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反プーチン 獄中のナワリヌイ氏の闘い

石川 一洋  専門解説委員

プーチン大統領が圧勝を狙うロシアの大統領選挙で、獄中に囚われた反プーチンのナワリヌイ氏との連絡が取れなくなっています。石川一洋専門解説委員に聞きます。

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Q 連絡が取れないとはどのような状況なのでしょうか

A ナワリヌイ氏は、プーチン体制の腐敗、汚職を暴露してきた反プーチンの闘士です。現在禁錮19年の判決を受けてロシア中部のウラジーミル州の監獄に収監されていたはずですが、弁護士との連絡が一週間以上途絶えています。

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別の監獄に移動中ともみられ、大統領府のペスコフ報道官は「どこにいるかは知らないし関心もない」と答えています。ナワリヌイ氏の支持者の間からは、連絡取れなくなったのは、大統領選挙の日程が決まり、プーチン大統領が立候補を表明する直前で、大統領選挙と関係するのではないかという見方も出ています。

Q なぜ大統領選挙と関連するのでしょうか?

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A 獄中にあっても、ナワリヌイ氏は反プーチンの中でもっともカリスマ性があり、行動力のある指導者です。今回の大統領選挙で、ナワリヌイ氏は、「プーチン以外の候補者に投票しよう」「それぞれが10人の知り合いを説得して反プーチンの輪を広げよう」と具体的な呼びかけをしていました。その意思を仲間がSNSを通じて拡散しています。強権的なロシアでも立候補者の署名集めに協力することは法律で認められており、ナワリヌイ氏は戦争に否定的な候補者の署名集めに協力することで、選挙を利用して反戦争、反プーチンの意思を示すよう呼び掛けているのです。2012年の大統領選挙ではナワリヌイ氏は同じようにプーチン以外の候補者に投票しようと呼びかけ、プーチン氏の得票率は最低の64%にまで落ち込みました。その再現を狙っているのです。
こうした活動を恐れた体制がナワリヌイ氏と外界との連絡を遮断した可能性もあります。

Q ナワリヌイ氏自身は大丈夫でしょうか?

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A ナワリヌイ氏はかつて毒殺されかかった事件があり、ロシアの治安機関が関与したとみられています。体制によってナワリヌイ氏に同じような危険が迫ることが、今最も懸念されています。


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