ことしの大型連休は10連休で長旅を楽しむという方もいると思います。そんなときに人気なのがキャンピングカーです。
キャンピングカーの製造や販売をしている業者などで作る日本RV協会によりますと、国内の保有台数は10万6200台に上っていると見られ、年々増加しています。レンタカーの利用も増えています。
キャンピングカーといっても、色々な車があります。代表的なのは、キャブコンというタイプで、トラックの後ろを専門の業者が改造し、専用の居室を取り付けた車です。部屋が広く、いろいろな装備を取り付けることができます。
中には、高級なソファーやベッドのほか、キッチンやトイレを取り付ける人もいます。また、和室のような内装にしているものもあります。
利用する人は60代が最も多くなっているということです。時間ができて、自分たちのペースでゆっくり長旅を楽しみたいという人が多く利用しているようです。キャンピングカーの最大のメリットは、なんといっても、宿泊できるということで、ホテルのチェックイン・チェックアウトの時間にあわせて旅行スケジュールを立てる必要がありません。ただ、走行中にベッドを利用するのは法律で禁止されていますので気をつけてください。
また、ペットと一緒に旅行できるのもメリットです。
さらに、最近は災害時に利用できるというのも、注目される要因となっています。住宅が被災して何週間も車の中で過ごしたというケースも聞きますが、居住スペースには断熱材が入っていますので安心です。国内の保有台数も、東日本大震災の翌年に大きく伸びていまして、災害対策を意識した人も多いと見られています。
価格帯は400万円台が最も売れているということです。レンタカーの場合は、6人乗りの小型のタイプで平日1万7000円ぐらいから。観光シーズンで2万5000円ぐらいから借りられます。
そんな魅力的なキャンピングカーですが、各地の高速道路で横転する事故が相次いで報告されています。
先月11日。相模原市の中央自動車道で発生した横転事故は3人が重軽傷を負いました。また、今月5日、山梨県の中央自動車道では、4人が死傷。去年8月には、茨城県の常磐自動車道で3人が死傷しています。この2つの事故では後ろのタイヤの一本が破裂していました。
車検を通していますので、キャンピングカーだから危険だということはありません。
それぞれの事故の原因はまだ特定されていませんが、キャンピングカーを利用するためには、横転事故などを引き起こさないためにいくつかの注意点があると、専門家は指摘しています。
まず、荷物を積みすぎないことです。車にはそれぞれ、タイヤが支えることができる限界の重さがあります。日本自動車タイヤ協会などがキャンピングカーのイベントに来場した人の協力を得て調査したところ、17台のうち11台が、その限界値の90パーセントを上回り、限界に近づいていたことがわかりました。
それらの車にさらに水などを多めに積んだりすると、タイヤが破裂してしまうおそれがあります。
タイヤに無理がくるのは、バランスの問題もあります。そもそもキャンピングカーは後ろに重い装備があり、さらに荷物を積むため、後ろのタイヤに荷重がかかりやすい構造になっています。さらに左右に偏って荷物を積むと、後輪の1つのタイヤだけに負荷がかかり、破裂だけでなく、ふらつきや横転の原因となります。バランスよく荷物を積むことが必要です。
何キロまでつめるかという目安は、車によって大きく異なります。車に取り付けた設備の重さや、エンジンの種類など様々な要因があります。このため、購入するときや借りるとき、販売店やレンタカー会社などから目安を聞くようにしてください。また、必要かどうかわからない荷物は、できるだけ乗せないようにしたほうがいいです。
次に大切なのは、運転前の点検です。特にタイヤの空気が十分に入っているか確認するようにしてください。業界団体は、一ヶ月に一度は確認したほうがいいとしています。
キャンピングカーは、荷物を積んだりおろしたりするトラックと違って、常に重い状態になりがちです。このためタイヤやブレーキなど、さまざまなところに負担がかかりやすくなっています。乗る前は異常がないか必ず確認するようにしてください。
最後は運転です。とにかく慎重に運転してください。主なキャンピングカーのベースはトラックで、普通の乗用車とは、加速のタイミングやブレーキのかかり方が異なります。
また、トラックはプロドライバーが乗りますが、同じような車体の車を一般の人が運転することになります。一定の大きさのものまでならば普通免許で乗れますが、スピードは制限速度を厳守。急ブレーキ、急ハンドルもやめましょう。
今回の大型連休は、10連休となりますが、だからといって、車の限界を超えた荷物を積んで長期旅行するのは、事故につながる恐れがあります。連休が楽しい思い出になるように無理のないスケジュールを立てて、安全運転をしていただきたいと思います。
(三輪 誠司 解説委員)
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