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「生活に行き詰る前に 相談を!」(くらし☆解説)

今井 純子  解説委員

2度目の緊急事態宣言が続いている中、収入が減ったり、借金が返せなくなったりして、生活に行き詰る人が増える心配があるとして、日弁連が全国で電話相談会を開くことになりました。今井解説委員。

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【生活に行き詰る人。心配ですね】
本当に心配です。各地の支援グループや弁護士会には、
▼ コロナの影響で仕事が減って、収入がほとんどない。貯金を崩して生活してきたが、ほぼ底をついてしまった。
▼ コロナの前は月収が30万から40万円あったが、今は5万円くらいに減ってしまった。政府の支援制度も使い切ってしまい、これ以上おカネを貸せないと言われた。
▼ 年金とパートで暮らしていたが、パートがなくなり、住宅ローンが払えなくなった。
▼ 飲食店を続けるために1000万円を借りたが、結局、廃業。いずれまた事業を始めたいが、借金を返せない。
▼ コロナで大学の非常勤講師の仕事を失い、生活のために借りていたカードローンや奨学金の返済ができなくなった。
といった相談が相次いでいます。
月を追うごとに、借金の相談、正社員からの相談も、増えているということです。

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【深刻ですね】
▼ 企業やフリーランスで働いている=仕事がある人を対象にしたアンケート調査では、9月から11月の家計収支について30%近い人が「赤字」だったと答えています。フリーランスだけだとその数字が40%を超えています。
▼ そして、年が明けて、2度目の緊急事態宣言が出され、解雇や雇い止めで職を失った、あるいはその見通しの人は、累計で、8万8000人を超えました。コロナの影響で倒産した企業の数も、累計で1000社を超えています。
▼ 仕事を求めている人1人に対して、企業から何人の求人があるかを示す有効求人倍率は、全国で1.06倍。新しい仕事を探すのも厳しくなっています。
これまで、貯金を取り崩したり、政府の支援策を受けたりして、なんとかやりくりしてきたけれど、もうどうにもならない・・と生活に行き詰まる人が増えるのではないかという心配があるのです。

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【支援策は強化されていないのでしょうか?】
2度目の緊急事態宣言を踏まえて、融資などの追加支援策が打ち出されています。また、年末からコロナによる借金の減免制度の運用も始まっています。
まず、融資や補助から見ていきましょう。
▼ 新型コロナウイルスの影響で、収入が突然減って、一時的に生活費に困っている世帯が、最大20万円まで無利子でかりられる「緊急小口資金」。さらに、120万円まで借りられる「総合支援資金」の特例制度。「すでに、あわせて140万円、満額を借り切ってしまって、これ以上借りられなくなった」という人が増えていることから、総合支援資金をさらに3か月間、最大60万円、借りられることになりました。

【あわせて200万円まで借りられるのですね】
はい。先週19日から、全国の市区町村の社会福祉協議会で、受付が始まりました。3月末までに申請する必要がありますので、注意が必要です。
▼ 次に、仕事を失ったり収入が減ったりして家賃が払えなくなった人に、自治体が一定額を上限に家賃を支給する制度。最長で12カ月、支援を受けられますが、これまでは、いったん収入が戻って支援の対象基準から外れた場合、休業などで再び収入が減っても2度目の支給を受けることができませんでした。それが、3か月間、再び支給を受けられることになりました。これも3月末までに申請する必要があります。
▼ さらに、例えば、勤務のシフトを大幅に減らされたのに、会社から休業手当が支払われない人を支援するために国が直接おカネを配る「休業支援金」。これまでは中小企業で働く人だけが対象になっていたのを、大企業のチェーン店などで働くパートやアルバイトなどにも対象が広がることになりました。今回の緊急事態宣言に加え、去年・1回目の緊急事態宣言の期間にも、遡って適用されます。

【生活に困っている人が受け取れる支援策。拡充はされているのですね】
ただ、冒頭の相談例にもあるように、このところ、生活が厳しいのに加え、借金の返済ができなくなった、という相談も増えきているというのです。
そもそも、無利子の融資。これも結局は借金です。
今回の追加支援で、緊急小口については、2021年度、または、22年度の住民税が非課税になる世帯は、返済を一括で免除する。つまり、20万円まるまる返さなくてもよい。という方針が打ち出されましたが、最大180万円の総合支援資金については、免除の詳しい要件が決まっていません。それだと、せっかく制度が拡大されても、借金が増えるだけではないかと、利用を躊躇する人がでかねません。生活に行き詰っている人が借りやすいよう、返済免除の要件は、ぜひ、寛容にする方向で検討してほしいと思います。

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【その上で、その他、様々な借金が返済できないという人はどうしたらいいのでしょうか?】
12月から、コロナの影響で借金が返せなくなった人について、自己破産とは別の方法で、返済を免除、減額してもらえる制度の運用が始まっています。
対象になるのは、個人と個人事業主で、カードローンや住宅ローン、事業のために借りたローンなどの借金があって、残っている財産を処分しても返せない。あるいは、近く返せなくなることが確実という方です。自己破産とは違って
▼ 住宅ローンだけなら、なんとか払うことができるという方については、住宅ローンだけを切り離して、それ以外の借金を減免する方法を取ることもできます。
▼ また、ローンを免除してもらっても、金融機関の信用情報=いわゆるブラックリストに載ることもありません。ですから、新たに事業を始めるための融資を受けることもできます。
▼ さらに、原則、連帯保証人に請求がいくこともありません。
弁護士などの支援も無料で受けられます。

【自己破産と比べると、メリットがあるのですね】
対象になるのは
▼ コロナの感染が広がり始めた「去年2月1日以前に借りたローン」
あるいは、去年の10月30日までに、コロナに対応するために借りたローンに限られますが、12月にスタートして、年内に100件近く。年が明けてから、加速するペースで、利用の手続きが始まっているということです。

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【支援の仕組みはいろいろ整ってきているのですね。どこに相談すればいいのでしょうか?】
窓口はバラバラです。また、それぞれ細かい要件もあり、どの支援制度が使えるのか、わからないという方が多いと思います。様々な支援団体が相談を受け付けていますが、あす25日には、日弁連が、全国一斉の無料の電話相談会を開くことになりました。全国共通で、こちらの電話番号です。

【0120-254-994ですね】
はい。借金や貧困、消費者問題などに詳しい専門の弁護士が、幅広い相談に無料で応じ、必要な窓口に導くことになっています。生活保護についても、政府は、利用する人の心理的ハードルを低くする形で弾力的に運用する=利用しやすくする方針を打ち出しています。なんらかの解決方法が見つかるはずです。

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コロナで生活に困っている。ローンの返済が難しくなっているという方は、ひとりで悩みを抱え込まず、行き詰まる前に、とにかく相談をしていただきたいと思います。

(今井 純子 解説委員)

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