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日本学術会議 法人化へ 背景と課題 科学者の代表機関の独立性は?

土屋 敏之  解説委員

◆政府が日本学術会議を法人化する方針を決定

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法律で“日本の科学者の代表機関”として政府に勧告を行う権限も持つ日本学術会議は現在は内閣府に置かれていますが、3年前、当時の菅総理が会員候補6名を任命しなかったことを機に注目を集めました。
先週、内閣府が有識者を集めた懇談会で、「政府方針と一致しない見解も含め助言を行うには政府機関であることは矛盾している」などと法人化が望ましいとする中間報告がまとまり、所管する内閣府特命担当大臣でもある松村国家公安委員長が法人化、言わば政府という船から降ろす方針を発表しました。
今後、そのための法整備を検討していきます。

◆法人化決定の背景
かつて軍事研究反対の声明を出すなどした学術会議には、保守派などから、政府から出し法人化すべきだとの根強い声がありました。
そうした中で4月に政府は、会議を政府内に残す場合の会員選考方法などの法改正案を示したものの、会議側は独立性を損ねると反対し、法案提出は見送られました。
こうした経緯から、もはや法人化は避けられないとの見方が有識者懇談会の前からありました。

◆今後の課題

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法人化した場合の予算や独立性など多くの検討課題があります。
他の先進国でも科学者の代表機関は国の組織ではありませんが、これらは独自資金の他に、国が資金を出して支えているにも関わらず会員選考や運営に干渉せず、国に客観的な助言をする組織として高度な独立性が保たれています。これに対し学術会議は国の組織でなくなる場合も、政府が透明性の観点から「評価委員会」などを任命し関与する方針を示していることなどを会議側は懸念しています。
会議側も自ら透明性や資金確保の努力が求められる一方で、この問題は日本が“科学者の代表機関”をどう位置づけるのかが問われているとも言えます。


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土屋 敏之  解説委員

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