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「新型コロナウイルス イベント制限あすから緩和 感染防止に何が必要?」(くらし☆解説)

中村 幸司  解説委員

新型コロナウイルスの感染対策として、コンサートなどイベントの会場に入る観客の数が制限されています。この制限が、2020年9月19日から緩和されます。感染を拡大させないために、何が必要なのか考えます。

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◇イベントなどのこれまでの観客制限
制限の緩和は、9月19日からですが、イベント会場や主催者側の準備ができ次第、実施されるので、徐々に緩和が始まるとみられます。
コンサートやプロスポーツ観戦などのイベントは、大勢の人が集まって密になりやすいということで、感染対策として国は、収容人数に対して、観客を入れることができる人数の上限を決めています。

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上の図は、会場の収容人数に対して、どれくらいまで観客を入れていいか、その上限を示したものです。
これまでは、1万人までの会場では、収容人数の半分を上限としてきました。収容人数1万人以上の大きな会場は、一律5000人を上限にしていました。
たとえば、1000人収容できる「ライブハウス」は半分、つまり席を一つおきにあけて、500人まで。3000人入る会場で「クラシックコンサート」を開く場合は、1500人まで。5万人のスタジアムの「プロ野球」は上限が5000人といったようにしていました。

◇観客の制限がどのように変わるのか
今後は、少し複雑になります。イベントを大きく2つに分けます。
▽大声を出すことが想定されない、つまり「飛沫がほとんど飛ばない」と考えられるものと、
▽思わず大声をだしたり、歓声をあげたりしてしまうかもしれない、「飛沫が飛びやすいもの」に分けて考えています。
感染リスクが低いものと、高いものに分けているわけです。

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「飛まつが飛ばない」と考えられる催しは、上の図の青い線のように緩和します。
収容人数が、5000人より少ない会場では、収容人数いっぱい、つまり満席までとします。たとえば、「クラシックコンサート」は、3000人の会場なら1500人ではなく、満席の3000人入れるということです。席をあけなくて良いのです。
収容人数が、5000人から1万人の会場は、5000人を上限とします。1万人以上では、収容人数の半分を上限にするということです。

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一方、「飛沫が飛びやすい」イベントでは、基本的には1万人までは、収容人数の半分を上限とします。
これまでと近いですが、少し違います。収容人数1000人の「ライブハウス」は、500人より、もう少し多く入れることができます。というのも、家族などの5人以下のグループは、席を1つおきにあけなくても良いとしているからです。ただ、上限は5000人です。
1万人以上は、収容人数の半分を上限としています。「プロ野球」の5万人のスタジアムなら、5000人ではなく2万5000人までとなります。

◇飛沫の飛ぶ・飛ばないは、どう分けているのか

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「飛沫がほとんど飛ばない」イベントは、クラシックのほか、歌謡曲のコンサート、歌舞伎、落語・漫才、講演会などです。
「飛びやすい」とされているのは、ライブハウスのほか、ロックコンサートやキャラクターショー、スポーツイベントなどです。
少し、区別は難しいですが、そのイベントで観客がほとんどしゃべらないのか、あるいは歓声、声援など大声を出しかねないものなのかといったことで決めることになると思います。
こうしたことは、主催者側が判断しますが、国は1000人以上のイベントを開く際には、適切な対策がとれるよう自治体に相談することを求めています。感染リスクをしっかり評価して、対策につなげてほしいと思います。

◇緩和して大丈夫なのか
緩和するためには、主催者側に求められる条件があります。

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▽マスクについては、観客全員に着用してもらうようにします。持っていない人がいたら、主催者がマスクを配布するとしています。
▽「声をださないように」ということで、そういう人がいたら個別に注意できるようにしておく。
▽検温を徹底する。熱があって客の入場を断ったときに、払い戻しの措置をとるようにする。
▽あとで感染者がわかったときに連絡できるよう、事前の予約の時や入場するときに、観客の連絡先を把握するようにする。あるいは、接触確認アプリの「COCOA」などを勧めるようにする。
こうした条件がそろわなければ、緩和はできません。
仮に感染者がいたとしても、感染を最小限にするよう徹底した対策が「緩和の条件」になっているのです。

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業界では、イベントの種類ごとに感染拡大防止の「ガイドライン」をすでに作っていますが、国は、そのガイドラインをこうした条件に沿って改定することを前提に緩和を認めることにしています。

他にも、対策として難しい点があります。

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観客が入ってくるときや一斉に帰るときに、出入り口などで「密」にならないか。休憩時間などにトイレに殺到しないようにすることも必要です。
やってみないと分からないことも多いので、国は、観客を徐々に増やすよう求めています。プロ野球は、上限までいきなり増やすのではなく、どこまで大丈夫か、段階的に増やすことにしています。

◇客席のない催しやイベントは、どうなるか

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博物館や動物園などは、大声を出さない、つまり「飛沫が飛びにくい」ので、密にならない程度の人数まで入れるとしています。
一方で、全国から大勢の人が集まる有名な祭りなどは、先ほどの「緩和の条件」を満たせないので、中止を含めて慎重に検討することとしています。

◇利用者の注意点
私たちにも注意しなければならない点があります。

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▽マスクも、ただ着けるだけでなく、思わず大声を出すようなことのないようにして、飛沫を飛ばさない注意が必要です。
▽少しでも体調が悪ければ、イベントに行かないことです。これまでも、熱があるのにイベントに出かけて、集団感染になったケースは少なくありません。
▽イベント会場の中で慎重に行動しても、イベントに行く前やイベントの後、会場の外で仲間と大人数で集まって、「3密」の状況を作るといった行動をしては何にもなりません。

◇国内の感染状況と対策の重要性
いまの国内の感染状況を見ても、対策の重要性は感じます。

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上の図は、全国の感染状況です。曜日による凸凹がありますが、9月18日までの1週間くらいは、減少というより横ばいです。警戒が必要な状況が、続いているのです。
そうなると、緩和する際は一層の注意が必要になります。10月1日からは、飲食店を支援する「Go Toイート」がスタートする予定です。また東京の感染状況が落ち着けば、「Go Toトラベル」の対象に東京都が含まれる見通しです。ほかにも、経済を動かしていく政策が、今後も続きます。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、それぞれの場所、状況で、どこまで対策する必要があるのか、一人一人が考えて行動することが、大切だと思います。

(中村 幸司 解説委員)

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