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旧統一教会 過料請求通知で裁判所の判断はいつ?

清永 聡  解説委員

旧統一教会への質問権の行使への対応をめぐり、文部科学省が裁判所に過料を求める通知を行いました。今後はどうなるのでしょうか。

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Q:イラストは、裁判所を挟んで教団と文部科学省がいます。

A:文科省は質問権を7回使ったのですが、「500あまりの質問に対し、教団が100以上回答してこない」として、言わばしびれを切らした形で過料を求めました。これは行政罰の一種で金額は10万円以下です。
一方、旧統一教会は会見で「違法な質問権行使への回答拒否は妥当であり、過料は認められない」と争う姿勢です。

Q:裁判所の判断はいつ出るのですか。

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A:質問権の行使をめぐる過料の請求は今回初めてなので、よく分かりません。ただ、法廷は開かれず審理は非公開です。
おそらく東京地裁は、教団側に通知して意見を聞くとみられます。
別の事例で略式ではない手続きの場合ですが、新型コロナをめぐって過去に飲食店に出された過料では、店側に意見を求める書面が届いてから2か月ほどで決定が出たケースがあります。
そうなると地裁の判断、1、2か月は少なくともかかるのではないでしょうか。また高裁、最高裁に抗告も可能で、さらに長引くこともありえます。

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Q:こちらは弁護団が怒っています。

A:元信者らの献金などを返還するよう求めて、被害対策弁護団が旧統一教会に対して集団交渉を行っています。その数は120人あまり、請求総額はおよそ40億円に上ります。
弁護団によりますと、家族の結婚に関する悩みや病気、自殺などの苦しみに付け込んだ形で、勧誘を受けたケースがほとんどだということです。
教団はこれまで「集団ではなく個別に適切に対応する」としています。弁護団によると多くは裁判所の民事調停に移行しています。
こちらも早い解決が望まれます。

Q:今後はどうなるのでしょうか。

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A:文科省は解散命令請求を行うかどうか、検討を進めているとみられます。
「過料請求」、「民事調停」に加えて、「解散命令請求」も行われれば、裁判所で3つが並行する可能性も出てきました。
3つはそれぞれ別の手続きで独立しています。しかし、審理される内容には関連しあう要素も含まれます。
それだけに過料請求に対する1日も早い司法の判断が望まれます。


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清永 聡  解説委員

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