台湾で来年1月に行われる総統選挙に向けて、野党候補の一本化に向けた協議が活発化しています。その背景を解説します。
Q、
一本化を協議しているのは、イラスト中央の2人でしょうか?
A、
はい。最大野党・国民党の侯友宜氏と第3党である民衆党の柯文哲氏です。
最近の主な世論調査では、与党・民進党の候補、頼清徳・副総統がリードを維持し、2人が追う展開となっています。
このため政権交代の可能性を高めようと、総統候補の一本化を探っているのです。
背景には、「このままでは与党に対する批判票が分散し、共倒れとなるのではないか」という危機感もあるとみられます。
Q、
実現の可能性はどうでしょうか?
A、
現時点で協議は難航しています。
どちらを総統候補とするか、その決め方をめぐって考えに隔たりがあるからです。
民衆党側は柯氏の個人的な人気が反映されやすい世論調査をもとに決めることを求めていますが、国民党側は難色を示していて、双方とも譲るつもりはなさそうです。
一方、別の候補をめぐっても気になる動きが出ているのです。
Q、
どのような動きでしょうか?
A、
無所属の候補である郭台銘氏をめぐるものです。
郭氏は、電子機器の受託生産の世界最大手「ホンハイ精密工業」の創業者ですが、中国にある複数の拠点が当局によって税務調査などを受けたのです。
中国は、与党・民進党については「独立志向が強い」とみなし、政権が継続することを強く警戒しています。
それだけに政権交代のためには、与党以外の候補者どうしが票を奪い合う状況は望ましくないと考えている可能性があります。
ですので、調査は郭氏に立候補を断念させるための圧力だったのではないかとの見方が出ているのです。
総統選挙の立候補の受け付けは今月20日から始まります。
残された時間も少なくなる中、国民党の侯氏と民衆党の柯氏の一本化は実現するのか、さらに無所属の郭氏の動向はどうなるのか、いずれも選挙の構図を大きく変える可能性があるだけに、目を離せない状況が続きそうです。
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