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「冬の新型コロナ対策 私たちにできること」(くらし☆解説)

矢島 ゆき子  解説委員

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緊急事態宣言が10都道府県で延長されました。まだまだ新型コロナウイルスの感染が続いています。感染者はまだ多く、医療のひっ迫が続く中、多くの方が、感染しても入院しないで自宅で過ごす自宅療養をしています。冬の今、改めて確認したい、冬の新型コロナウイルスの対策として私たちができることについて解説します。

◆冬、新型コロナウイルスの感染リスクが高くなる理由と私たちができること

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当初から、冬に新型コロナウイルスの流行が拡大するかもと言われていましたが、その予測の通りになりました。冬に感染リスクが高くなる主な理由は3つ。①「冬、ウイルスが元気になる」ということ、そして②「冬には私たちの防御能力が弱くなってしまう」ということ。また③冬は寒いので「室内をしめきりがち」な環境が理由として考えられます。
「冬、ウイルスが元気になる」というのは、気温が低く、空気が乾燥すると、新型コロナウイルスが感染力をもつ時間が、より長くなるということがわかっています。例えば、「35℃-60%」ならウイルスの生存時間は2時間。「24℃―20%」と気温・湿度が下がると15時間と長くなることがわかっています。「ウイルスに対する私たちの防御能力が弱くなる」というのは、例えば、冬は冷たい空気が入ってくるため、私たちの鼻の中の温度が下がり、鼻の免疫力が低下してしまうからです。また鼻・のどの奥には「線毛」があるバリアゾーンがあり、ウイルスなどの異物が入ってくると「線毛」が動いて外へと押し出してくれます。この線毛は粘液でおおわれているので、寒くて乾燥すると、動きが鈍くなり、バリアが弱くなり、鼻などの免疫力が低下するのです。そして、「閉めきりがちな」というのは、密閉、つまり換気が悪いということ。新型コロナは飛まつ感染・接触感染などで広がりますが、特に3密(密閉・密集・密接)の環境で広がりやすいのがわかっています。閉めきりがちな環境は、人が集まる場合、また感染者がいる場合はどうしてもリスクが高くなります。
冬という寒くて乾燥する季節がどうしようもありませんが、私たちにできることもあります。まず加湿器などを使い、適度な湿度、具体的には、40~60%を保てると線毛の動きが良くなり、ウイルスが体内に入ったときに身体の外に押し出しやすくなり、感染リスクが下がります。また、換気も私たちができること。空気のとおり道をつくり、部屋全体に外からの新しい空気が流れるようにすること。例えば「30分に1回、数分間」というように閉めきらないように。そして「マスク」をつけること。マスクは感染予防効果だけでなく、鼻やのどを保湿・保温する効果もあるといわれているのです。

◆自宅療養している際に気をつけたいこと

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「自宅療養」でも、感染しているので、人にうつす可能性があり、症状があった場合、最短でも発症から10日間、外出禁止です。自宅療養する場合、家族・同居者がいる場合、新型コロナウイルスを感染させないための工夫が必要です。
まずは感染者と家族・同居者が接する時間をできる限り減らすこと。できる限り感染者は個室で過ごし、食事も別々に。感染者の世話が必要な場合は、感染リスクが高くなるので、できれば決まった一人の人がするように。そして、家庭内の場所(トイレ・洗面所など)や物(タオル・食器など)共用を可能な限り避ける。どうしても教養せざるを得ないことも多いと思います。その場合は、トイレ、ドアノブなどの共用する部分の掃除・消毒を。そしてこまめな換気・手洗い・マスクの着用を心がけることが大切です。また感染者の食事などで出たゴミは密封し捨てましょう。

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自宅療養中に新型コロナウイルスでの症状が悪化することがあるかもしれません。特に発症から約1週間前後に注意が必要で、「息切れ・息苦しさ」が強くなると、新型コロナが悪化している可能性があります。息切れ・息苦しさが現れなくても「低酸素症」になることもあり、パルスオキシメーターという血中の酸素濃度を測定する医療機器が地域によってはすでに自宅療養者に貸し出してくれています。93-94%くらいになると酸素吸入をした方がよいと言われて、症状が乏しい低酸素症を早期に見つけることができると考えられています。ともかく異変を感じたら、保健所に相談し、至急の場合は救急車を呼んで下さい。

◆新型コロナウイルスの潜伏期間は長くて14日間

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日頃から注意していても、これって新型コロナウイルス?と思う症状が出ることもあるかもしれません。新型コロナウイルスの潜伏期間は長い場合14日で、平均が5日前後といわれています。
濃厚接触者の可能性がある場合は、感染者と接触した翌日から14日間は、健康状態のチェックを。発熱、咳・だるさ・食欲低下・息切れ・息苦しさ・痰・筋肉痛・嗅覚・味覚障害等の症状の有無のチェックを。そして発熱などの症状があれば、相談センター・医療機関などに相談して、必要に応じて検査を。

最近、自宅療養中で残念ながら亡くなった方の報道もあり、自宅で過ごしている感染者の方は、心配されているかと思います。例えば、自宅療養が決まったあと、医療関係者の人と電話やオンラインで定期的にやりとりができるだけでも心配が減るかと思います。ぜひ、国・自治体・医療機関には、安心して自宅療養できる環境整備をさらに進めてほしいと思います。また医療が必要な人が必要な時に入院できるためにも、まだまだ感染者を減らし、今の医療のひっ迫度を減らす必要があります。そのためにも、私たち一人ひとりが、できる限り外出を控え、人との接触を減らす・マスクをする・3密を避ける・手を洗うといった基本的な感染対策を続けることが大切です。

(矢島 ゆき子 解説委員)

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