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「新型コロナウイルス 自粛緩和でどう生活するか」(くらし☆解説)

中村 幸司  解説委員

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されて、3週間余りが経った2020年6月19日、国は、都道府県の境をまたぐ移動について、全国で自粛を緩和するなど、自粛や休業要請の緩和をしました。しかし一方で、再び感染者が急増する「第二波」も心配です。
今回は私たちが今後どのように行動、生活をしたらいいのか考えます。

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◇国内の感染者の状況は、自粛を緩和できる状況になったのか
緊急事態宣言の後、2020年4月には、1日に確認される感染者が全国で700人を超える日もありましたが、6月19日現在は1日に数十人というレベルです。6月18日まで10日間以上にわたって、感染者が1人もいない県は30で、感染者が確認される地域は限られてきています。

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しかし、東京都は感染者が減っていない印象があります。上の棒グラフは、東京都の日付ごとの感染者の状況です。緊急事態宣言の頃と比べれば減っていますが、18日までの数日、40人台という日も続いています。
こうした状況で、自粛の緩和をしても大丈夫なのでしょうか。
感染者が多いことについて、政府は「感染者が見つかった店で従業員全員が検査を受けた結果だ」としています。つまり、うまく掘り起こせているためだとしています。
ただ、東京の感染者が少ない数で落ち着くかどうか注意して見ていく必要はあると思います。

◇6月19日から自粛などが緩和された事項

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一つは都道府県境を越える移動です。東京や周辺の1都3県の首都圏と北海道については、感染者が多かったので、これまで都道府県境を越える移動は「慎重にするよう」求められていました。これを首都圏と北海道も含めて、全国で緩和しました。
そして、ライブハウス、あるいは接待を伴う飲食店です。こうしたところは、感染者の集団=「クラスター」が、たびたび確認されていました。6月13日、感染防止対策の「ガイドライン」が公表され、その対策を実施することを前提に休業要請が解除されました。
さらに、プロ野球やJリーグなどのプロスポーツの試合については、無観客で開催できるようにする、というものです。
プロ野球は、6月19日に開幕です。Jリーグは、J1が7月4日から再開される予定です。
これらは、感染を拡大させずに緩和するのが難しいと考えられてきましたが、実現されたことでプロ野球の開幕に象徴されるように、19日は自粛緩和の一つの節目と言えると思います。

◇自粛緩和の経過

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6月19日が、上の図の右端の段階です。4月の緊急事態宣言のころは、外出の自粛など様々な対策を求められました。
それが、宣言の解除や感染者の減少に伴って緩和され、社会経済活動のレベルが少しずつ引き上げられてきました。

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ポイントは、各業界が感染防止対策の「ガイドライン」を作ったことです。
たとえば、外食の店では席の間隔をあけたり、向かい合わせの間は、アクリル板で仕切ったりするなどの対策を示して、営業を再開しました。
感染者の少ない地域では、一気に自粛を緩和したケースもありましたが、東京都のように段階を踏んで緩和したところもあります。
こうした業界に加えて、19日からは、新たに都道府県境の移動などの自粛や制限が緩和されたわけです。

◇接待を伴う飲食店の対策

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東京都で感染者が見つかっている業種として「接待を伴う飲食店」があります。
この業界のガイドラインも、6月13日に公表されました。ガイドラインによると、人と人の距離が取れるよう店内の人数制限をすること、換気を十分にし、テーブルなど人が触れる場所の消毒を徹底すること、感染者が見つかったとき知らせられるよう客に連絡先を記入してもらうことなどの対策が示されています。
こうした店では、これまで感染者が相次いでみつかっています。一つ一つ対策を積み重ねて感染リスクを抑えることが重要です。
こうした店では、過去に感染者が確認された際、居合わせた客が分からず、濃厚接触者に連絡できないことが、少なくありませんでした。ウイルスの封じ込めができるよう、客に連絡先を知らせてもらう協力が、どこまでできるか、ここがポイントになると思います。

◇6月19日以降はどうなるのか
国は、6月19日以降、7月10日と8月1日をめどとして、段階的にさらに緩和する方針です。

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たとえば、コンサートや屋内のイベントでみてみますと、客が距離をとるため、前後左右の1つの席をあけるようにします。こうすると収容できる観客の数は座席の50%以下=半分以下になりますが、さらに客の数の上限を定めています。
この上限は、6月19日以降は1000人まで、7月10日以降は5000人まで、8月1日をめどに上限を設けません。仮に3万人収容できる会場でみると、半分で1万5000人ですが、6月19日以降は上限の1000人までしか入れません。7月10日からは5000人までです。8月からは上限なしですので、1万5000人が入場できるとなるわけです。

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プロ野球やJリーグは、無観客から始めますが、コンサート会場のルールに合わせて、7月10日からは、上限が5000人、8月からは上限なしで、収容人数の半数まで観客を入れるという方向で、自治体などと協議しています。

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観光も徐々に都道府県境を越えた旅行を進めてもらうとしています。

◇なぜ、段階的に緩和するのか

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新型コロナウイルスの対策には、まだ「手さぐり」という面があります。緩和のタイミングには3週間ほどの間隔があります。3週間状況を見て、次の段階に移れるかどうかを判断するわけです。感染拡大の兆しがみられれば次の段階に移らない、感染者が急増すれば前の段階に戻ることも考えられます。
行動制限の緩和は、海外でも行われています。しかし、中国やアメリカなどでは集団感染が起きたり、感染が拡大したりして、必ずしも思ったように進んでいません。日本でも、どうしても感染が抑えられないということになれば、医療崩壊させないために、再び「緊急事態宣言」ということにもなりかねません。

◇第二波、第三波を避けるために

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第二波、第三波が来ないようにするために何が求められるのでしょうか。一つには店など施設の側が、業界のガイドラインを守ることです。一方、私たちにはいわゆる「3密」を避けることや、人との距離をとるといった「新しい生活様式」を徹底するという基本的な対策が大切です。

ただ、自粛の緩和が進んでくると、人が集まったり、接触したりする機会が多くなって、3密の回避や新しい生活様式を実践しにくい場面が増えてきます。人が多い場所や時間帯を避けるなど、これまで以上に生活の中で、対策を工夫することが求められると思います。

◇対策をする生活はいつまで・・・

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3密や新しい生活様式をしなくてすむような、元の生活に戻るためには、ワクチンや治療薬の開発が必要だとされています。それにはまだ時間がかかります。
それまでの間、感染を広げないためにも、経済を確実に動かしていくためにも、「自粛の緩和」という階段を一つ一つ慎重に登っていくことが大切です。

(中村 幸司 解説委員)

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