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ウクライナ・ゼレンスキー大統領 試練のクリスマス

安間 英夫  解説委員

ウクライナではきょう(12月25日)、ロシアによる軍事侵攻のあと、2度目のクリスマスを迎えますが、ゼレンスキー大統領はこれまでにない試練に直面しています。

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Q)ツリーに12月25日のプレートが飾ってありますね。
A)
実はウクライナでは、ことしからクリスマスを祝う日が変わったのです。

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ウクライナやロシアなどに多くの信者がいる東方正教会では、長年伝統に従い、古いユリウス暦を使用してきたため、ともに今の暦で1月7日にクリスマスを祝ってきました。

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ところがウクライナでは、軍事侵攻後、ロシアと同じ日には祝いたくないとして、去年から一部の教会が、ことしからはウクライナ正教会や政府が正式に、今の暦で12月25日をクリスマスと定めました。
宗教的、社会的にもロシアと決別する姿勢を明確にしたと言えます。

Q)ただ現地の状況は依然厳しいですよね。
A)
ゼレンスキー大統領は、内外ともこれまでにない試練に直面しています。
対外的には、外国からの支援に関してです。

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戦闘継続のためには各国からの支援が不可欠で、ゼレンスキー大統領は今月(12月)アメリカを訪問して働きかけを行いましたが、アメリカ議会は緊急予算の年内の承認を断念しました。
またEU=ヨーロッパ連合の支援も、ハンガリーの反対で協議が年明けに持ち越しとなりました。
ウクライナは、クリスマスまでに支援を手にすることはできませんでした。

Q)ウクライナ国内ではどうでしょうか。
A)
戦闘が長期化し、ゼレンスキー大統領の求心力にもかげりが見え始めていることがうかがえます。

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今月(12月)キーウ国際社会学研究所が行った世論調査によると、「大統領を信頼する」と答えた人は62%で、1年前、去年12月の84%から22ポイント下がりました。
またゼレンスキー大統領は19日の記者会見で、軍から最大50万人の動員を求められていることを明らかにしました。
しかし人的、資金的に負担や影響が大きく慎重な検討が必要だとして、判断を保留していると明かしました。

Q)ゼレンスキー大統領は乗り切ることができるのでしょうか。
A)
ゼレンスキー大統領は各国からの支援に期待し、今後も全土奪還まで戦い続ける構えですが、局面を打開する道筋は見えていません。
日本を含むG7は、ことしの広島サミットで、また今月(12月)もオンライン首脳会議で揺るぎない支援を確認したばかりです。
平和を切望するウクライナの人たちのクリスマスの祈りに、私たちも今一度、関心を寄せることが大切ではないでしょうか。


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安間 英夫  解説委員

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