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戦時下のロシア大統領選挙戦始まる

石川 一洋  専門解説委員

ロシアのプーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻を続けるなか、来年3月の大統領選挙に立候補を表明しました。石川一洋専門解説委員に聞きます。

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Q プーチン大統領の周りにいる人々は

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A 軍事侵攻の参加者に英雄勲章を授与する軍事色の強い式典です。ロシアが一方的に併合したウクライナのドネツクの司令官がまず「あなたしかいない、ぜひ」と立候補を要請し、戦死した英雄の母も大統領支持を表明、国民の要請に応えるという体裁でプーチン大統領は立候補を明らかにしたのです。自ら始めたウクライナ軍事侵攻を“祖国防衛戦争”・正義の戦いであるとすり替え、正当性を国民に問う選挙とするつもりです。

Q 選挙の状況は?

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A 大統領陣営は、投票率70%、得票率80%、これまで一度も達成したことのない高い目標を掲げています。一方的に併合したウクライナの占領地でも選挙を強行するつもりで、ロシアの実効支配を示したい思惑でしょう。14日には、去年中止したテレビを通じた「国民との対話」を行います。あらゆる質問に答える“国民に近い”大統領という演出をするでしょう。

Q 戦争は、選挙に影響しないのでしょうか?

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A モスクワではなかなか見えませんが、地方の中心都市でも町の中に「わが町の英雄」という記念碑が建てられ、戦死者の墓の数も増えて、生活の中に戦争の影が濃くなっています。ロシアの独立系世論調査機関によりますと、今大統領に聞きたいことのトップは、「いつこの軍事作戦が終わるのか」「いつ平和が来るのか」という戦争の終結の時期について尋ねる質問です。この質問にプーチン大統領が、14日の“国民との対話”でどのように答えるのか、少数派ですが20%は存在する戦争反対の声が選挙の中で広がりを見せるのかが注目です。

ロシアが占領地で選挙を強行することにウクライナは、「無効な選挙だ」と強く反発し、また選挙戦の中で、形ばかりの“平和攻勢”をプーチン大統領が仕掛けてくることを警戒しています。

選挙そのものが情報戦の側面があることを忘れてはなりません。


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石川 一洋  専門解説委員

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