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「今年はどうなる?インフルエンザワクチン」(くらし☆解説)

矢島 ゆき子  解説委員

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10月1日から全国の市町村でインフルエンザワクチンの予防接種がはじまりました。
この冬は、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行する可能性があり、私たちが経験したことのない、特別な冬になるかもしれません。新型コロナウイルスは、まだワクチンもなく、治療法も確立はしていないので、せめてインフルエンザは予防したいと考えると、インフルエンザワクチンの接種が大切です。

◆インフルエンザワクチンの効果

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ワクチンを打つと、体の中にウイルスを攻撃する「抗体」が作られます。インフルエンザウイルスが鼻やのどから体の中に侵入し、感染すると、その時に「抗体」がウイルスを攻撃してくれるのです。インフルエンザワクチンはウイルスの「感染」は防げませんが、「発症」を防げることもあるし、また、発症しても「重症化」をかなり防げるのではないかと、その効果が期待されています。

◆インフルエンザワクチン 今年の状況は?

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新型コロナウイルスも流行している今年、インフルエンザワクチンの接種希望者は増えるかもしれません。
今シーズン、国内のインフルエンザワクチン供給量はおよそ6356万人分の見込みです。前のシーズンは、5928万人分なので、およそ400万人分増え、ここ5年間では、最大の供給量といわれていますが、インフルエンザワクチンは足りるのでしょうか?

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9月、厚生労働省から、「季節性インフルエンザワクチン 接種時期 ご協力のお願い」が出されました。
接種時期を大きく2つにわけ、接種できる人の優先順位をつけています。
10月1日からは、65歳以上の高齢者と、60歳以上で心臓・腎臓・呼吸器の働きがかなり悪化している人などが優先です。これは、インフルエンザにかかると重症化する可能性の高い人たちです。
そして、10月26日から。医療従事者、基礎疾患のある人、妊婦、生後6か月~小2年までの子どもが優先です。持病などない大人などは10月26日以降に、希望者は接種できるということです。

ただ、小さなお子さんは、インフルエンザに感染すると、重い合併症を引き起こすことなどがあるから、子どもの接種時期については、日本小児科医会は、「子どもへの接種時期を一律に遅らせるのは避けて、医療機関ごとの判断で決めるべきだ」という見解を発表しています。また、医療機関によっては、10月1日から、予約ができた人は、誰でも接種するところもあります。接種希望者は、まずは内科・小児科など、お近くの医療機関に予防接種の予約相談をしてみてください。

今年、国によるワクチンの検定の一部が簡略化されました。まだ接種希望者が多い時期に、ワクチンが医療機関に届き、多くの人がワクチン接種を受けられるかもしれません。また日本医師会は、「ワクチン納入状況報告システム」の試験運用をはじめています。都道府県別にワクチンの不足状況を知らせ合う・情報共有の仕組みです。今後、ワクチンを融通しあえるような全国的なシステムを作り上げることができれば、ワクチンがさらに多くの人にいきわたるようになるのではないでしょうか。

◆インフルエンザワクチンの予防接種以外にできることは?

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インフルエンザのワクチン、不足して接種できなかったらどうしようと心配される方もいるかもしれません。
予防接種以外に何かできることはあるのでしょうか?
ついこのあいだまで、「インフルエンザが流行しやすい冬」だった南半球のオーストラリアのことが参考になるかもしれません。オーストラリアで用意されたワクチンの量は全国民のおよそ72%程度。全員が予防接種したわけではありません。でも冬のさなかの8月のインフルエンザ感染者数を去年と比べると、10分の1以下に減っていたそうです。
新型コロナウイルスへの対策が有効だったのではと言われています。

マスク着用で飛まつ感染などを防ぎ、手洗いで接触感染を防ぐ。そして、ソーシャルディスタンスをしっかりとって、「3密」を避ける。これら、私たちが今できることを続けることが、インフルエンザの予防につながるのです。
インフルエンザワクチンは誰もが、すぐに接種できるとは限らないので、まず、私たち一人ひとりが、すでに行っている感染対策を着実に続けることが大切です。

(矢島 ゆき子 解説委員)

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