって変わり得るのでご注意ください。

(米原 達生 解説委員)

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