アメリカのトランプ前大統領が起訴された南部ジョージア州の裁判は、インターネットなどを通じて生中継される見通しです。髙橋解説委員とお伝えします。
Q1.
けさのイラストは、至るところにトランプ氏の顔写真?
A1.
世界が目にした前大統領の“マグショット”。前回の大統領選挙で敗北した結果を覆そうとしたとして、トランプ氏にとって4回目の起訴となったジョージア州の裁判は、すべての審理を裁判所が動画投稿サイトで配信し、テレビ中継も認められることになりました。
ただ、トランプ氏本人は罪状認否に出廷せず、「無罪」の主張を書面で申し立てました。
Q2.
来年の大統領選挙にどのように影響する?
A2.
共和党の大統領候補選びで、いまトランプ氏はトップを独走し、一連の起訴のあと、2位以下との差をさらに広げています。
2日付けの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の最新の世論調査では、本選挙でトランプ氏とバイデン氏が再対決した場合、両者の支持率は46%で並び、残り8%がどちらに投票するかを決めていないとしています。
今回の裁判をネット中継などで視る無党派層が勝敗を左右する可能性があるのです。
Q3.
裁判はいつ始まるのですか?
A3.
まだ決まっていません。トランプ氏と同時に起訴された被告18人のうち一部は、スピード裁判を求めて、初公判が10月23日に予定されています。しかし、トランプ氏の弁護団は、「準備期間が短すぎる」との理由で、裁判を個別に分離するよう求めています。
12人の陪審員を選ぶ手続きも、過去の例から、数か月単位で時間がかかりそうです。
トランプ氏は、来年11月の選挙に勝利するまで裁判を引き延ばした上で、大統領として“免責特権”を主張する思わくがうかがえます。
ジョージア州の法廷のルールでは、実は被告本人が不在のまま審理を進めることも可能です。前大統領が被告席に立たされて、世界の衆人環視のもとで開かれる“世紀の裁判”は、当面は長い予告編が画面に流れるままかも知れません。
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