NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「みんなで気を付けよう スーパーの三密」(くらし☆解説)

神子田 章博  解説委員

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため密閉、密集、密接のいわゆる三密を避けることが求められている中で、日頃の買い物で訪れるスーパーの三密をどう避けるかが課題の一つとなっています。

k200513_00.jpg

岩渕 スーパーの三密対策が、いま、なぜ課題になっているんでしょうか?
神子田 緊急事態宣言のなかで様々な業種に休業要請が出る中で、スーパーは社会生活を維持するうえで必要な施設だとして営業が行われています。いま、人々が外出自粛に努め、自宅でのテレワークも増える、子供は学校が休みで昼も家で食事となるなかで、スーパーで食料品を買い求める人が増えています。店によっては以前より30%くらい増えたといっているところもあります。つまり、店の中が以前に比べて3密になっているんです。そこでスーパーの感染防止対策が重要になってくるのですが、具体的にどうすべきか、見ていきましょう。

k200513_01.jpg

 最初に店側の対応を見ていきます。まず接触による感染を防ぐ措置として、買い物かごやカートの消毒。そしてお客さんにマスクをするよう呼び掛け、店によっては入り口に消毒液を置いて、客に手の消毒をしてもらおうというころもあります。様々な商品に触れますから、私たちもここでちゃんと消毒したほうが良いですね。それから、御総菜などをトングを使ってとると、これも接触感染のおそれがでてきますので、パック詰めや袋詰めして売る店が増えています。そしてレジ回りでも、店員とお客との間に透明な仕切りを設置したり、手が触れないようにお金の受け渡しをトレイで行ったりしているとこもあります。最近では、クレジットカードなどをつかったキャッシュレス決済も進んでいますが、パスワードを打つ時に、人が触った場所に触れることになりますから、やはり手指の消毒は大事です。

k200513_02_0.jpg

そして、密接を避けるために、とくに人が込み合うレジ前での列。人と人との間は十分な感覚をとってください下さいと足形を床にはって呼びかけています。

岩渕 これはもうよく見るようになりましたが、規模の大きくない店に大勢のお客が詰めかけると、間が詰まってしまうところもありそうですよね?

k200513_02_3.jpg

神子田 そうですね。そこで、店内に入れるお客を一定以内に抑え、外で待っていてもらう入場制限をかける店も出始めています。しかし、アメリカとかなら、店の外も広い敷地がありますが、日本だと、外は狭い歩道か、道幅の狭い道路だったりすることが多いわけで、店の外側が密になってしまうことも考えられます。そこで、先月、東京都の小池知事が呼びかけのが、「買い物は三日に1度程度」で。岩渕さん、これ可能ですか?

岩渕 家族の多い方とか、一度にたくさん買っても持ち運べないとかいう人がいるかもしれませんよね。
神子田 そうですね。3日に一度、どうしても守れないという人もいるかもしれません。そこでここからはそれ以外にも私たちができる三密対策を考えていきたいと思います。

k200513_03.jpg

一つは、客の多い時間帯を避けることです。スーパーチェーンの中には、ツイッターを通じて、時間帯による混雑状況を示し、比較的すいている時間帯での買い物を呼びかけているところもあります。お昼時と夕方は込み合うということで、それ以外の時間に行けば密を避けやすいということですね。大手コンビニチェーンも、混雑する時間帯を示して、時間帯を選んで来店するよう呼び掛けています。いま在宅勤務の人が多いので、仕事帰りの買い物客が少なくなっている夜間も、密を避けるにはいいですね。

岩渕 ほかに私たちの側から気をつけるところはありますか?

k200513_04.jpg

神子田 買い物は大勢で行かずに、できる限り少人数でということです。実は、先月7日に緊急事態宣言が出た後、他に行くところがないからか家族総出でスーパーに来る人がいて店内が密になる事態となりました。そこで、全国スーパーマーケット協会では、ツイッターで「スーパーは遊び場、レジャーランドではありません」と発信し、入店人数を抑えるよう協力を呼び掛けていました。店側からしますと、家族総出でレジに並ばれると、お会計に実際にどのくらいひとが並んでいるか目で見た限りではわからず、レジの応援を呼ぶのをどうしようか迷う、たくさんいると思って応援を呼んだら、お会計するのはグループの中の一人だけだったという問題も発生するそうです。
ただ子供連れの場合は、家に留守番をさせておけないとかいう事情もあるかもしれないので、子供連れだからと言ってすぐに目くじらたてないようにしたほうがよいかもしれません。
 それから、できるだけ短時間で買い物をする。これは買い物前に購入する商品をメモしておくなどして、商品を選ぶ時間を短くすることも混雑緩和につながると思います。
最後に業界側は、欲しい商品があるか、いつ入荷するかといった問い合わせをできるだけ避けてほしいといっています。普段なら対応できることでも、この時期、こうした問い合わせに時間がとられると、その分、レジでの精算業務や品出しの作業が遅れてしまうことになる、その結果、店の混雑が増すおそれがあるからだということです。

k200513_06.jpg

 最後に、きょうお話したことを、スーパー業界では「お買い物エチケット」としてまとめています。このハートマークにご注目いただきたいのですが、「お互いの思いやりをお願いします」。

k200513_07.jpg

どういうことかと言いますと、いまスーパーで働いている人は、普段より多くの人が訪れて、それだけ感染するんではないかという心配が増しています。客がマスクをしていないとさらに心配になるということなので、私たちも、マスクをしてゆきましょう。それから一人当たりの仕事の量が増えています。客が増える一方で、学校が休みで子供を預けられないパートの従業員が働きに出られないという事情があるからです。肉体的な疲れも増しています。
さらに、店内が混雑して、レジの対応に追われると、商品の品出しが間に合わなくなる。また商品の中には、なるべくたくさんのお客さんにゆきわたるように一人当たりの購入制限を設けているものもあります。そうした中で客から「品物がない」とか「なんで一個しか買えないのか」など不満ぶつけられると、精神的な負担も増えてゆきます。こうした人たちへ、思いやりの気持ちをもってもらえるとありがたいということなんです。スーパーチェーン各社では、感謝金などの形で手当てを支給し、その労をねぎらおうという動きも広がっています。
いまエッセンシャルワーカーということが言われていまして、エッセンシャルというのは欠かすことのできないという意味ですが、スーパーは私たちが毎日食べるものを買いに行く場所。そこで働いている方々は、まさにエッセンシャルワーカー。今回のコロナ禍のなかで懸命に人々の生活を支えようとしている重要な働き手です。こうした人たちが疲弊してしまって“スーパー崩壊”といった事態にくれぐれもならないように、買い物をする私たちも行動を変えていくことが求められていると思います。

(神子田 章博 解説委員)

キーワード

関連記事