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どうなるウクライナのEU加盟交渉 EU首脳会議で交渉開始を決められるか

二村 伸  専門解説委員

EU・ヨーロッパ連合は14日から首脳会議を開き、ウクライナと加盟交渉を始めるかどうか協議します。

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Q1.イラストは交渉のテーブルですね。まだウクライナの席が空席のようですが。

入り口でハンガリーが立ちはだかっています。EUの内閣ともいえるヨーロッパ委員会は先月ウクライナとの加盟交渉を条件付きで始めるよう勧告しました。その条件というのは、EUが改善を求めていた7項目のうち、「汚職の防止」や「少数民族に関する法整備」などまだ十分ではない3項目について来年3月までに改善を終えることです。ウクライナ政府は「汚職対策を強化し、少数民族の権利保護のための法律を制定した」として交渉開始を認めるよう訴えていますが、ハンガリーのオルバン首相は強く反対し、会議の議題から外すよう求めています。さらにウクライナへの500億ユーロの経済支援にも難色を示しています。

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加盟交渉を始めるためには加盟する27か国すべての同意が必要でして1国でも反対する限り交渉は始まりません。

Q2.なぜハンガリーは反対しているのですか?

オルバン首相はEUで最もプーチン大統領と親しいと言われるほどロシア寄りの立場をとり、しばしばEUと対立してきました。ウクライナを「世界で最も腐敗した国」とまで酷評し、ウクライナ国内のハンガリー系住民の権利が守られていないなどとして「交渉に必要な条件を満たしていない」と主張し、加盟交渉をめぐりいかなる圧力にも屈しないと強硬です。

Q3.そうなると交渉の開始は容易ではなさそうですね。

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ウクライナはロシアの侵攻の5日後にEU加盟を申請し、EUもその4か月後にウクライナを加盟候補国として承認するなど異例の速さで加盟プロセスを進めてきました。ロシアの脅威に対処するためですが、ガザの衝突に世界の関心が移り、アメリカではウクライナ支援の予算が決まらないなど支援体制に綻びが見え始め、ウクライナ、EU双方が危機感を強めています。ロシアの侵攻が長期化する中でウクライナのEU加盟に向けて一歩踏み出すことができるか、協議の行方を各国が注視しています。


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二村 伸  専門解説委員

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