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紛争により教育の機会を奪われた若者支援 留学生の受け入れは広がるか

二村 伸  専門解説委員

日本政府は紛争や弾圧などで教育の機会を奪われた若者を留学生として受け入れることになり、第1陣としてミャンマーから逃れたロヒンギャの学生たちが日本で学び始めました。留学生の受け入れは広がるでしょうか。

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Q.ロヒンギャの学生はバングラデシュから来たのですね。

バングラデシュにはミャンマーの国軍による弾圧から逃れたロヒンギャと呼ばれる少数派のイスラム教徒およそ100万人が劣悪な環境のもとで難民生活を送っています。そうした難民のうち教育を受ける機会を奪われた若者を支援するため日本の大学院が受け入れを始め、第1陣の男女二人が先月来日しました。

Q.第1陣ということはこれからも続くのですね。

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留学生の受け入れは日本政府が難民支援策として国際会議で表明したいわば「国際社会への約束」です。紛争地域からはこれまでシリアの若者を留学生として受け入れてきましたが、政府は今後ロヒンギャの学生をはじめ各地の若者を受け入れていきたいとしています。まだ数は少ないとはいえ大きな一歩だと思います。ただ、難民認定を受けた修士レベル以上の学生となると数は限られます。タイやインドネシアなど東南アジアの国々はロヒンギャの人たちを「難民」ではなく「不法移民」と位置付けているため難民かつ大学院で学ぶ人となるとハードルが高く、今後は対象を広げることも必要になるのではないでしょうか。また、日本では受け入れ可能な大学がまだ少ない上、支援団体などとの連携不足も指摘されており受け入れ態勢の整備が不可欠です。

Q.ロヒンギャ以外の留学生も受け入れるのですか?

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文科省はアフガニスタンから国費留学生を新年度より受け入れるため現在選考を行っていますが、民間レベルではすでに22年度からアフガニスタンの若者8人が日本語学校で学んでおり、新年度新たに6人加わる予定です。留学生は将来祖国の再建に貢献しうる人材であり日本との懸け橋となる可能性のある人たちです。ウクライナからの避難民の受け入れを機に紛争地域で教育の機会を奪われたアジアをはじめ各国の若者たちにも支援の輪が広がることを期待したいと思います。


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二村 伸  専門解説委員

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