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「『第3波』の中忘年会シーズンへ 注意のポイントは」(くらし☆解説)

米原 達生  解説委員

「第3波」ともいわれる感染拡大の中、飲み会の機会も増える季節を迎えました。感染も怖いしどうしよう、という方もいらっしゃると思います。どうすれば感染リスクを減らせるのでしょうか。

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Q。
このところ感染が拡大していますよね。

A。
改めて感染のグラフをみてみると、11月に入って新規感染者の数が過去最多を何度も更新しています。政府もGOTOイートを含めて、GOTOキャンペーンの見直しを行うことになりました。

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では飲食店でどの程度感染しているかというと、各自治体で公表されたクラスターの発生件数の累計を見ると、飲食店でのクラスターが全体の4分の1を占めているんです。お酒も入り声も大きくなるなかでマスクを外して長時間いることが要因とみられます。飲み会での感染が家庭に広がるケースも多いのも問題です。

Q。
飲み会のどういう局面で感染が起きているんですか

A。
実際に集団感染が起きた事例を国立感染症研究所がまとめているのでご紹介します。

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この飲み会、店内のテーブル席に7人が座りました。対面に座る人との距離は1m程度です。発症者は咳が出る症状があったということです。3時間ほどの会食で4人が感染しました。比較的距離のあった人と、30分くらいの参加だった人の2人は感染しませんでした。

この事例から言えることは▼症状が出ている場合は、絶対に飲みに行かないということ。
そして▼距離が大切だということです。


距離がポイントということですか?


スーパーコンピューターを使った解析でもそれが明らかになってきています。

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60センチ四方のテーブルを2つ組み合わせた席に4人が座ったと仮定したシミュレーションです。対面の相手との距離は80センチ、隣の席の人との距離は40センチとします。
対面の人に届く飛沫の数を1とすると、隣の人に到達した飛沫は5、斜め向かいは4分の1だったということです。
飛沫の飛ぶ方向は話す方向に直線的で、ほかの人にはほとんど向かわなかったということです。
シミュレーションでは風の影響は考慮されていないので一概には言えませんが、距離が1メートルを割り込んでからは急に多くなる印象だと研究者は指摘しています。
テーブルの大きさや隣の人との距離はとても大事だということになります。

Q。
他のグループからの感染を避けるという意味で、個室とかどうでしょう?

A。
個室では換気がキーポイントになります。こちらも事例があります。

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個室で7人が4時間程度開いた飲み会です。テーブルの幅は1.5メートルほどですから比較的大きいほうだと思います。ただ、個室の出入り口は空いていましたが、店の奥にあって窓がなく、換気という意味では不十分だったんです。また、詳しい場所はわかりませんが、発症者が席を移動していたようです。一番遠い場所にいた人以外の5人の感染が確認されました。
個室での換気の悪さ、そして席の移動が集団感染を招いた恐れがあると指摘しています。


私たち自身の行動もポイントなんですね。


飲み会での行動が集団感染を招いたとみられる事例をもう一つご紹介します。

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店内に10人余りがいたケースです。発症前の感染者がいたグループが回し飲みをしていたんですが、全員が感染しました。ほかのグループから回し飲みに参加したとみられる2人も感染したということです。店の店長もこのグループと一緒に飲んでいて感染が確認されました。回し飲みや返杯はリスクになりますし、新型コロナは症状が出てくる2日ほど前から感染力が出てくるとされていますので、症状がなくても、あまり羽目を外さないことが大事です。

Q。
私たちが店を選ぶとき、何の対策が取られているかを大切にすればいいのでしょうか?

A。
北九州市で飲食店の感染対策に産官学で取り組んでいる産業医科大学の永田昌子学内講師に聞きました。最優先なのは飛沫対策がしっかりしている店だといいます。

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一番のポイントは、テーブルの対面に仕切りを置いていることです。多くの店ではほかのグループとの間に仕切りを置いていますが、そうではなくて、対面客との間に仕切りを置いている店はリスクがぐっと減るということです。もしない場合は、テーブルが大きい店や、席にゆとりがあって隣の席をひとつあけたり、斜めに座ったりして距離を保てる店を選ぶことが大事だと話しています。

もし、個室を選ぶなら、大事なのは換気です。個室に窓があって、扇風機やサーキュレーターなどで空気が流れていくことが大切だといいます。

また接触感染を減らすため、メニューは大皿料理や鍋よりも、小分けされているものを選ぶこと、タッチパネルは、注文する人を1人にするなど、客が意識することでリスクは減らすことはできるということです。永田講師は「私たちがしっかり店を選ぶことで、感染対策に取り組む店が増えていけば、それが全体の感染対策にもつながっていくのではないか」と話しています。

Q。
政府もここにきて、GOTOイートを見直していますが、引き続き飲み会をしてもいいのでしょうか?

A。
経済を回していくという意味では「飲みに行かないで」とはなりませんが、「今まで通り」というわけにはいかないと思います。政府や医療関係者が呼び掛けていることをまとめてみました。

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▼症状があれば行かない:これは最低限守らなければならないことです。
▼静かなマスク会食:食べる時以外は会食中もマスクということで、店をのぞくと実践している人が出てきましたが、会話は聞こえにくいので店側も静かな店内環境を作ることが必要だと思います。
▼大人数、長時間は避ける:人数が多い、あるいは長時間飲食すると、大声にもなりますしリスクが増えるからです。限られた人数のいつものメンバーで行くことが大事だと思います。時間に関しては、東京が小1時間、大阪や京都は2時間以内など、各地で呼び掛けていることを参考にしましょう。
▼感染対策している店を選ぶ:これが自分の身を守り、ひいては全体の感染対策につながります。
▼頻度は10日に1度:東京都医師会の尾崎会長が呼び掛けているのですが、もし飲み会で新型コロナに感染したとしても、10日以内に症状が出てくるか、ウイルスが出なくなるとされているので、感染の連鎖を防げるというものです。

聞き慣れない呼びかけもありますが、これ以上急速に感染が拡大して、半年前のような行動制限を伴う強い措置が行われる事態になる前に、できることをするに越したことはありません。忘年会シーズンの後には年末年始の帰省シーズンを迎えますから、飲食店には今のうちに対策を求めたいと思いますし、私たちもできることを組み合わせて感染リスクを下げていく必要があります。

(米原 達生 解説委員)

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