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「もう2学期? 短い夏休み 子どもたちは?」(くらし☆解説)

二宮 徹  解説委員

各地で猛烈な暑さが続く中、ことしは全国のほとんどの学校が夏休みを短縮しています。この異例の夏休みについて、教育担当の二宮解説委員。

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<もう2学期?>
ことしは地域や学校で夏休みの長さが大きく違います。最も短い小中学校は9日間で、早い地域ではきのうから
学校が始まりました。石川県輪島市の河井小学校は今月8日から9日間の夏休みが終わり、8月17日に始業式が行われました。輪島市の小中学校では夏休みが9日間しかなく、例年に比べおよそ1カ月も短い夏休みでした。児童はエアコンが付いた教室で授業を受けます。

<夏休みの日数に違い>

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文部科学省が、6月に各市区町村の教育委員会に聞いたところ、公立小学校の95%が夏休みを短縮したのですが、その日数はかなりばらつきがあります。
ことしの小学校の夏休みは、10日以下が12%、このうち最も短い9日が6%です。16日~20日が最も多く、40%です。一方、31日以上が5%、短縮しなかったところは4%です。中学校も同じような傾向です。
8月1日からおとといまでの16日間、または、今度の日曜までの23日間という学校が多いようです。
これまでも北日本は夏休みが短くて、冬休みが長いなどの違いはありましたが、今年は同じ都道府県でも差が大きい異例の状況です。
例えば、先ほどの輪島市と同じ石川県の金沢市は、例年と同じ7月21日~8月いっぱいの42日です。登校日を5日前後に増やしたので、実際はこれよりは少ないのですが、輪島市よりおよそ1か月長くなっています。
また、東京・大田区は16日で、渋谷区は30日、世田谷区は31日です。隣あった区なのにおよそ2倍も違います。

<夏休み日数が大きく違う理由>
同じ県や隣の区でも、どうしてこんなに違うのか。夏休みの期間や日数は市区町村の教育委員会ごとに決めたのですが、新型コロナウイルスの影響で休校したあと、授業がどれくらい遅れているのか、どうやって取り戻すか、置かれた状況や方針によって違うのです。

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詳しく述べますと、まずは休校の長さによって、足りなくなった授業時間が違います。長いところではおよそ3カ月休校しました。

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多くの学校が運動会などの行事を中止や延期にしたのですが、それだけでは追いつきません。このため土曜日授業や1日7時間授業に踏み切りました。さらに、オンライン授業をしたり、急きょ2学期制にして夏休み前の終業式をしなかったりした学校もあります。

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それでも足りず、夏休みを短縮したのですが、どこまで取り戻せたかは、土曜日の授業を月何回したか、2学期はどうするかなどで変わるので、差が出ているわけです。
例えば、渋谷区は休校中もオンライン授業に取り組み、かなり挽回したことで夏休みを30日にしました。
一方、夏休みが短い学校でもまだ足りずに冬休みも短縮するところもあります。

<宿題や自由研究も学校次第>

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親としては勉強の進み具合が気になると思います。夏休みの宿題はどうなっているのか。読書感想文や自由研究が大変そうですが、短い学校では自由研究や読書感想文は任意、つまりやらなくてもいい学校が多いようです。
前述の輪島市もそうですが、宿題がほとんどない学校もあります。一方、宿題が例年並みという学校もあります。
SNSを見ると、夏休みの長さや宿題の量が保護者の話題になっています。
宿題が少ないと、保護者の中には遅れている勉強は大丈夫かと不安がある人もいると思います。どれくらい遅れているのか、2学期はどうするつもりなのかを詳しく聞いておらず、心配な保護者もいると思います。
学校は夏休みが長い短いことの理由や宿題が多い少ないことの理由、今後の方針などをきちんと保護者に説明してほしいと思います。

<夏休み明けの心配は?>
保護者には、子どもにはコロナ対策で窮屈な思いをさせている分、自由に遊ばせてあげたい気持ちと、勉強の進み具合が不安な気持ち、両方あると思いますが、夏休み明けも心配は続きます。
いつもの年ならまだ夏休みです。このところ猛暑が続き、8月17日には静岡県浜松市で41.1度と国内の最高気温の記録に並ぶなど、各地で危険な暑さになっています。

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まずは熱中症対策。合わせてコロナ感染防止の徹底も欠かせません。
エアコンのない教室や体育の授業はもちろん、登下校にも一層の注意が必要です。文部科学省は、気温や暑さ指数が高い日は命に関わる危険があるとして、マスクを外して熱中症対応を優先するよう呼びかけています。登下校時のマスクも必ずしもしなくていいとしています。

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しかし、子どもはいつマスクを外していいのか迷うこともあるので、どんな時は外していいのか、具体的な指導を徹底する必要があります。愛知県豊田市の童子山小学校のように、傘をさすことで距離の確保と熱中症対策を両立させている学校もあります。学校はこうした工夫のほか、危険な暑さの日は休校も考えてほしいと思います。

<きめ細かい観察と対応を>

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夏休み明けに気をつけたいのは子どもの様子です。急に痩せたり、元気をなくしたりと、心身に変調をきたす子どもが増えます。夏休みが短いとそれほど様子は変わらないと思うかもしれませんが、コロナ対策や駆け足の授業でたまった緊張やストレスがリフレッシュされていない心配があります。きめ細かい観察や対応が求められます。

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それに、2学期も、林間学校や音楽会といった行事を中止にする学校があります。

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遅れを取り戻そうと、勉強ばかりを詰め込んでしまうと、ストレスがたまりますし、貴重な経験や友達ともっと仲良くなる機会が減ってしまう懸念もあります。
小学6年生と中学3年生以外は、授業の遅れを来年度に持ち越してもいいことになっているので、子ども優先で考えてほしいと思います。一方で、小6と中3は卒業や受験を控えているので、授業の遅れを確実に取り戻す必要があります。

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国は全国で3100人の教員を追加して、コロナ対策での少人数授業などを支援することにしましたが、こうした人材が早く適切に配置され、学習の遅れを取り戻せるよう、文部科学省や教育委員会がしっかりとリードする必要があります。

<学校や地域、家庭が一丸となって影響を防いで>
こうした中で、先生たちには特に疲れがたまっています。工夫や改善の時間も足りない中で、対応に追われています。大変ですが、学校や地域、家庭が一丸となって、子どもの健康や学習に影響が出ないようにしてほしいと思います。

(二宮 徹 解説委員)

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