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パキスタン総選挙で懸念される混乱

宮内 篤志  解説委員

パキスタンでは8日に総選挙が行われますが、2人の元首相の立候補をめぐって、混乱が懸念される事態となっています。

Q、
イラストはパキスタンで人気のスポーツ、クリケットに例えたものですか?

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A、
はい。今回の総選挙は議会下院の解散にともなうものですが、2人の元首相のうち、まず注目されるのが、過去3回首相を務めたナワズ・シャリフ氏です。
2018年に汚職の罪で有罪判決を受けたほか、議員になる資格も失っていました。
治療を理由にイギリスで暮らしていたのですが、去年秋に帰国し、12月には高等裁判所が無罪を言い渡したんです。
再び立候補できることになり、首相に返り咲く可能性が出ています。

もう1人がクリケットの元国民的スター選手で、おととしまで首相を務めたイムラン・カーン氏です。
議会で不信任決議が可決されたことで失職し、選挙直前の先月(1月)には汚職の罪などで相次いで有罪判決を受けています。
今回は立候補できないことから、こうした状況に支持者の反発が強まっているんです。

Q、
背景に何があるのでしょうか?

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A、
一連の動きには、軍が関わっているとの見方が根強いんです。
過去に3回もクーデターを起こしたことがある軍は、今もパキスタンの政治に大きな影響力を持ち、事実上、議会や司法機関も動かすことができる存在といわれます。
カーン氏は、その軍との関係悪化が指摘されてきました。
首相在任中に軍の情報機関トップの解任を主導し、対立が決定的となったことから、軍側がカーン氏の排除に乗り出したとみられているんです。
その一方で軍は、シャリフ氏の復帰を後押ししたとみられています。

Q、
今後どのようなことが懸念されますか?

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A、
カーン氏は若者や貧困層に極めて人気の高い人物です。
ところがカーン氏の政党は、別の幹部も有罪判決を受けるなど不利な状況となっていて、選挙の公正さをめぐって国民の不信感が高まるおそれがあります。

パキスタンでは急激なインフレなど厳しい経済状況が続いていて、今回の選挙が国内の混乱に拍車をかけることにつながらないか懸念されます。


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宮内 篤志  解説委員

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