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「進むか? コンビニ脱24時間」(くらし☆解説)

今井 純子  解説委員

大手コンビニ各社の間で24時間営業を見直す動きが出ています。今井純子解説委員。 

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【脱24時間というと、深夜店を閉じるコンビニがでてくるのですか?】
はい。大手コンビニというと24時間営業が当たり前でしたが、このところ相次いで、大きな方針転換を打ち出しました。まず、ファミリーマートは、フランチャイズ加盟店との契約を見直し、来年3月から
▼ 毎日、24時間営業する。
▼ 毎日、深夜に店を閉める。
▼ 一週間で最も客が少ない日曜日の深夜だけ閉める。
この3つから、加盟店が選択できるようにする方針を、今月、打ち出しました。

【店によって営業時間がバラバラになるのですね】
もちろん、お客さんがいるところでは、引き続き24時間という店も多いと思います。ただ、観光地や住宅街など、立地によって、夜、ほとんど客が来ないところもありますので、店側の判断に任せようという考えです。

【24時間営業をやめる店はどのくらいになりそうですか?】
今、およそ620の店が時短の実験をしていて、その結果も見ながら、店側が判断することになる見通しです。本部が6月に行った調査では、およそ7000店が営業時間の短縮を「検討したい」と答えていますので、増える可能性もあります。

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【ほかのコンビニはどうなのですか?】
ローソンは、もともと時短営業を認めていたのを、今年の春以降、加盟店に積極的に周知しました。そうしたところ、時短に踏み切る店が118店に増え、さらにおよそ500店から問い合わせが来ているということです。ローソンは、来年の正月には、元日に、およそ100店の規模で、休業する実験にも取り組ことにしています。

【セブンーイレブンはどうなのですか?】
セブンーイレブン・ジャパンも今月、深夜休業の手続きなどをまとめたガイドラインをつくって加盟店に配りました。実際、今月から8店が本格的に深夜休業に踏み切り、来年1月には75店に増える見通しです。本部の調査には、およそ2200店が深夜休業を検討していると答えており、順次、実証実験をしてオーナーが希望すれば、認めるとしています。

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【本部の方針、急に変わった印象ですね】
そうですね。もともとこうした動きの背景には、深刻な人手不足がありました。
▼ 商品販売の仕事の求人倍率は2.51倍。2人の人を、5つの店が奪い合う状況です。コンビニの時給は去年よりおよそ3%増えていますが、レジ打ちに加え、宅配の受け渡しや揚げ物の調理など仕事が複雑になっていることが敬遠されて、人が集まらない。結局、オーナーが働き詰めになり、経済産業省の調査では、1日平均12時間以上働いているオーナーがおよそ30%。週に休みが1日未満しかとれないというオーナーがおよそ70%に達しました。オーナーは、個人事業主なので、働く時間の規制がありません。

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【それは、過酷です。時給をもっと上げればアルバイトが集まるのではないですか?】
それが、思い切って時給を上げられないと言います。というのも、コンビニやドラッグストアがどんどん増えて競争が激しくなった結果、一店当たりの売り上げは頭打ちになっている。そうした中、契約では、本部は売り上げに応じて手数料が入る一方、人件費はほとんどが加盟店の負担になっているからです。つまり、深夜の客が少ないと、本部はもうかるけれど、加盟店には人件費が重くのしかかる仕組みなのです。では、24時間営業をやめようとすると、本部から、多額の違約金を支払うよう求められた。だから、オーナーは、体力的にも経営的にも厳しいのに24時間営業せざるをえなかったのです。それが、今年にはいって、もう限界だ!という悲鳴が一気に噴き出たのです。

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【それで、時短を認めようという動きになったのですか?】
それだけではありません。このままではコンビニのビジネスがなりたたなくなる心配があるとして、経済産業省が各社に対応策をつくるよう求めました。有識者の検討会で社長などからヒアリングも行いました。また、公正取引委員会も圧倒的な力の差を背景に、本部が一方的に加盟店に不利益を与えていないか、実態調査を始めました。こうした行政の圧力に加え、消費者のおよそ15%が深夜営業は必要ない。35%が店の判断にゆだねるべきと答えた調査結果も出ました。こうした動きを受けて、本部も営業時間の短縮を認めざるを得なくなったということだと思います。

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【仕方がない面はあると思いますが、深夜閉まるコンビニが急に増えると、困る方もでてくるかもしれませんね】
まだ本部が方針を変えたという段階で、実際、営業時間の短縮を決めた店は、全国およそ5万5000のコンビニのうち、ほんの一部です。今後、一気に広がるかも、わかりません。というのも、もともと24時間続けたいという店もありますし、時短の実験に加わった店の中でも、「オーナーが休めるようになった」「人件費が減ったことで、利益が増えた」という店がある。一方、「深夜、他の店を使うようになった客が昼間も来なくなり、想定以上に利益が落ちた」として、24時間営業に戻した店もあるからです。さらには、「時短に踏み切ったら本部から何らかの不利益を受けるのではないか」という不信感も根強く、もう少し推移を見守りたいという店もあるとみられます。

【踏み切れない店もあるということですね】
不利益な扱いについては、経済産業省や公正取引委員会が目を光らせていくとしています。その上で、24時間営業を側面から支援しようと、本部は、販売ロスの見直しと自動化という対応策も打ち出しています。

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【販売ロスの見直しとは?】
弁当などが売れ残って廃棄した場合、ほとんどが加盟店の負担になります。このため、
▼ ファミリーマートは、廃棄が多いと指摘のあった、クリスマスケーキやおせち等の季節商品について、完全な予約制にすることを決めました。この夏、土用の丑の日に向けたうな重を完全予約制にしたところ、売り上げは20%減ったけれど、店側の利益が70%増えたという実績もでています。
▼ また、セブンも消費期限が近づいた食品を買った客にポイントを還元する実験を一部の地域で始めていて、来年春から全国で実施する方針です。
こうした取り組みで加盟店の利益が増えれば、時給を上げて人を雇う余裕ができるという考えです。
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【もうひとつ。自動化では、どのような取り組みがあるのですか?】
様々な取り組みがありますが、例えば、ローソンは、レジが要らなくなる実験を来年にも始めます。具体的には、
▼ あらかじめ登録している客が、入り口でスマホをかざすなどして店に入ると、店の中で、カメラが客の動きを追います。そして、客が商品を手に取ると、棚に設置されたセンサーやカメラで、どの商品をいくつ取ったか判別して、自動的に精算するという構想です。店員は調理など人でしかできない作業に集中できるようになり、昼も夜も、少ない人数で店を回せるようになるという考えです。ただ、実際に広がるにはまだ時間がかかりそうです。

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【自動化。期待したいですが、当面は、深夜閉まる店がでてくるということ。コンビニの経営を続けてもらうためにも、受け入れていかないといけませんね】
人口が減っていく中、すべてのコンビニがいつも開いていて当然という時代は終わりつつあるように思います。私自身も、深夜・早朝に急に必要なものが出てきた時に慌てることがないよう、身近なコンビニの営業時間がどうなるのか、気をつけてみていきたいと思います。

(今井 純子 解説委員)

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