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「消費増税 いつから?何時から?」(くらし☆解説)

今井 純子  解説委員

一週間後の10月1日に消費税率が10%に上がります。今井解説委員。

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【タイトルにいつから?何時から?とありますが、消費税率は、10月1日の0時に10%に上がるのではないですか?】
原則はそうです。ただ、実際は、法律や通達によって、業種や企業によって、上がるタイミングに違いがあるのです。きょうは、それを見ていきたいと思います。まず、公共料金。電車です。例えば、初乗りの運賃。上がり方は、東と西で違いがありますが・・いつから10%の運賃になると思いますか?

【0時より後に改札を通ったら・・ですか?】
違うのです。電車は、終電が終わってから、運賃のシステムを切り替えます。ですから、10月1日の始発から、新しい運賃になります。9月30日の夜、0時になりそうだといって、慌てて駆け込む必要はありません。

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ただ、電車で注意が必要なのは、定期券。多くの鉄道会社では、14日前から更新することができます。10月前半に有効期限がくる定期券を持っている方は、9月中に更新すると8%の値段ですむのでお得です。飛行機や新幹線の切符も同じ、9月中に買うと、10月になってから乗る場合でも、8%の運賃となります。ちなみに、ホテルや旅館は、原則、9月30日の宿泊までが8%。10月1日の宿泊から10%になります。

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次に電気とガス。こちらは10%の税率になるのは、10月分ではなく、原則、11月分からです。

【なぜですか?】
請求書を見ると10月分といっても、9月に使った分が含まれているケースが多くありますよね。このため原則、すべてが10月以降に使ったことが明らかな11月分から10%の税率が適用されます。

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あと、郵便。はがきは62円から63円に。82円の封書は84円になります。これは10月1日になって、最初に集める時間。絵にあるケースだと、朝10時までに投函された郵便物は、8%。それ以降のものは10%になります。

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【では、9月30日に出し忘れても、翌朝の10時までに出せば今の料金で大丈夫ということですね】

その通りなのですが、実際には、取り集めの時間は、早くなるケースもあるので、日本郵便は、今の料金で出したい場合、早めに投函してほしいと話しています。
次に、公共料金以外のお店。例えば、24時間開いているコンビニ。

【これは、0時で区切るのですか?】
そうです。10月1日の0時前に、最初の商品のレジを打ち始めた客は8%。0時以降に打ち始めた客は、食料品や飲み物を除いて10%になります。

【9月30日の夜遅くにコンビニに行った場合、余裕をもって早めにレジに並んだ方がいいですね】
ただ、今回、注意が必要なのはポイント還元制度です。現金以外で支払うと、事実上2%の値引きになります。例えば、本体価格が1000円の文房具を買った場合、税込みの価格は、増税前は1080円ですが、0時を過ぎた増税後は1100円になります。それが、電子マネーやスマホ決済で支払うと、税込み価格から2%分引かれますので、1078円ということになります。

【その場合、0時過ぎてから買った方がお得ということになりますね】
そうです。さらに、食料品や飲み物だと、軽減税率で税込みの価格が据え置きになる。そこから、事実上2%の値引きになりますので、さらにお得ということになります。頭に入れておいた方がいいかもしれません。

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【深夜に開いているほかの店はどうなのですか?】
店によってバラバラです。国税庁によると、いつ販売したととらえるかは、事業者ごとに決めてよい。継続して同じ方法をとっていれば問題ないということです。例えば、
▼ ディスカウント大手のドン・キホーテは、閉店時間が決まっている店、例えば、午前2時に閉店だと、そこまでは8%。翌朝の営業からは10%。24時間営業の店は、10月1日の零時以降、順次切り替えるため、店によってタイミングは異なるそうです。
▼ また、外食。24時間営業の店で、店内で食べる場合については、午前0時になる前あるいは、午前0時を過ぎた後タイミングをみて、いったん、それまでに食べたものについて8%で清算をしてもらい、そのあとの追加注文は10%で。という店もありますし・・

【その場合、別々の税率で2回支払うということですね】
そうなります。また、朝5時にいっせいにシステムを10%に切り替えるという店もあります。中には、今年の9月30日に限り、すべての店を、日付が変わる前に閉めて、翌朝の営業から10%の料金にするという店もあります。

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【店によって、いろいろですね。深夜に利用する場合は、確かめた方がいいですね】
そうですね。もうひとつ。深夜の営業というと、タクシーもありますね。

【これは、降りた時間で税率が決まるのですか?】
いいえ、そうではありません。高速道路は、高速に乗った時間で決まりますが、運賃は、走っている間にメーターのシステムを切り替えることはできません。営業所に戻って切り替えるそうです。ですから、10月1日になって営業所に戻り、そのあと出庫したタクシーから順次10%の運賃になります。

【10月1日の朝早い時間帯は、8%のタクシーと10%のタクシーが両方走っている可能性があるのですね】
そうです。その上、タクシーの場合も、個人や中小の事業者のタクシーの中には、ポイント還元の対象になっている車もあります。このステッカーがついている車です。こちらの方は、決済事業者のシステムで、原則、10月1日の0時を過ぎると、ポイントが還元される仕組みになっています。8%の車でも10%の車でも、対象のクレジットカードなどで払うと、事実上、税込み価格から5%の値引きということになります。

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【4種類のタクシーが走っている時間帯があるということですね。複雑です】
はい。非常に複雑です。
最後に、値のはる商品などについて、これからかけこみで買おうと考えている方もいるかもしれませんが、気をつけた方がいい点があります。

【気を付けた方がいい点ですか?】
はい。
▼ ひとつは、オーダーが必要だったり、納品までに時間がかかったりする商品です。店によっては、注文の時点ではなく、納品=引き渡しの時の税率がかかる店もあります。
▼ そして、もう一つは、ネット通販です。店によっては、9月中に注文が完了していても、店からの発送が10月1日以降になった場合、10%の税率がかかって、増税分が後から請求されることがあるとしています。
こちらも、ポイント還元の対象になっている店もあります。あわてて注文するのでなく、ホームページをチェックしたり、店に問い合わせをしたりしていただきたいと思います。

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【あとから、しまった!と思わないよう、対応することが大事ですね】
もともと、業種や店によって、消費税率が上がるタイミングに差があることに加えて、今回、軽減税率やポイント還元で、いつ買ったり利用したりするのがお得なのか、非常にわかりにくくなっています。増税まであと一週間。できるだけ制度について理解した上で、冷静に対応することが大事だと思います。

(今井 純子 解説委員)

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