NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「ニセSMSに新手口・身を守るには」(くらし☆解説)

三輪 誠司  解説委員

手軽な通信として、広く利用されている「SMS」というメッセージサービスを悪用し、金銭をだまし取る手口が横行しているとして、消費生活センターなどが注意を呼びかけています。

k191002_1.jpg

手軽な通信として、広く利用されている「SMS」というメッセージサービスを悪用し、金銭をだまし取る手口が横行しているとして、消費生活センターなどが注意を呼びかけています。

k191002_2.jpg

SMSというのは、「ショートメッセージサービス」という英語の頭文字をとったものです。電子メールで誰かとやり取りする場合は、メールアドレスを利用しますが、SMSは電話番号を宛先にしてメッセージを送ることが出来ます。ネット回線ではなく電話回線を利用しているため、特定のアプリを利用しなくても大丈夫です。他社の携帯電話にも届きますし、スマートフォンではない「ガラケー」と呼ばれている携帯電話や子供用の携帯にも届きます。

k191002_3.jpg

その番号の携帯に確実に届くという技術的な安全性も特徴で、通信事業者やネットショップなどが、利用者に今月の利用料金のお知らせを送ったりしています。またネットショッピングの会員登録をした時に使う、一時パスワードを利用者に送るなど、セキュリテイー対策にもよく使われます。

k191002_4.jpg

しかし、ことしの5月ごろから、携帯電話会社などをかたる偽のSMSによって、金銭をだまし取られる被害が消費生活センターに相次いでいます。例えば「お客様のアカウントが不正アクセスを受けた可能性があります。パスワードを変更して下さい」というメッセージです。5月から8月までの相談件数はあわせて200件にのぼっているということです。

k191002_5.jpg

この場合、相手の電話番号や名前が上の部分に出てきますので、見知らぬ人であるという手がかりになります。しかし、ことしの6月以降に新たに確認されたのは、携帯電話会社が、電話料金のお知らせとして、これまで送ってきた、「本物のメッセージ」のすぐ下にニセ物が出てきます。

k191002_6.jpg

さらに、文章が短いため、詳しく知るために、本文に書かれたアドレスをクリックして確かめたくなってしまうというのも危険なところです。どのようにやっているかという手口は具体的にはわかっていませんが、企業がSMSを送るのに使うネットサービスを悪用したと見られています。

k191002_7.jpg

本文に書かれたリンクをクリックすると、通信会社のサービスを利用するためのIDとパスワードを入力する画面が出てきたということです。実はこのページはニセ物で、情報を盗まれてしまいました。その結果、勝手にギフト券などさまざまな買い物を勝手にされてしまったということです。

k191002_8.jpg

この際に悪用されたのが「キャリア決済」というサービスです。携帯電話会社のサービスに使うIDとパスワードを使ってショッピングサイトで買い物をします。

k191002_9.jpg

すると、サイト側は携帯電話会社に決済の代行を依頼します。利用者には携帯電話の料金と一緒に請求されます。

k191002_10.jpg

しかし、何者かがこのIDパスワードを使って買い物をすると、代金だけが携帯電話の契約者のところに請求されてしまいます。

k191002_12.jpg

なかには、9万円の被害を受けた人もいたということです。キャリア決済は、クレジットカードを持っていない人や未成年でも利用することが出来る決済サービスです。偽メッセージをSMSで送ってきた犯人グループは、通信会社を偽装すればだましやすいと、この決済サービスに目をつけた可能性があると思います。

見破りようがないように見える巧妙な手口ですが、だまされないようにするコツは何点かあります。

k191002_13.jpg

(1)パスワード再設定の依頼などの案内はSMSでは届かない。決済が出来なかったとか、不正アクセスを受けたかも知れませんなどという深刻な連絡はSMSなどの簡易な方法で届くことはありません。

k191002_14.jpg

(2)「出回っている偽のメッセージを知る」ということです。見たことがある偽のメッセージを知っておけば、自分に届いたとしても慌てなくて済みます。

k191002_15.jpg

参考にできるのは、総務省の委託を受けて、迷惑メールの相談を受けている「迷惑メール相談センター」のホームページです。各企業や消費生活センターが出している注意喚起が新しいものから表示されています。自分に不審なメッセージが届いた後で、こうした団体の情報を見直してみても、ニセ物であることが解ります。たとえば、最近はこのようなメッセージが届いています。荷物の再配達や、携帯料金が高すぎて大変ですという、急いで対応しなければいけないという内容です。

k191002_16.jpg

(3)メッセージに書かれたアドレスはクリックしないこと。詳しい情報を知りたい場合は、携帯電話会社の公式のホームページからアクセスして下さい。そのためには、公式ホームページのアドレスを携帯電話に登録しておくことや、改めて検索してアクセスするようにして下さい。

k191002_18.jpg

(4)携帯電話の利用明細を毎月必ず確認すること。キャリア決済については、被害が多くなったことから、携帯各社は先月から被害を補償する制度をはじめています。利用するには申告が必要ですから、被害を受けていないか確認するようにしてください。会社によっては、被害の発生から一定期間までしか補償しないという期限がついているものもありますので注意してください。

SMSのニセのメッセージは、携帯電話を使っている人ならば誰でも被害にあう危険性があります。十分に注意して欲しいと思います。

(三輪 誠司 解説委員)

キーワード

関連記事