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中国がタリバンの大使を受け入れ 狙いは

宮内 篤志  解説委員

中国が今月、アフガニスタンのタリバン暫定政権が派遣した大使を受け入れました。中国の狙いについて解説します。

Q、
タリバンの大使の受け入れは何を意味するのでしょうか?

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A、
タリバンは今月、暫定政権が北京に派遣したビラル・カリミ氏が、新たな大使として中国政府に受け入れられたと明らかにしました。
大使の信任状は近く、習近平国家主席に提出されるということで、信任状を携えたタリバンの大使を受け入れたのは、中国が初めてとみられます。
タリバンがおととし、アフガニスタンで復権して以降、この政権を承認した国はまだないだけに、今回の中国の動きは、正式な承認を意味するのではないかとの受け止めが広がっているのです。

Q、
どうして各国はタリバンの政権を承認しないのでしょうか?

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A、
大きな理由としては、タリバンが女性の教育や就労を制限するなど、女性の人権をめぐって抑圧的な姿勢を強めていることがあります。
例えば、女性は事実上、小学校までしか通うことができなくなってしまいました。
欧米などはこうしたタリバンの姿勢を強く非難し、改善がみられない限り、政権を承認しない方針です。
ところが中国は欧米ほどの厳しい姿勢は打ち出していないだけに、「前のめり」ともいえる関係強化の姿勢は、女性の人権などをめぐる方針を容認しているとタリバン側に受け止められかねません。

Q、
タリバンとの関係を強化しようとする中国の狙いは何でしょうか?

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A、
今、習近平政権の大きな関心は、国内の安定にあります。
アフガニスタンとは新疆ウイグル自治区で国境を接していますので、こうした地域に過激派が浸透しないよう、アフガニスタン側での治安対策の強化を求めたい狙いがあります。
さらに、アフガニスタンに埋蔵されているとされる石油や重要鉱物などの資源開発、それに巨大経済圏構想「一帯一路」への取り込みも進めたい思惑がありそうです。
ただ、人権よりも実利を重視しているとも受け止められかねない中国の姿勢には、国際社会からの厳しい目が注がれることになりそうです。


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宮内 篤志  解説委員

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