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"キャリア官僚"試験受付開始 日程前倒しで人材確保なるか

成澤 良  解説委員

いわゆる“霞が関のキャリア官僚”になる国家公務員総合職の採用試験。2024年の春の試験は、申込受付が2月5日から始まり、2023年より1か月近く早まっています。合格発表は5月28日と、初めて5月中の発表になります。試験日程の前倒しの背景に何があるのか、解説します。

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いわゆる“霞が関のキャリア官僚”になる国家公務員総合職の採用試験の申込受付が、2月5日から始まりました。

Q)イラストでは、新しいラインが引かれようとしていますね。
A)“キャリア官僚”への最初の関門となる総合職試験の日程が前倒しされます。
2023年の春の試験は、3月から申込受付が始まり、合格発表は6月でした。
2024年は、申込受付が1か月近く早まって2月5日からで、合格発表は5月28日と、初めて5月中の発表になります。
2022年と比べると、1か月近く早まっています。
合格者は、「官庁訪問」と呼ばれる、志望する省庁での面接などを経て、内定、採用となります。

Q)なぜ前倒ししたのですか。

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A)民間企業との間での優秀な人材の獲得競争が背景にあります。
政府の要請では、民間の選考活動は、2024年も6月1日スタートとなっていて、これより前の合格発表になります。
ただ、民間では、6月より前に“事実上の内定”を出す企業が相次いでいるのが実態で、前倒しの効果は見通せません。
“キャリア官僚”の試験で、今の制度になった2012年度の申込者は2万5000人余りでしたが、2023年度は1万8000人余りと、3割近く減少し、「なり手不足が深刻だ」と指摘されています。
2023年の秋の試験では、初めて、大学2年生も受験できるようにしました。
「何とか人材を確保しよう」という取り組みが続いています。

Q)前倒しによって優秀な人材を確保できるのでしょうか。

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A)簡単ではなさそうです。
国会答弁の作成が深夜に及ぶなど、“ブラック”とも揶揄される働き方を敬遠する学生も少なくありません。
一方で、長期的な視野を持って、あるべき国家像を描くことができるのが、“キャリア官僚”の強みであり、それが、やりがいにつながるという指摘もあります。
人事院は、有識者会議を立ち上げ、新たな時代に合った、国家公務員の人事の制度や運用を議論しています。
柔軟な発想や高い志を持った人材が集まりやすい環境をどうつくり上げていくかが問われていると言えます。


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成澤 良  解説委員

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