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「ワクチン接種から1週間あまり 今後の見通しは」(くらし☆解説)

米原 達生  解説委員

国内で新型コロナワクチンの医療従事者向けの先行接種が始まってから1週間あまりとなります。私たち一般市民の接種はいつ頃になるのか、そして受けるかどうかの判断をどうするか、気になるワクチンの情報について、お伝えします。

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■接種のスケジュール■
Q)
ワクチンの接種、どれくらい進んでいて、今後はどう進むのですか?

A)
国内ではこれまでに約2万2000人に接種が行われました。今行われているのは医療従事者向け先行接種の1回目です。厚生労働省によりますと、26日の時点で副反応疑いとしての報告は3件で、接種直後に死亡したり、重いアレルギー反応が出たりしたケースは報告されていません。

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現時点のワクチン接種のスケジュールは、今行われている医療従事者およそ4万人への先行接種のあと、医療従事者、4月に高齢者に段階的に始まって、それ以降基礎疾患のある人と高齢者施設で働く人、一般の人という順で接種が行われる予定です。

■接種までの流れ■
Q)
高齢者を含めて私たち一般市民は、どういう手順で接種を受けることになるんですか?

A)
住民票のある自治体から接種券が送られてくるところからスタートです。

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左上が接種券の見本です。これを受け取ってから市町村のコールセンターや医療機関に電話するか、ホームページで事前に予約して会場に向かう形になりそうです。住民票とは別の場所に単身赴任をしている人や下宿している大学生は、この接種券やコピーを実家から送ってもらって自治体の窓口に持っていくなどして、今住んでいる自治体で接種したいと届け出れば、接種のために帰省しなくても大丈夫です。

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では、集団接種の会場で流れをみていきましょう。
まずは、持病やアレルギーについて書き込む予診票の確認をします。
予診票ですが、接種券に同封する自治体もあるので、きちんと記入して、署名して持っていきます。
注意が必要な持病としては、心臓・腎臓・肝臓や血が止まりにくい病気の人などとなっています。こうした病気の人は、主治医にあらかじめ相談しておくといいでしょう。

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この予診票に基づいて医師と接種するかどうか確認をしてから、ワクチンを接種してもらうんですが、今回のワクチンは、筋肉注射と言って、肩に近い場所に接種します。なので、肩まで出しやすい服装をしていくことも大事です。そのあと、普通の人は15分、予防接種でアレルギーの経験のある人などは30分程度、重い副反応が出ないかどうか待機します。何もなければこれで終了です。

■接種はいつごろ?■
Q)
高齢者が4月以降、私たちはそれより後、ということですが、いつ接種できるのかが気になりますね。
A)
いつ受けられるかについては、主に2つの要因があってなかなか見通しが難しいところです。

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ひとつはワクチンの供給スケジュールの問題です。
日本が輸入しているのはヨーロッパで製造されたファイザーのワクチンですが、世界的にワクチンが必要になる中で、EUはワクチンの輸出を「許可制」にしていてその手続きが必要です。高齢者の接種に向けては4月下旬から市町村への供給が本格的に始まりますが、その後、どの程度のペースで供給されるかはまだはっきりとは確定していません。
もう一つは自治体の態勢です。
厚生労働省が1月末の時点で市町村に、会場の選定や、医療スタッフの確保、相談体制の準備を実施したか、まだ検討中なのか調査していますが、黄色の所、まだ検討中と答えた自治体が多くなっています。
これを見ていると、特に医療スタッフの確保の検討中が、一番大きく、今後接種を進めるうえで、大きな壁になると思います。
限られたワクチンを、限られた医療スタッフで接種していくということになるので、私たちも予定と体調を管理して、できるだけキャンセルがないように協力する必要があると思います。

■安全性と有効性をどう考える?■
Q)
で、実際にワクチンの接種がきて、接種するかどうかという判断をするときに、安全性と有効性が知りたいですよね。

A)
承認審査にあたって出された海外の臨床試験の結果をご覧いただきましょう。

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左のグラフで2回のワクチン接種から7日以内に出た症状が青の棒です。水色の棒は比較対象のために偽薬と言って体に害のない別のものを打った人たちです。ワクチンを打った人は8割以上の人に接種したところに痛みが出ています。疲労が6割、頭痛が半数余り、38度以上の発熱も1割から2割程度出ています。
1回目より2回目の接種の方がこうした症状が出る割合は多くなっていて、接種の翌日から3日以内に症状が出るケースが多いとのことです。一部、経過観察期間の1か月間症状が続いた人がいますが、ほとんどは1日で治ったということです。
これはすでに接種が始まっているアメリカのレポートを見てもほぼ同じ傾向です。これに加えて重い副反応の疑いとしてはアナフィラキシーという重いアレルギー反応が100万回の接種で5件程度なのでかなり稀ですが、報告されたということです。接種のあと会場でしばらく待機するのはその対応ができるようにするためなんです。

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一方の有効性は右側のグラフです。横軸が1回目の接種からの日数、縦軸が感染して発症した割合です。偽薬には発症予防効果はないので、日数が経過するにつれて感染・発症する人が増えていきますが、ワクチンを接種した人では発症する割合が低く抑えられています。発症した人の割合は20分の1ということで有効性は95%となります。
厚生労働省は有効性が安全性を上回っているとしてワクチンを承認し、私たちは無料で接種を受けられます。最終的には私たち一人一人が、接種を受けるメリットとリスク、また、受けないことによるリスクとメリットも天秤にかけて、判断するということになります。

■副反応は「ある」ことを想定して準備■
Q)
副反応についてはかなりの割合で出るということを前提に、接種を考えたほうがいいということですね。
A)
個人の判断もそうですが、職場でもそれを前提に準備することが大切です。
多くの医療機関では、同じ診療現場の人は接種する日を分散して、診療に影響が出ないようにする工夫をしています。同じような配慮は、一般の職場などでも必要になるだろうと思います。

接種の日程や、いま行われている先行接種での詳しい結果は、これから明らかになってくることも多いと思います。出てくる情報に今後も注目していただいて、納得して接種を判断していただきたいと思います。

(米原 達生 解説委員)

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