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「消費増税まで半年 ポイント還元制度は?」(くらし☆解説)

今井 純子  解説委員

きょうは、ポイント還元制度についてです。今井解説委員。

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【ポイント還元制度。消費税率が上がるときに始まる制度ですね】
そうです。負担が増えて消費が一気に冷え込むことがないよう、増税後の9ヶ月間。予定通りだと、10月1日から来年6月末までの間、「キャッシュレス=現金以外で」「中小の店」で買い物をした場合、「原則5%分のポイントが還元される」制度です。還元分は、国が予算で手当てします。

【関心は高いですね】

きょうは「どの支払い方法が対象になるのか?」「どのような店で利用できるのか?」「どのような方法でポイントが還元されるのか?」こうした点について、これまでに決まった中身を見ていきたいと思います。

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【まず、支払い方法ですね】

現金以外ということで、大きく分けると、
▼ クレジットカード▼ 電子マネー▼ QRコードやバーコードを読み込んで、スマホで決済する方法。この3つがあります。
ただ、すべてのクレジットカードや電子マネーなどが対象になるわけではありません。先週、制度に加わる予定の決済事業者、第一弾116社が公表されました。日本で発行されているクレジットカードや電子マネー、QRコードのかなりの割合が含まれる見通しではあります。

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【鉄道のスイカもありますね】

JR東日本が発行しているカードですね。鉄道事業は大企業が運営していますので、これで乗車してもポイント還元の対象にはなりません。が、電子マネーとしてポイントを貯める機能のついたスイカの場合、中小の店で買い物をした時には、対象になる見通しです。一方、他の鉄道系。例えば、パスモも電子マネーとして使えますが、まだ、事業者からの申請がありません。検討中ということです。他にも、地銀やデパートが独自に発行しているクレジットカードなどで申請が出ていないものもあります。参加する決済事業者の募集はまだ続き、増えるとみられますが、最終的にポイント還元の対象とならないカードやアプリもでてくるとみられますので、注意が必要になります。

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【特に、クレジットカードの場合、会社の名前を見ても、自分のカードが対象かわかりませんが・・】

そうですね。クレジットカードの中には、表には、国際ブランドや、提携している航空会社などの名前しか書いてないものもあります。その場合、カードの裏を見ていただくと、決済事業者の名前が、小さく書いてあります。

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【裏を見ればいいのですね。次に、利用できる店ですが、中小の店ですね】

はい。原則、中小企業基本法という法律で定義されている中小企業
▼ 例えば、小売業だと資本金5000万円以下、または、従業員が50人以下が対象になります。
▼ ただ、これだと大規模に稼いでいるのに資本金が小さい企業も含まれてしまう、ということから「課税所得」の基準も加えられました。
その上で、参加したい店側は、決済事業者を通じて申請・登録をする必要があります。来月から登録が始まります。

【どのような商品やサービスが対象になるのですか?】

幅広い商品やサービスが対象になります。軽減税率の対象となる「食料品」もポイント還元の対象です。塾とか旅行も対象になります。ただ、現金に換えやすい商品券や切手。そもそも消費税が非課税となっている保険が適用される医療・介護サービスや学校の授業料。それに、減税などほかに消費増税対策が決まっている新築住宅や自動車などは、対象から外されます。

【宝石やリフォームといった、高額なものも対象になるのですね。お金持ちがメリットを受けることになりませんか?】

この制度は、増税の後、消費が落ち込まないようにすることが狙いですので、高額品も排除はしていません。ただ、不正防止の観点から、それぞれの決済事業者が、今後、一人当たりの還元するポイントに上限(例えば、クレジットカードだと、一か月に使える上限。電子マネーだとチャージできる金額の上限)を設け、公表することになっています。

【ネット通販は、対象になりますか?】

クレジットカードなどで支払えば対象になります。大手の通販サイトでも、出品している事業者が、この基準に当てはまり、申請・登録をしていれば、対象になります。中古品も対象です。

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【ポイント還元の対象になる店と、ならない店が、混在することになるのですね。どうやったら見分けることができますか?】

9月ごろには、統一のポスターを国がつくる予定です。参加する店は、店頭。あるいは、ネット上に、これを表示することになります。そのほか、どの場所で、どの店がポイント還元に参加しているのか検索できる地図アプリも、制度が始まるまでに、国がつくる予定です。

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【最後に、どのようなポイント還元の方法があるのか? ですね】

はい。ですが、その前に、まず、ポイントの還元率を抑えておきたいと思います。そもそも大手のスーパーやデパートで買い物をしても、この制度でのポイント還元はありません。制度に参加する中小の店で買った場合、税込みの価格の5%分が還元されます。ただ、大企業が展開するコンビニやガソリンスタンド、外食などのチェーン店は、参加する場合でも2%になります。

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そして、還元方法。原則は、ポイントでの還元となります。次の買い物のときに使えたり、景品と交換できたりする形です。ただ、システム上ポイントでの還元が難しい企業の場合は、
▼ すぐに使えるポイントを発行して、事実上、その場で値引きする。
▼ 銀行口座から引き落とすときに、値引いた金額を引き落とす。という方法も認めることになりました。

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【5%分となると、増税分を上回るお得になりますよね】

そうです。例えば、本体価格1000円の買い物をするとします。どこでも同じ価格で売っているとすると、今は、どこで買っても、税込みで1080円を払うことになります。それが、10%への増税後は、
▼ 大手の店で買う場合、1100円を払うことになります。
▼ 一方、ポイント還元の対象となる中小の店で、カードなどで買うと1100円の5%分。55円分のポイントが還元されて、実質1045円に。
▼ コンビになどでも、1100円から2%分が還元されて、実質1078円になるというイメージです。

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【9ヶ月分の生活を考えると、どこで、どの方法で支払いをするか、悩みそうです】

ただ、大手の場合、もともと安値で売っているケースがありますし、政府が、増税後に自力でセールをするよう事実上推奨していますので、それも含めて考える必要がありそうです。いずれにしても、この制度。消費の落ち込みを食い止めたいという狙いに加えて、キャッシュレス決済をこの際一気に進めたい。中小企業にも目配りをしたいという、様々な思惑が積み重ねられた結果、非常に複雑な仕組みとなりました。経済産業省は、7月以降、消費者向けの情報をホームページなどで発信するとしていますが、ぜひ、どのカードやアプリが、どの店で使えるのか。どういう方法でポイントが還元されるのか。わかりやすく情報発信をしてほしいと思います。

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その上で、消費者も、制度に振り回されるのでなく、自分にとって何がお得か、冷静に考え、判断することが大事だと思います。

(今井 純子 解説委員)

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