原発の高レベル放射性廃棄物・核のごみの最終処分地を巡って、長崎県の対馬市で大きな動き。
水野倫之解説委員の解説。
対馬市議会が、きのう、核のごみの処分地の調査について、受け入れ推進を明確に。
処分地選定に向けては政府が、第一段階の論文などの文献調査をする自治体を公募。
市議会には、調査受け入れ推進の請願と反対の双方の請願が出されていたが、きのうの本会議で受け入れ推進の請願が正式に採択。
市議会は16年前は安全への懸念から処分場誘致反対を決議しており、今回逆の判断に。
なぜ逆の判断となったのか。
今、人口は2万8000人と当時より1万人も減り、コロナで観光も打撃を受け地域経済の疲弊が深刻で、推進派は調査で得られる20億円の交付金で衰退を食い止めたいと。
議員の中にはほかの原子力施設を視察して安全を理解したとして賛成に変わった人もいて、今回賛成多数になったとみられる。
ただ実際に調査への応募を決める権限は、市長にある。
考え込んでいる市長の似顔絵描いてみたが、比田勝(ひたかつ)市長は「重い議決だが、金の話ばかりでなく市民が望むことを選択したい」と述べている。
確かに議会は推進だが10対8の僅差で、市内では今週も500人が集まり安全への懸念を訴えるなど反対の動きも活発。
また市長は前回選挙で推進派を破って当選した経緯もあり、熟慮しているとみられる。
こうした動きを政府も注目。原発の最大限活用を打ち出した政府は、ごみ問題解決が不可欠だとして、全国10か所程度で調査を進めたい考え。
しかし3年前に調査が始まった北海道の寿都町と神恵内村以降、手を上げる自治体はないままで、今回をきっかけにほかの自治体に議論が広がることへの期待がある。
調査を受け入れるのかどうか、注目の市長の判断は、今月27日まで予定される議会の期間中に示される。
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