NHK 解説委員室

これまでの解説記事

くすぶり続ける秋解散の臆測

梶原 崇幹  解説委員

政府は、臨時国会を10月20日に召集する方針ですが、召集を前に、与野党の間からは、岸田総理大臣がこの秋に衆議院を解散するのではないかという臆測がくすぶっています。

Q)このイラストは、各党の幹部がメニューを見ているんでしょうか。

C231002_4.jpg

A)永田町の雰囲気を、レストランに見立ててみました。
岸田総理大臣は、新たな経済対策の柱として、▼物価高対策、▼持続的な賃上げの実現など5つをあげ、今月末をめどにとりまとめることにしています。
ただ、その裏付けとなる補正予算案の提出時期について明言してこなかったため、与野党の間から、臨時国会の早い段階で衆議院の解散に踏み切るのではないかとの臆測が出ていました。
先週、9月29日に、岸田総理大臣が、補正予算案を臨時国会に提出する意向を明らかにしたことから、秋解散風はいったん弱まった形です。

Q)これで解散風は収まったとみていいのでしょうか。

k231002_001.jpg

A)そうとも言い切れません。政府は、臨時国会に提出する法案を絞り込んでいますから、補正予算を速やかに成立させることができれば、解散の臆測がふたたび息を吹き返すことも否定できません。
その背景には、今後の政治日程があります。
政府は、年末にかけて、少子化対策や防衛力強化のための財源を決めなければなりません。いずれも国民負担につながりかねないテーマだけに批判も予想され、この秋を逃すと、その後の解散は容易ではないという見方があるからです。

Q)今後の政治、どう展開しそうですか?

k231002_003.jpg

A)解散の臆測が残る一方で、自民党内には、9月の内閣改造の評価は期待したほどではなく、さらに成果を積み重ねる必要があるとして、解散に慎重な意見があります。
ことし6月の通常国会終盤にも、岸田総理大臣は、解散の可能性を否定せず、解散の臆測を呼びました。総理大臣が解散を意識させることで求心力を維持しようとすることはありえますが、場合によっては解散権をもてあそんでいると批判を招くことも考えられます。
臨時国会では、総裁任期が残り1年となった岸田総理大臣の言動に、引き続き注目が集まりそうです。


この委員の記事一覧はこちら

梶原 崇幹  解説委員

こちらもオススメ!