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深まる日本とオーストラリアの防衛協力 日米図上演習にオーストラリアが初参加

梶原 崇幹  解説委員

11月30日から自衛隊とアメリカ軍の大規模な図上演習が始まり、オーストラリア軍が初めて正式に参加することになっています。
日本とオーストラリアの防衛協力が強まっています。

Q)演習のイラストに花が描かれていますが、サクラですね。

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A)この演習の名称「ヤマサクラ」にちなみました。この図上演習は、日本有事などを想定した最大規模のもので、オーストラリア軍は初めての正式参加です。日本とオーストラリアの間では、ことし夏、「円滑化協定」が発効し、部隊間の往来が容易になったばかりです。防衛省幹部は、今回の指揮・作戦レベルの演習は、日豪の協力を質的に深化させるものだとしています。

Q)オーストラリアは、なぜ日本との関係を強化しようとしているのでしょうか。

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A)オーストラリアは、中国の軍事的な台頭を受けて、国防戦略を大きく変えようとしています。オーストラリアはアメリカと同盟関係にあり、米中間の緊張の高まりは自国の安全保障に直結します。地域の安定のため、同じアメリカの同盟国である日本との関係を強化しようとしています。

Q)日本が、オーストラリアとの協力を強化する背景は?

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A)オーストラリアは、台湾有事も念頭に、東シナ海やその周辺での緊急事態に関与する姿勢を示していて、日本政府は歓迎しています。
さらに、防衛省幹部は、オーストラリアの広大な演習場を使用できるメリットは大きいとしています。例えば、レーダーに探知されにくい性能を持つ戦闘機F35の訓練を日本で行う場合、データを集めるため日本周辺で活動している中国の情報収集艦などに手の内を隠すため、性能を落として、あえてレーダーに映るようにすることもあるということです。
オーストラリアの内陸の演習場では、こうした心配は必要なくなり、実戦を意識した訓練ができるということです。

Q)今後の両国の防衛協力はどう進んでいくのでしょうか。

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A)日本政府は、F35の部隊をオーストラリアに入れ替わり派遣し、一定期間とどまるローテーション展開なども目指すことにしています。
ただ、こうした動きには、事実上の海外配備だとの指摘も出ています。
防衛協力をどう進めるのか。政府には、丁寧な議論と国民の理解を得る努力が求められます。


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梶原 崇幹  解説委員

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