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「おうちキャンプを安全に」(くらし☆解説)

水野 倫之  解説委員

新型コロナの感染拡大で、自宅でバーベキューなどをする「おうちキャンプ」やベランダキャンピング「ベランピング」が人気。ただキャンプ用品による事故も多く注意が必要。
水野倫之解説委員の解説。

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おうちキャンプやベランピング、新型コロナで外出を控える動きが続く中、感染のリスクを少なくしたいということで春以降かなり増えていて、専門店に行くとその人気ぶりがわかる。
都内のアウトドア用品店では8月後半平日にもかかわらず、多くの買い物客でにぎわっていた。
売れ筋は、まずはキャンプ経験がなくても庭でテントが設営できる骨がないテント。
骨格は空気。バルブをはずせば空気が抜けてあっという間に片付けができる。
そしてコンパクトなグリルなどバーベキュー用品も売れていて、先月のバーベキュー用品の売り上げは去年の同じ月の1.8倍以上。

ただキャンプ用品の使い方を誤り事故になるケースも多く、製品評価技術機構まとめでは、カセットボンベを使う携帯型のガスコンロや携帯発電機などのキャンプ、バーベキュー用品の事故は昨年度までの5年間で183件報告。
このうち7割近くが火災になり、7人が亡くなっている。

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一番多いのはカセットボンベを使う携帯型のガスコンロの事故。
事故の再現映像では、ガスコンロを芝生の上に敷いた段ボールのような不安定な場所に置くと、風で倒れてしまい火が段ボールに燃え移り気づかず放置してしばらくすると爆発する。
ボンベの中には可燃性のガスが液体の状態で入っていてボンベが外部から熱せられ60度を超えると気化しはじめ圧力が高まる。
そして限界が来ると破裂、ガスに引火して爆発してしまう。
携帯型コンロは平らで安定したところで使うこと。

携帯型コンロの危険な使い方による事故も。
バーベキューに使う炭火。炭に火をつけるのに時間がかかることから、携帯型コンロを使って火起こしをするケースが多いが危険。
携帯コンロを使えば簡単に炭に火はつが熱を出し続け、そのままにしておくと炭でボンベが過熱され、爆発。
携帯型コンロを使って炭の火起こしは絶対にしない。

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次に多いのが、簡易型のガスバーナー、ガストーチの事故。
ガストーチは食品をあぶったり、炭の火だねとしても使うが、不完全な取り付けによる事故が多い。
ノズルがななめになり取り付けが不完全なまま噴射すると…、隙間から生のガスが漏れて炎に引火、炎の温度は1000度以上と高温でやけどや火災につながりかねない。
また傾け過ぎにも注意が必要。大きく傾けて使うと、生のガスが出てしまい、引火して炎が広がる。
ガストーチはノズルを完全に取り付けて使うこと。
不完全な場合はガスが漏れてにおいでわかる場合も。
そして角度は45度を目安とし、それ以上傾けないように。

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ガストーチの火災を調査した東京消防庁によると、最近の日本製のほとんどは傾けすぎても生のガスが出ないよう安全装置がついているが、ネットで極端に安く販売されている外国製品には安全装置がついていないものもあり、注意が必要だということ。
各地の消防によると感染拡大した3月以降、大阪と愛知でおうちキャンプで少なくとも4件の火災が起きている。
4月に大阪の住宅のベランダでバーベキュー中に起きた火災。
炭が入ったコンロが板の上に置かれ、その板が炭火の熱で焼けた。
大阪では経年劣化したガスバーナーからガスが漏れて火災も。
また名古屋では、ベランダでのバーベキューで使い終わった炭からプランターが焼ける火事も広いキャンプ場に比べて、おうちキャンプは庭やベランダなど場所が狭く、可燃物がまわりにあるケースも。また消化器が無い場合も多いことが注意点。
消防では、ベランダでは、新聞や洗濯物など燃えやすいものを置かないこと。
また消化器がなければ水バケツを準備しておくことなどを呼びかけている。

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さらにおうちキャンプは煙やにおいにも気を配る必要があり、マンションによっては
自治会でバーベキューを禁止しているところもあり、規約の確認を。

またこのカセットボンベ、捨てるときにも注意が必要。名古屋市でごみ収集車の火災が3月以降過去の1.5倍相次いでいることがわかった。
ゴミ収集車から突然火が出て、消防によって消し止められましたが、熱で側面に穴があいてしまった。
カセットボンベのようなガスが入ったスプレー缶などが誤って不燃ゴミとして出されていた。
こうしたボンベがゴミ収集車に入るとどうなるのか再現映像ではボンベが押しつぶされると…ガスが漏れ出てくる。そのガスに金属どうしの摩擦によって発生した火花が引火、燃え上がってしまう。
名古屋市の場合は、発火性危険物として捨てることになっている。
自治体によって回収方法が違うので、HPなどで確認し、ほかのごみといっしょに出さないよう注意。

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そして最後に、こうしたおうちキャンプ、新型コロナの感染対策で手をアルコールで消毒して行うことが多いかと。
ただ消毒してすぐに火を使うのは危険。
気化したアルコールに引火して衣服に燃え移りやけどする危険。
火の扱いはしばらく時間をおいてからに。
これまで見てきたことは製品の説明書に書いてある。
使う前に目を通して製品の特性を理解しておくとともに、お子さんに目配りすることも忘れないで。

(水野 倫之 解説委員)

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