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「コロナ禍で変わるコンビニ」(くらし☆解説)

神子田 章博  解説委員

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Q 緊急事態宣言が再び発出されたことで、暮らしにも大きな影響がでそうですね?

A そうですね。今回、政府は一日を通じて不要不急の外出自粛を呼び掛けていますので、いろんなお店で営業時間を短縮する動きがでているのですが、そうした中でも、コンビニは通常通りの営業を続けています。
 そのコンビニがコロナ禍を受けて変化しつつあるという話を今日はしたいんですが、まずこちらのグラフをごらんください。

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これは去年の緊急事態宣言の際に、小売業の売り上げが前の年に比べて増えたか、減ったか業態別に見たグラフです。百貨店が大きく落ちたのに対し、身近なスーパーや食品スーパーの売り上げが増えていたのですが、身近なコンビニも減っていたんですね。

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 これはテレワーク・在宅勤務で家で食事をする人が増える中で、近所の店で食材を買い求める人が増えた中で、品ぞろえが豊富で、価格も安いスーパーに行く人が多かったのに対し、まとめ買いでは、コンビニは競争上不利な面がありました。

Q 確かに買い物に行くのも三日に一回にしようという呼びかけもありましたから、まとめ買いだったらスーパーのほうが便利かもしれませんね

A それと、コンビニといえば、おにぎり、お弁当などいわゆる中食といわれる商品を通勤の途中に買ってもらって売り上げを増やしてきたのですが、在宅勤務が増える中でこうした需要が減ったことも苦戦した要因です。
そこでコンビニチェーン側はこの半年でこうした需要への対応策を打ち出してきました。まず品ぞろえの強化です。とくに住宅地にある店では、冷凍食品や野菜、それに納豆や豆腐など食材となる商品を増やしました。

Q 納豆や豆腐ですか?これまであまりコンビニで買うというイメージがなかったですが、売れているんですか?

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A はい。ローソンの場合、納豆や豆腐、あぶらあげといった商品の売り上げは、去年4月から先月末までは前の年に比べて52%も増えたということです。最近では、ご高齢の方なども含め、かごをもって店の中をぐるぐる回りながら買い物をする光景もよくみられるようになったそうです。
 ところで岩渕さん、コロナ禍でコンビニでの販売が増えた商品がいくつかあるんですが、何か思い当たるものはありますか?

Q なんでしょう?

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A 一つはスウィーツ。お菓子ですね。コロナ禍でどこにもでかけられず、せめて甘いものでも家で食べようという心理が働いているのではないかとコンビニチェーン側は見ています。それともうひとつがお酒です。お店も8時でしまる、外出は自粛を求められている、それでも飲みたいものは飲みたいというひとが家で飲む、いわゆる家飲み需要で、売り上げが増えています。ちなみにビールについていいますと、カロリーゼロ糖質ゼロなどの銘柄の売り上げが伸びているということです。
 このように消費者のニーズが変わる中で、コンビニチェーン側も、売り場の作り方を変えています。これまでコンビニといえば、どの場所にどの商品を陳列するか、画一的な面があったのですが、コロナ禍を受けて、これを住宅地とか、街道沿いとか、お店の立地場所によって店内のレイアウトも変えようという動きが出ています。
 たとえばセブンーイレブン・ジャパンでは、住宅地にある店について、デザートを置いてあるケースを増設。さらにアルコール飲料について、いままでガラスのケースのなかにおいて、ドアをあけて取り出す仕組みになっていますが、これをスーパーのようにむき出しておいて、取りやすくする。そして、その横には酒のつまみになる総菜が置いてあるといったレイアウトにする店を増やそうとしています。実験的にレイアウトを変えた店では、スイーツやお酒の売り上げがほかの店より増えていまして、セブンーイレブンではこうした店を来月までに一気に6000店舗まで増やす計画です。

Q 6000店舗で一気にですか。消費者の需要の変化に応じて機動的に対応しようとしているんですね。そのほかにコロナ禍のコンビニどういう対応が求められているのでしょうか?

A ひとつは、コロナの感染をおそれてできるだけ外に出歩きたくない方のために、ネットで注文を受けた商品を宅配する体制を強化することが求められています。
ローソンが全国のおよそ1500の店舗で「ウーバーイーツ」が運営するなどの宅配代行サービスを利用して、商品を配達するサービスを行っているほか、セブンーイレブンも物流会社と提携して実証実験を進めていて、来年度以降1000店舗規模で展開したいとしています。ただ注意しないといけないのは、店で買うより商品の値段が割高になること、それとは別に配達料も払わないといけないということなんですが、コロナ禍で利用者が急激に増えているということです。
 それともうひとつ、コロナ禍で課題になるのが、食品廃棄、売れ残った商品を廃棄してしまう問題です。

Q 食品の廃棄といえば、いわゆる「食品ロス」にもつながるとして、これまでも大きな問題となってきましたね。

A はい。今回の緊急事態宣言で、飲食店が8時に閉店するなか、お弁当などを販売するコンビニを頼りにする面が大きくなっていると思います。店側としては十分な量を仕入れて客にニーズにこたえたいわけですが、その一方で、外出の自粛が求められる中、夜通し開いている店にどれだけお客さんが来てくれるか読みにくいところがあります。各コンビニチェーンは、食品ロスが社会問題となる中、これまでも廃棄を減らすよう取り組んできましたが、コロナ禍を受けて、消費期限が長い冷凍食品やチルド食品の品ぞろえを強化する一方で、消費期限の短い商品は値下げして早めに売り切ってしまおうという動きを強めています。

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これまでは値引きをするにも、コンビニチェーンによっては、値引きする商品ごとに手書きの伝票を記入する必要など煩雑な手続きが必要だったんですが、ファミリーマートは、対象の商品にバーコードをはりつけるだけでできるように簡略化しようとしています。またローソンでは、顧客の同意を得たうえで、その顧客の購買と行動の履歴を分析し、その客が店の近くに来そうなタイミングを狙って、商品が値引きされたという情報を、客のスマートフォンに通知する仕組みを、来年度中にすべての店舗に導入したいとしています。

Q きょうは、コロナ禍を受けてのコンビニの様々な取り組みを紹介してきましたが、私たちが何か気を付けたほうが良いことはないでしょうか?

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A そうですね。社会全体が感染防止への取り組みが求められますから、コンビニに行く際にも買い物の密を避けるために、来店客の比較的多い昼前とか、夕食前の買い物時間帯を避けて、その合間にゆくとか、あるいは商品にむやみに手に取って触らないとか、あらかじめ買うものを決めておいて買い物を短時間で済ますとか、こうしたことはスーパーに行くときも同じですが、コンビニも、地理的な身近な店でよくいくことにもなるかもしれないだけに、そこでの感染防止にも気を使うようにできたらよいと思います。

(神子田 章博 解説委員)

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