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ガザ 戦闘休止と人質解放は可能か?

出川 展恒  解説委員

長期化するイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘の一時的な休止と人質の解放を目指し、アメリカ、カタール、エジプトの仲介による交渉が続いています。
中東情勢担当の出川解説委員です。

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Q1:
戦闘休止と人質の解放に向けた交渉、先週から頻繁に報道されていますね。

A1:
はい。ハマス、イスラエルの双方とも徹底的に戦う姿勢を崩していませんが、アメリカのCIA=中央情報局のバーンズ長官、イスラエルの情報機関モサドのバルネア長官、そして、カタール、エジプトの当局者が、フランスのパリで、合意の草案をもとに、踏み込んだ協議を行っているもようです。

Q2:
合意の草案は、どういう内容ですか。

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A2:
公表されていませんが、アメリカやイスラエルでの報道を総合しますと、双方は、およそ2か月間、戦闘を休止し、この間、ハマスは、およそ130人の人質を2段階に分けて解放する代わりに、イスラエルは、刑務所に収監しているパレスチナ人を釈放することを柱とする内容です。しかし、双方の主張の隔たりは、まだ相当あるとされ、合意に漕ぎつけられるかどうか、予断を許しません。

Q3:
主な対立点は何ですか。

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A3:
ハマス側は、完全な停戦とイスラエル軍のガザ地区からの撤退を求め、収監中のパレスチナ人をできるだけ多く釈放するよう要求しているもようです。これに対し、イスラエル側は、あくまで戦闘の一時的な休止であり、停戦、および、軍の撤退には応じない。パレスチナ人全員の釈放はありえないと拒否しているもようです。

Q4:
交渉のどこに注目しますか。

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A4:
ハマス側は、組織の生き残りのため、完全な停戦に持ち込みたい考えです。軍事力では太刀打ちできないので、人質の解放を交渉カードにして、要求を通そうとしています。一方、イスラエル側では、ハマスの壊滅よりも、4か月近くも拘束されている人質全員の解放を優先すべきだとする世論が日増しに強まっています。戦闘休止を前提にしたハマス側との交渉に応じているのも、こうした国内世論の変化が大きく働いています。今週から来週にかけての交渉が、合意が成立するかどうかの山場と見られ、眼が離せません。


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出川 展恒  解説委員

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