アメリカによるイスラエル支援とウクライナ支援について、髙橋解説委員とお伝えします。
Q1.
けさのイラスト、共和党のシンボル=ゾウから議長の木槌を受け取った男性は誰ですか?
A1.
新たに下院議長に就任したマイク・ジョンソン氏です。南部ルイジアナ州選出の51歳。現在4期目で、これまで議会指導部や委員長職の経験はありません。
下院で多数派を占める共和党は、3週間に及んだ党内抗争の末、トランプ氏や保守強硬派グループに近く、穏健派にも目立った敵がいない。そんな“特徴がないところが特徴”のジョンソン氏を、いわば“妥協の産物”として議長に選んだかたちです。
Q2.
バイデン大統領もプレゼントを持ってきたようですが?
A2.
これはプレゼントではなく、大統領が議会に求めた総額1,060億ドル=日本円で16兆円近い規模の緊急予算案です。中身を見てみましょう。
▼ウクライナへの軍事支援が1年分で614億ドル。
▼イスラエルの防衛力の増強支援に143億ドル。
▼アメリカ南部の国境対策に136億ドル。
▼各地の人道支援に91億5,000万ドル。
▼インド太平洋地域の安全保障協力に74億ドルなどとなっています。
Q3.
なぜ箱にリボンをかけて持ってきたのですか?
A3.
実はそこがポイントです。共和党には、大幅な歳出削減を求めて、ウクライナに対する巨額の支援継続には難色を示す議員が多くいます。このため、バイデン政権は、共和党が求める国境対策や、超党派で支持されているイスラエル支援も、ひとつの包括的なパッケージに詰め込んで、反対しにくくさせる作戦です。
ただ、政府の当面の“つなぎ予算”が3週間後に期限切れが迫り、“つなぎ予算”の箱をもうひとつ作る可能性があります。そのため、緊急予算案がすんなり承認されない場合、“つなぎの追加予算”にイスラエル支援だけではなく、ウクライナ支援も盛り込まれるかが焦点になりそうです。
イスラエルとウクライナ、ふたつの巨額の軍事支援をアメリカは両立できるのか?ジョンソン新議長が、ゾウを手なずけて、調整能力を発揮できるかを試されます。
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