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フーシ派の攻撃 背景と影響

出川 展恒  解説委員

イエメンの反政府勢力「フーシ派」が、イスラム組織ハマスとの連帯を掲げて、紅海を航行する船舶への攻撃を繰り返しており、緊張した状態が続いています。中東情勢担当の出川解説委員です。

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Q1:
フーシ派が、船舶を攻撃しているのは、どういういきさつによるものですか。

A1:
フーシ派は、アラビア半島の南端に位置するイエメンの反政府勢力で、9年近く、政府軍と泥沼の内戦を戦っています。「フーシ」はリーダーの名前で、イランの支援を受けているとされ、首都サヌアを含む北西部を実効支配しています。去年10月以降、ガザ地区でイスラエルと戦闘を続けるイスラム組織ハマスとの連帯を掲げて、紅海を航行する船舶への攻撃を30回以上繰り返しています。イスラエルにガザ攻撃をやめさせるのが目的です。

Q2:
これに対し、アメリカ軍が、連日のように、フーシ派への攻撃を続けていますね。

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A2:
はい。紅海とスエズ運河を経由する航路は、アジアとヨーロッパを結ぶ重要な海上輸送ルートで、各国ともフーシ派の攻撃を見過ごせません。アメリカは、イギリス、カナダ、バーレーンなど10か国以上と有志連合を結成し、船舶の安全を守り、フーシ派の拠点や発射前のミサイルを攻撃・破壊しています。さらに17日、フーシ派に対する「テロ組織」の指定を復活させ、資産凍結などの制裁を科せるようにしました。しかしながら、フーシ派は船舶への攻撃をやめようとしません。日本の大手海運会社は、紅海を通るすべての船舶の運航を停止しました。 輸送にかかる時間とコストが大幅に増えることが懸念されますが、懸念材料はそれにとどまりません。

Q3:
どういう懸念がありますか。

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A3:
イランを巻き込んだ地域紛争に発展するおそれがあるのです。イランは関与を否定していますが、イスラエルやアメリカは、フーシ派をイランが背後で操っていると疑っています。いずれの当事者も、正面から軍事衝突することは避けたいと考えているようですが、偶発的な衝突や、相手の意図を読み違えた場合に、紛争が拡大するリスクがあることは否定できません。それだけに、ガザ地区の戦闘を一日も早く終わらせることが重要です。


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出川 展恒  解説委員

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