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「菅政権発足 国民の期待は」(くらし☆解説)

梶原 崇幹  解説委員

NHKの9月の世論調査がまとまりました。9月16日に発足した菅内閣に対する国民の期待は、どうなっているのでしょうか。

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(内閣支持率)

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菅内閣の支持率は、「支持する」は62%、「支持しない」は13%でした。調査方法を変更しているため単純には比較できませんが、小泉内閣以降の9つの内閣の発足時の支持率をみますと、小泉内閣の81%、続いて、民主党に政権交代して最初の政権であった鳩山内閣の72%などに次ぐ水準となっています。

(支持する理由)

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内閣を支持する主な理由は、「他の内閣より良さそうだから」という消極的な理由は、先月の安倍内閣の調査より、32ポイント減って、26%でした。
一方、「人柄が信頼できるから」と「政策に期待を持てるから」がともに21%でした。
両方の項目で、先月の安倍内閣の調査より、10ポイント以上、上がりました。
菅総理大臣は、内閣発足後、ただちにデジタル庁の創設や携帯電話料金の引き下げなどを、担当閣僚に指示を出しました。こうした対応に加えて、世襲議員ではなく、地方議会の経験があるといった経歴も、プラスに働いたものとみられます。
さらに、菅政権が継承するとしている安倍政権の仕事ぶりについて、64%の人が評価するとしていることも支持につながったのではないでしょうか。

(菅内閣 人事の評価)

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菅総理大臣は、党役員人事については、自民党総裁選挙でいち早くみずからの支持を打ち出した二階派の二階幹事長を留任させるなど、みずからを支持した派閥からそれぞれ要職に起用しました。また組閣では、内閣の要である官房長官に、厚生労働大臣を務めていた加藤氏を起用するなど、20人の閣僚のうち、15人が安倍政権の閣僚経験者でした。

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党役員人事と閣僚人事を全体としてどう評価するか尋ねたところ、「大いに評価する」と「ある程度評価する」を合わせて61%、「あまり評価しない」と「まったく評価しない」は、あわせて28%でした。
コロナ禍であるだけに、国民は、政策の継続性や安定性を評価したのではないでしょうか。

(麻生内閣と比較する声)
菅内閣に高い期待が寄せられる中、自民党内では、予想以上だという声がきかれ、野党の支持が伸びていないこともあり、衆議院の解散に打って出るべきだとの意見があります。その一方で、期待が高いだけに、潮目が変わると一気に支持を失いかねないとの警戒の声も聞かれます。

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2つの声の背景として、よく引き合いに出されるのが、2008年発足した麻生内閣の経験です。
麻生内閣は、リーマンショックの直後に発足している点で、コロナ禍で発足した菅政権と、経済的に非常時という点で共通しています。
さらに、両内閣とも、衆議院の任期満了が、発足後、1年ほどに迫っていて、解散・総選挙を求める声がある点でも同じです。
一方で、当時は、参議院では野党第1党であった当時の民主党が多数を占めるなど、いまとは大きく異なる状況もあります。
麻生内閣は、発足時の支持率は48%でしたが、景気対策が後手に回っているとの批判が高まり、発足から3か月後には、支持率は半減し、その後、低迷した結果、解散は任期満了の直前になりました。
こうした経験も踏まえて、自民党内では、野党の態勢が整わないうちの選挙の方が有利ではないかとの見方から、いま早期解散論の声が広がっています。

(衆議院解散・総選挙を行うべき時期)

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衆議院の解散・総選挙をいつ行うべきかについて尋ねたところ、「年内」が15%、「来年の前半」が14%、「来年10月の任期満了かそれに近い時期」が58%でした。

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菅総理大臣は、就任後の会見で、「国民が求めていることは、新型コロナウイルスの感染を早く収束させ、同時に経済を立て直すことだ」と述べる一方で、「1年以内に衆議院の解散総選挙があるので、時間の制約も視野に入れて考えていきたい」とも述べ、具体的な解散時期には言及していません。

(菅内閣に最も期待すること)

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菅内閣に最も期待することについて尋ねたところ、「新型コロナウイルスへの対応」が25%。続いて、「経済対策」が20%でした。菅総理大臣も、こうした世論の動きを感じ取っていると思われます。
一方で、「政治不信の解消」も14%あり、安倍内閣の下での森友学園や加計学園をめぐる問題や、桜を見る会の問題の対応を求める声が、引き続きあることを示しているものとみられます。
これからインフルエンザとの同時流行も懸念される中、感染対策と社会経済活動の両立は容易ではありません。菅総理大臣は、政策面で国民の期待に応えながら、衆議院解散のタイミングを探ることになり、難しい政権運営が待ち受けているといえそうです。

(合流新党への期待)
合流新党「立憲民主党」は、衆参両院で150人の国会議員を擁し、数の上では、2009年に政権交代を果たす前の旧民主党とおなじ水準となりました。

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この新党への期待を聞いたところ、「大いに期待する」と「ある程度期待する」は、あわせて32%、「あまり期待しない」と「まったく期待しない」が、合わせて60%でした。

(いまの支持政党)

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いま、何党を支持しているか尋ねたところ、自民党は、先月から5.3ポイント上昇して40.8%でした。
立憲民主党は、6.2%でした。今月中旬に結成されたので、先月との比較はありませんが、先月の合流前の立憲民主党の支持率は4.2%でしたから、2ポイントの差しかありません。新党効果を国民の期待につなげたとは言えない形で、今後、国会論戦や政策で、存在感を発揮できるかが課題となりそうです。

(梶原 崇幹 解説委員)

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