NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「年末年始 広がる 買い物の選択肢」(くらし☆解説)

今井 純子  解説委員

新型コロナウイルスの感染が再拡大している中、消費者が密を避けながら買い物ができる選択肢が広がっています。今井解説委員。

k201216_1.jpg

【全国一斉にGoToトラベルを一時停止することが決まり、年末の買い出しも気をつけなければいけないと思っています】
各地で不要不急の外出を自粛するよう呼びかけも行われていて、消費を控える動きが強まっています。クレジットカードの利用情報をもとに算出した消費の動向を示す指数をみると、11月後半は、一年前と比べてマイナス10.9%と、11月前半より5.8ポイントも悪化しました。デパート、スーパー、それに、コンビニ、すべてマイナスとなりました。

k201216_4.jpg

【感染拡大の動きが止まらない中、買いたいものはあっても「今はがまんしよう」という動きが、これから一段と強まりそうですね】
そうですね。ただ、それだと店側は困るので、ネットを通じてなんとか、需要を取り込もうと、模索をしています。実際、春の緊急事態宣言のころと比べると、消費者が密を避けながら買い物ができる選択肢が、広がってきています。まず、デパートです。
都内のデパートの中には、スマートフォンに、アプリをダウンロードすることで、店に行かずに店員の接客を受けながら買い物ができるサービスを、先月から始めたところがあります。まず、チャットをつかって、店側に、どのような商品を探しているかを伝えます。例えば、手持ちのセーターの写真を送って、それにあうスカートとネックレスを探している、といった内容です。そして、価格のメド、サイズ、どのようなシーンで着たいのか、といった要望を伝えます。

k201216_6.jpg

すると、専門のスタイリストが、ブランドの枠を超えて、商品を絞り込んで、写真を送ってくれます。

k201216_8.jpg

気に入ったものがあれば、次は、予約をとってオンラインでの動画でのやりとりに移ります。
納得したら、アプリ上で決済ができます。商品が届いて、サイズがあわなかったり、イメージが違ったりした場合、返品も交換も受け付けてくれます。
デパートでのこうしたサービス。ネットでスタイリストのアドバイスを受けることができる上、広い店内を歩き回る時間の節約にもなります。遠くに住んでいる方も利用できるというメリットもあります。

【気に入るものがなかったら、買わなくてもいいのですか?】
はい。買わなくても大丈夫ということです。こうしたオンライン接客。これまでも個別のブランドやアパレルのチェーン店などで広がっていましたが、扱う商品数がはるかに多いデパートでも取り組みが始まったということです。

k201216_14.jpg

【それだけデパートも必死だということなのですね】
時代にあわせて売り方を変えていかないと生き残れない。そのような危機感が背景にはあります。
次は、日常の生活に欠かせないスーパー。ここでも、ネットで買い物ができる選択肢が増えています。

【もともとネットで注文をしたら、家まで届けてくれるネットスーパーはありましたよね】
はい。ですが、春の緊急事態宣言の時には、パンク状態でした。私もネットスーパーで、何度も注文しようとしたのですが、いつも利用の枠が埋まっていました。その理由のひとつに、「配送網の限界」がありました。

k201216_17.jpg

そこで、その課題を克服しようという取り組みが進んでいます。ひとつは、外部の配送網の利用です。

【他社に配送を頼むということですか?】
そうです。例えば、ライフコーポレーション。もともとの配送網に加えて、東京や大阪の一部の地域で、アマゾンのサイトから、生鮮食品や総菜、日用品などを注文できるサービスを始めています。アマゾンの配送網を利用できますので、それだけ、お客さんを増やすことができます。

k201216_21.jpg

もうひとつは、お客さんに店まで取りに来てもらおうという取り組みです。

【取りにいかなければいけないのですか?】
ただし、他のお客さんとの接触をできるだけ避ける形をとっています。
例えばイオンですが、自宅への配送に加え、店の専用カウンターや、専用のロッカーで、頼んだ商品を受け取れたり、車に乗ったまま受け取れたりするサービスを、一部の店で始めています。駐車場に専用のレーンを設けて、インターホンで連絡すると店員が商品を持ってきてくれる店もあります。配送網のネックがありませんので、より多くのお客さんに、密を避けてネットスーパーを利用してもらえるという考えです。

k201216_25.jpg

さらに、ネットコンビニの動きも始まっています。

【ネットコンビニですか?】
はい。
▼ セブンイレブンは、東京・広島・北海道の一部の地域、およそ320店舗で、スマホから注文を受けた弁当やおにぎり、飲み物、日用品などを自宅や職場に届ける実証実験に取り組んでいて、少しずつ取り組みを拡大しています。
▼ また、ローソンも、27の都道府県のおよそ1500店舗で、ウーバーイーツと組んで、商品を指定の場所まで届けるサービスに取り組んでいます。
いずれも、まだ一部の地域、一部の店舗の取り組みですが、注文して最短30分程度で届くということで、若者にも人気だということです。

k201216_28.jpg

【こうした取り組み。子育てや介護などで外出しづらい。という方にとっても便利ですよね】
そうですね。本来10年かかると見られていた時代の変化が、コロナによってこの1年で一気に進んでいるとも言われています。買い物についても、様々な消費者が利用しやすい、様々な選択肢を一気に進めてほしいと思います。
最後に、こちら。年末年始、おせちや福袋が楽しみという方もいると思いますが、これも、例年とは違い、ネット販売への移行が進んでいます。

【おせちはもともとネット販売が多かったですよね】
そうですが、今年は、その傾向が一段と強まっています。多くのデパートでネット中心に注文が大幅に増え、早くから売り切れになる商品が出ているということです。「高額のおせち」。あるいは、取り分けをする必要がない「個食がセットになったおせち」が人気だということです。

【高額のおせちが売れているのですか?】
旅行や帰省をあきらめて家で正月を過ごすので、せめておせちは、ふんぱつしたい。という方もいるようです。一方の福袋。

【毎年、初売りの日に大行列ができますよね】
はい。店頭の混雑を避けようと、福袋についても、ネットで予約を受け付け自宅まで配送するデパートが増えています。中には80%の福袋がネット注文というデパートもあります。その上で、一部、店頭で販売する分も、初売りの1月2日や3日はやめて、年内。あるいは、1月4日以降に販売することで、店頭に来るお客さんの分散化をはかる動きもでています。

k201216_33.jpg

【正月の風景も変わりそうですね】
そうですね。ネットも活用して、密を避けながら早めに年末年始の準備をすることが大事になってきそうです。ただ、ネットだと、つい、買いすぎてしまうという指摘もありますので、その点は注意が必要かもしれませんね。

【必要な買い物に絞って、ネットをかしこく利用して、あとはゆっくり自宅で過ごす。そのような正月になるかもしれませんね】

(今井 純子 解説委員)

キーワード

関連記事