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日本初の月面着陸を目指す探査機SLIM 狙うのはピンポイント着陸!

水野 倫之  解説委員

日本初の月面への着陸を目指す探査機SLIMが、年明けに迫った着陸に向けて、近く月面上空に到着する。水野倫之解説委員の解説。

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SLIMの狙いは世界で初めて、月面の狙った場所から100m以内にピンポイントで着陸すること。1辺2mあまりのJAXAが開発した小型着陸機で、今年9月に打ち上げられ月に向かっていたが、週明けに月を回る軌道に入り、来月20日の着陸目指して最後の調整に入る。
SLIMはなぜピンポイントの着陸を狙うのか。

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これまで月面着陸は旧ソ連、アメリカ、中国、インドが成功しているが、その着陸精度は数キロから10数キロの範囲内の降りやすいところに降りるというものだった。
ただ最近、月面の一部に水がある可能性がわかり、日本も参加するアメリカの有人探査でも水から水素を取り出して燃料として使う計画。
となると今後は水が存在する場所の探査がしたいわけで、降りたいところに降りるピンポイント着陸技術が重要になってきている。

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とはいっても地球の6分の1とはいえ重力があり、月面着陸は非常に難しい。
日本は昨年来、JAXAと民間が挑戦したが、高度を見誤るなどして失敗が続き、今年、半世紀ぶりに挑戦したロシアも失敗。
そこで今回SLIMは、画像照合航法という手法を取る。
過去に探査機が撮影した月面の地図をインプットしておいて、着陸予定の月の赤道付近に近づくとカメラでクレーターなどを検出、地図と照合することで自分の位置や着陸点を特定して着陸。
今後月面探査は各国の競争が激しくなると見込まれるが、今回ピンポイント着陸技術を獲得できれば、探査をリードしていける可能性が高まる。
そのためにも週明けの月到着以降機器の調整をしっかり行い、万全の態勢で着陸に臨んでほしい。


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水野 倫之  解説委員

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