EU・ヨーロッパ連合は26日から首脳会議を開き、ガザ地区へ人道支援を行うためのハマスとイスラエルの一時停戦を支持するか協議します。そのヨーロッパでは反イスラエルデモが相次ぐなどガザの衝突の余波が広がっています。
Q1.イラストでは各国首脳が「イスラエル支持」の札を持っていますが。
ヨーロッパ各国は今月7日のハマスによる攻撃を強く非難し、イスラエルを全面支持する立場で一致しています。各国首脳の中でいち早くイスラエルを訪れたドイツのショルツ首相は「イスラエルの安全を守る永続的な責任がドイツにある」と述べ、あらためて支持を表明しました。ヨーロッパは歴史的な経緯もあって親イスラエルの国が多く、中でもドイツはホロコーストを引き起こした負い目があります。しかし、こうした各国の政府とは異なりドイツやイギリス、フランスなどの多くの都市で反イスラエルデモや反ユダヤ主義的な事件が相次いでいます。ベルリンでは18日パレスチナを支持するデモ隊が警察と衝突し、ユダヤ教の礼拝所・シナゴーグの前で火炎瓶が投げつけられる事件も起きました。
Q2.政府はイスラエル支持なのになぜ反イスラエルデモなのでしょうか?
ヨーロッパには2500万人以上のイスラム教徒がいます。結束も固くパレスチナ情勢には敏感です。今後イスラエルが地上侵攻に踏み切り、犠牲者がさらに増えればイスラエルに敵対的な動きがエスカレートすることも予想されます。イスラム主義者による殺人事件も起きており、各国政府はテロへの警戒を強めています。さらにヨーロッパでは新たな危機への懸念も強まっています。
Q3.新たな危機ですか?
ガザや周辺の国々から多数の難民がヨーロッパに流入すれば難民危機が再燃しかねません。そうなると今度は反イスラム、反難民を掲げる右派勢力が勢いづくことが予想され、社会の分断が深まりかねません。
ガザの緊張は中東にとどまらずヨーロッパ、さらには国際社会の安定を脅かす危うさをはらんでいるだけに今こそ事態の鎮静化に向け各国が結束して取り組むことが求められています。
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