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衆参2補選 与野党1勝1敗 影響は?

成澤 良  解説委員

10月22日に投開票が行われた衆参2つの補欠選挙は、衆議院長崎4区で自民党が議席を維持した一方、参議院徳島高知選挙区では野党側が議席を獲得しました。

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Q)イラストでは、投票箱に与野党が注目していますね。

A)国政の補欠選挙は、政権への“中間評価”とも言われます。
今回は、2つとも与野党対決型で、蓋を開けたら1勝1敗。
“痛み分け”とも言え、与野党双方に課題が残りました。

Q)課題は何ですか。

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A)自民党は、もともと議席のあった2つのうち1つを失いました。
党内には「岸田内閣の支持率低迷が影響した」という見方があります。
「物価高への対応が不十分だと有権者に受け止められた」という指摘もあります。
政府・与党としては、近くまとめる経済対策で効果的なメニューを打ち出せるか、それを支持の回復につなげられるかが課題になります。

Q)一方、野党側はどうでしょうか。

A)立憲民主党は、国政選挙で負けが続き、選挙の“顔”として不安視されていた泉代表としては、今回の1勝にホッとした面もあると思います。
また、与野党“一騎打ち”の構図に持ち込めば、地方でも、与党に勝つか、互角に勝負できる可能性があるという成果が改めて浮き彫りになった結果とも言えます。
ただ、今回は、補欠選挙という限定的なケースです。
全国規模の次の衆議院選挙で、日本維新の会は、独自候補を積極的に擁立する方針です。
野党候補の一本化は難しいとみられ、立憲民主党としては、今回の勝利を手放しで喜べない状況です。

Q)10月23日から国会での論戦も始まりますね。

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A)補欠選挙の投票日の直前に岸田総理大臣が与党側に検討を指示した、所得税の減税の行方が焦点です。
野党側から「選挙目当てだ」という批判が出たほか、与党内にも減税の経済対策としての効果を疑問視する声があります。
減税などの国会論戦を乗り切れるか、そして、経済対策の裏付けとなる補正予算を順調に成立させられるかが、岸田総理大臣の衆議院解散の判断にも影響を与えそうです。


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成澤 良  解説委員

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