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中ロ朝と日米韓の対立、日中韓首脳会議に向け各国の思惑は?

出石 直  解説委員

中国とロシアが関係強化を図っている中で、日本、中国、韓国の3か国による首脳会議が早ければ年内にも実現する見通しになりました。それぞれの思惑について出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。

Q1、日中韓の首脳会議は久しぶりの開催となるのですね。

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A1、本来は毎年1回、持ち回りで開催されることになっているのですが、日韓関係の悪化やパンデミックの影響で4年前の12月を最後に開催が見送られていました。先月の高官協議でできるだけ早い時期に開催する方針で一致し、およそ4年ぶりに開催される見通しとなりました。議長国の韓国は年内の開催を目指しています。慣例で中国からは習近平国家主席ではなく李強首相が参加する見込みです。

Q2、きょうは習近平国家主席とプーチン大統領との首脳会談も予定されていますね。

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A2、中国、ロシア、それに北朝鮮の3か国は、いわば“共通の敵”であるアメリカに対抗しようと連携を強めています。日中韓首脳会議に臨む日本としては、こうした外交姿勢は得策ではないと中国を説得し、ロシアや北朝鮮との連携を断ち切って少しでもこちらの側に引き寄せたいところです。水産物の輸入停止措置の撤廃を首脳レベルで求める良い機会にもなるでしょう。議長国の韓国は、ユン政権になって中国との関係がぎくしゃくしています。中韓関係の改善とともに、挑発を続ける北朝鮮に対する中国の影響力に期待を寄せています。

Q3、 一方の中国にはどんな思惑があるのでしょうか?

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A3、中国がもっとも警戒しているのは日米韓が進めている安全保障協力の強化です。日米韓の連携がアジア版のNATOのような軍事同盟にならないよう楔を打ち込みたいところでしょう。このようにそれぞれの思惑はかなり異なります。
国際情勢が緊迫感を増している中で久しぶりに開催される見通しとなった日中韓の首脳会議が、アジアの緊張緩和につながるかどうかに注目していきたいと思います。


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出石 直  解説委員

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