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「G20日本開催!準備は万全?」(くらし☆解説)

増田 剛  解説委員

今週の28日と29日、いよいよG20大阪サミットが開かれます。
G20が日本で開催されるのは初めて。世界の首脳が大阪に集まり、世界的な課題について意見を交わします。現地・大阪の準備状況は、どうなっているのか。私たちの生活には、どのような影響があるのか。政治・外交担当の増田解説委員に聞きます。

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Q1)
増田さん、このG20サミットですが、よくニュースで聞くG7と、どう違うんですか。

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A1)
はい。G7サミットは、先進7か国の首脳会議ですが、G20は、先進国に新興国も加わった枠組みで、20の主要な国と地域が集まり、世界的な課題について話し合います。アメリカや中国、ロシア、インドなど19の国と、EU・ヨーロッパ連合の首脳が参加して、毎年1回、開催されています。ちなみに、このG20メンバーのGDP・国内総生産を合わせると、世界の8割以上を占めます。また、例年、G20以外にも、招待国の首脳や国際機関の代表が参加しています。今回の大阪サミットには、G20に加え、8つの招待国の首脳、9つの国際機関の代表が参加しますので、あわせて37の国と地域、国際機関の代表が集まります。
トランプ大統領や習近平国家主席、プーチン大統領といった、日ごろ、ニュースでよく目にする世界のリーダーが大阪に集結することになります。あさって・27日から、こうした面々が続々と大阪入りし、28日と29日の2日間、会議が行われます。

Q2)
会議では、何が話し合われるんでしょうか。

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A2)
主に経済ですね。G20サミットは、リーマン・ショックで発生した世界的な経済・金融危機に対処するため、2008年に発足しました。それまでのG20財務相・中央銀行総裁会議を首脳級に格上げしたもので、元々、経済について話し合う枠組みなんです。今回の大阪サミットの議題も、貿易・投資のほか、国際的なデータ流通のルール作り、海洋プラスチックごみの削減、WTO改革など、経済に関わるものが多くなっています。
ただ、主要国の首脳が一堂に会する貴重な機会ですので、会議の合間を縫って首脳同士の個別の会談も行われます。そして、こうした二国間会談は、ある意味、会議そのものよりも、注目されています。

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米中貿易戦争の当事者であるトランプ大統領と習近平国家主席の米中首脳会談は、世界じゅうから注目されていますし、領土問題を話し合う安倍総理大臣とプーチン大統領の日ロ首脳会談も、注目度が高いですね。

Q3)
それだけ注目されているG20大阪サミットですが、現地の準備状況はどうなっているんですか。

A3)
はい。実は、私、G20直前の雰囲気を実感したくて、この週末、大阪に行ってきました。首脳会議の会場は、大阪湾の人口島・咲洲(さきしま)にある国際展示場の「インテックス大阪」です。おととい、この周辺を歩いてみましたが、一般の人の姿はほとんど見られなくて、目につくのは警察官ばかりでした。テロを警戒して、警備を強化しているんです。私も、周囲の写真を撮っていたら、何度か、「何をしているんですか」と、声をかけられました。「G20の取材です」と説明したら、すぐに納得してくれましたけれど。

Q4)
そんなことがあったんですか。やはり、厳戒態勢なんですね。

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A4)
今回のG20では、37の国と国際機関の首脳や代表団、警備や報道関係者など、あわせておよそ3万人が大阪を訪れるとされています。このため、大阪府警は、警視庁をはじめ全国の警察から応援を受けて、過去最大規模の警備態勢を取っています。
先週末、菅官房長官がインテックス大阪を訪れ、会議場やメディアセンターを視察し、警備にあたる警察官に対し、「今回は、わが国主催のサミットとしては、史上最大規模のもので、成功の大前提は、安全の確保だ。警戒を徹底してほしい」と指示しました。

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ちなみに、会場のある咲洲や関西空港周辺では、今月末までドローンの飛行が禁止されています。会場に近い大阪メトロ・ニュートラムの「中ふ頭」駅は、27日から29日までの3日間、終日、利用停止となります。また、きのうから、JRや私鉄の主要な駅では、コインロッカーやゴミ箱が使用できなくなっています。

Q5)
いろいろ規制が行われているんですね。

A5)
そうです。また、大阪府警は、大規模な交通規制も行う予定で、協力を呼びかけています。こちらの動画をご覧ください。
(VTR)
この動画、大阪府警の警察官が作ったもので、府警の公式ホームページにアップされましたが、「手作り感がすごい」とか「昭和っぽい」とか「センスがやばい」などと、SNS上で話題になっています。

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この中にもあったように、サミット期間中、27日から30日までの4日間、阪神高速道路は、ほぼ全線が通行止めになりますし、一般道も、首脳が宿泊するホテルから会場への移動に伴って規制が行われます。大阪府警は、渋滞を避けるためにも、車の利用は控えるように呼びかけています。
加えて、この交通規制のため、市民の暮らしにも、様々な影響が出ます。

Q6)
どんな影響があるんですか。

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A6)
はい。まず、大阪を通る高速バスは、27日から30日を中心に、運休になったり、発着場所や経由地が京都や神戸などに変更されたりします。一般道の路線バスも、通常のルートで運行できなくなったり、大幅にダイヤが乱れたりする可能性があります。
郵便物の配達にも遅れが見込まれます。日本郵便は、サミット期間中とその前後、近畿地方で出されたり届けられたりする郵便物や大阪府を通過する郵便物に、1日から2日の遅れが見込まれるとしています。また、近畿地方を発着する「保冷ゆうパック」や、配達日時を指定した郵便物、関西空港に宛てた「空港ゆうパック」の差し出しは、控えてほしいとしています。
商品の配送など、物流にも影響がありそうです。宅配便各社は、配送が遅れる可能性があるとしていますし、コンビニやスーパーも、配送ルートの変更を検討しています。デパートや家電量販店も、商品の時間指定の配達は受け付けないところが多いようです。
しかも、影響は、これに留まりません。

Q7)
まだ影響があるんですか。

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A8)
はい。大阪市と大阪府は、27日と28日の2日間、市立・府立の幼稚園、小中学校、高校を臨時休校にすることを決めました。サミットに伴う警備や交通規制のため、子どもの通園・通学に影響が出るからだと説明しています。また、大阪市は、27日から29日まで、市内の渋滞が予想されるため、資源ごみと粗大ごみの収集を中止します。さらに、大阪のシンボル・大阪城の天守閣と西の丸庭園は、期間中、G20の関連行事が予定されていて、警備を強化するため、一般の入場を休止します。

Q9)
本当にいろいろなところに影響が出るんですね。驚きました。

A9)
はい。一方で、サミットを契機に、日本文化の魅力を世界に発信しようという動きもあります。

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大阪を代表するホテルのひとつ、リーガロイヤルホテルは、各国の要人を迎え入れるのにあたり、およそ2億円をかけて、メインロビーを12年ぶりに改装し、カーペットを新調しました。新しいカーペットは、色鮮やかな紅葉柄で、能の衣装からデザインの着想を得ているということです。

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また、今回のサミットでは、関連の文化行事も数多く予定されています。各国首脳の夫人らを対象に、お茶の野点(のだて)や歌舞伎の鑑賞などを通じて関西の歴史や文化を体験してもらうプログラムが行われるほか、地元主催のレセプションでは、健康や医療の分野における地元企業の技術が紹介されます。
議論の行方も含めて、様々な期待と不安が入りまじる、今回のG20大阪サミット。交通規制などの制約を受けるのは事実ですが、大阪の存在感や関西の魅力を発信する絶好の機会でもあります。今回のサミットが、世界の人々に日本の多様な文化と地域の魅力を知ってもらう、きっかけになることを期待したいと思います。

(増田 剛 解説委員)

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